ドッグヴィルの衝撃よりは弱かったような気もするけど、アメリカ批判の精神は健在。
前作『ドッグヴィル』では、主人公グレースが一般市民で父のギャングスターがアメリカそのものであるというわかりやすい構図になっていましたが、それよりも痛烈な批判となっていると聞いていたので、その真相を見極めるため身構えて鑑賞してしまいました。すると、冒頭から奴隷制度がなくなっていないアメリカ南部の町マンダレイへの介入。グレース(ブライス・ダラス・ハワード)がアメリカそのものになってしまった・・・
奴隷解放宣言がなされ憲法が修正されても未だに白人から奴隷扱いされていた黒人たちが働く大農園。支配者であるママが死んでからは、グレースとギャングの子分たちが残り、民主主義を徹底指導するようになるが、隷属関係に慣れすぎていた彼らはとまどうばかり。なんでもかんでも多数決が全てを決定するといったことを教えるのです。
横暴な政策、多少の失敗はあっても決定権は民主主義にある。それが甘い幻想であるとグレースが気づいたのは、ある少女の死。ウィルダという黒人女性が肺炎になった少女の食料を奪ってしまったのが原因と、ウィルダが家族たちからの怒りを買ったのだが、表決には逆らえないグレース。あくまでも中立の立場である自分が刑を執行しなければならなかった・・・
自分の価値観をそのまま押し付けるやり方は、現代に喩えるとアメリカがイラクに対して行ってる政策そのものだと取れるのですが、実は敗戦後の日本に対するアメリカの姿のほうが近いのではないかと感じてしまいました。序盤にグレースの父(ウィレム・デフォー)が言っていたことと妙に符合してしまうからなのです。これは深く考えすぎると日本の憲法問題にまで発展してしまいそうなのでやめておきますが、要するにアメリカの独善的なやり方の無意味さを訴えているのでしょう。
黒人奴隷問題を訴え、普通ならグレースに感情移入してしまう手法によって、最終章でどんでん返しを見せつけてくれる。また、エンドロールの背景映像では虐げられた黒人の映像。最終章だけ切り取ってしまうと、普通の人種問題を描いた社会派映画になってしまうところも面白い。ただ、最悪の状況になりさえしなければ支配される方が楽だと考える人々も問題があるような・・・やはりアメリカべったりの日本の姿なのかな・・・
★★★★・
前作『ドッグヴィル』では、主人公グレースが一般市民で父のギャングスターがアメリカそのものであるというわかりやすい構図になっていましたが、それよりも痛烈な批判となっていると聞いていたので、その真相を見極めるため身構えて鑑賞してしまいました。すると、冒頭から奴隷制度がなくなっていないアメリカ南部の町マンダレイへの介入。グレース(ブライス・ダラス・ハワード)がアメリカそのものになってしまった・・・
奴隷解放宣言がなされ憲法が修正されても未だに白人から奴隷扱いされていた黒人たちが働く大農園。支配者であるママが死んでからは、グレースとギャングの子分たちが残り、民主主義を徹底指導するようになるが、隷属関係に慣れすぎていた彼らはとまどうばかり。なんでもかんでも多数決が全てを決定するといったことを教えるのです。
横暴な政策、多少の失敗はあっても決定権は民主主義にある。それが甘い幻想であるとグレースが気づいたのは、ある少女の死。ウィルダという黒人女性が肺炎になった少女の食料を奪ってしまったのが原因と、ウィルダが家族たちからの怒りを買ったのだが、表決には逆らえないグレース。あくまでも中立の立場である自分が刑を執行しなければならなかった・・・
自分の価値観をそのまま押し付けるやり方は、現代に喩えるとアメリカがイラクに対して行ってる政策そのものだと取れるのですが、実は敗戦後の日本に対するアメリカの姿のほうが近いのではないかと感じてしまいました。序盤にグレースの父(ウィレム・デフォー)が言っていたことと妙に符合してしまうからなのです。これは深く考えすぎると日本の憲法問題にまで発展してしまいそうなのでやめておきますが、要するにアメリカの独善的なやり方の無意味さを訴えているのでしょう。
黒人奴隷問題を訴え、普通ならグレースに感情移入してしまう手法によって、最終章でどんでん返しを見せつけてくれる。また、エンドロールの背景映像では虐げられた黒人の映像。最終章だけ切り取ってしまうと、普通の人種問題を描いた社会派映画になってしまうところも面白い。ただ、最悪の状況になりさえしなければ支配される方が楽だと考える人々も問題があるような・・・やはりアメリカべったりの日本の姿なのかな・・・
★★★★・
コレって日本のコト?日本のコト??と思いながら観ていました。
しかし今回もラース監督のイヤらしさ全開。
>やはりアメリカべったりの日本の姿
=確かにそういう事に落ち着きますよね。
グレースの傲慢さが嫌でした。多分自分に重ねて見てたからだと思うのですが。
ブライスがイマイチ私のツボを外れたようでして…
次作は誰がグレースでしょう??なんだかんだと言いながら、どうせ見ちゃうのだと思うんですけどね。
わたしもcharlotteさんと一緒で
あのグレースが嫌でした
幼稚さはブライスにはあってたかもだけど
やっぱりダメなんですよ(ワタシ的に、、、)
男性には比較的、ウケがいいみたいですケド☆
もっとデフォーさんにも活躍してほしかったナ
三部作とも主演女優が変わるというのは
どうなんでしょね
ニッポンを描いていたという同意見を得られましたので、確信に変りました(笑)
「日本よ、アメリカなんかに追随すんなよっ!」ということも伏線にしていたのでしょう・・・多分。
>charlotte様
ストーリーはそれほど共感を得られるものじゃないですよね。全て反面教師。全てを多数決で決めていたら、殺さなくていい人まで殺してしまわねばなりません。
グレースに感情移入しても、別の意味で衝撃を受けますよね。
>mig様
次回作も変るのかぁ~~
まぁまたセックスシーンとか入れざるを得ないだろうし、それに耐えれる女優。
う~む。
ウィレム・デフォーがキレまくると別の映画になっちゃいそうだし、次回作では活躍するのかなぁ・・・
時代的に次は第二次大戦が始まりそうだし、戦争映画の要素が含まれるのかも・・・
前回もエンドロールは黒人の悲惨な姿だったですよね?
音楽が明るいのに映像が悲惨すぎて・・。
このシリーズは見た後どよーんと重くなります。
今回のセックスシーンも胸が悪くなりそうでした。
あれはデヴィッド・ボウイのヤング・アメリカンですよね。好きな曲じゃないけど、歌詞はアメリカへの批判めいた内容があるのかもしれないですねぇ・・・よくわかんないけど・・・
あのいやらしい妄想とセックスがラース・フォン・トリアーの意地悪なところですね(笑)
『ドッグヴィル』のほうがうんと重くて衝撃的、生きているの嫌になったけど、2作目って難しいですよね、評価が。最終作に期待です。
最近は点数が同じになりませんでしたもんね・・・
微妙なところで「ドッグヴィル」のほうが上ですけど、これもなかなか。
最終作はカンヌのパルムドールもとってほしいですね!