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母べえ

2008-01-27 15:06:39 | 映画2008
 君は母べえを見たか?

 今から30年ほど前、チョコベーというお菓子があった。不思議感のある画期的なCMがヒットしたためチョコべー遊びも流行ったし、友達の名前に“ベー”をつけて呼び合ったりするほどだったのです。残念ながら食べた記憶はないのですが・・・

 昭和十五年の野上家では、文学者である父親・滋(坂東三津五郎)のユーモアにより、互いに“べえ”をつけて呼び合っていた。その父親が思想犯として特高に検挙されるという悲しい内容にもかかわらず、家族は周りの温かな人たちに恵まれ、娘たちも明るくたくましく育っていく様子が印象的な映画でした。

 たとえば『はだしのゲン』のように、同じく反戦を唱えたために特高に捕まり、近所の人たちからも非国民扱いされて悲劇を強調する作品でもない。また、苦難を乗り越える強き母親像を表に出す作品でもないのです。物語の根底にある反戦思想は同じであるにしても、人間の温かさを前向きに捉えたような・・・特に戦争推進派(?)のような隣組の組長さん(でんでん)などはこの温かさを象徴するようなキャラクターでもあり、時には信念を押し殺してでも、人との絆がいかに大切であるかを丁寧に描いていました。

 主人公母べえを演ずる吉永小百合はすでに60歳を超えているのに、30代であっても違和感がない。型破りの叔父仙吉役である笑福亭鶴瓶よりもずっと若く見えるのです。さらに、サユリストをも満足させるかのような、世間知らずのお嬢様風であったり、男の好意に対する鈍感ぶりという一面も見せてくれる。そして、夫の元教え子である山ちゃんを演ずる浅野忠信がとてもよかったし、壇れいも『武士の一分』に続き好演。

 子役2人に関して、世間的には長女初子役の志田未来(みらい)の評判がいいようですけど、個人的には次女照美役の佐藤未来(みく)のほうがすごいと思った。自然に口の横にごはんつぶを付けるところや、コロッケを取るタイミングの良さや、カステラを我慢するところなど・・・演出の力なんだろうけど、上手くこなしすぎでした。

 全体的には原作者野上照代の自叙伝ということもあって、特高取り調べの拷問だとか戦争の悲惨さそのものは描かれていない。そして、衣装などが綺麗すぎることや子供たちも健康そうだったことなど、なぜか違う時代を見ている錯覚にも陥ってしまいました・・・それでも泣けましたが。

★★★★・

参考1
参考2

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22 コメント

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分かってて (しんちゃん)
2008-01-27 16:43:17
 吉永小百合の年齢を分かってて、しかも彼女が主演ってのを承知で観に行ってるわけだから、私のように年齢のことを書いちゃダメだよね(笑)

 わたしはもっと「肝っ玉母さん」かと思ってたのね。そしたら、ずっとさめざめと泣いてばかり(爆)
すごくベタなギャグをあれだけの芸達者がこなしたら、あんなに面白いって事に気がつきました。

 だから、悲しい帰宅をした父べぇの顎が二重なんて事にも触れてはいけないんだよね(爆)

 私もあのラストシーンまでは★4つだったのよね(笑)
 
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初・吉永小百合 (たましょく)
2008-01-27 17:15:18
 ども、たましょくです♪

 たましょくにとって初の吉永小百合出演
作品の観賞だったのですが、さすが大女優
としての存在感と演技に、「サユリスト」
とゆー熱烈なファンがいるのも頷けました。

 家族役それぞれの演じ方も良かったし、
初べぇの「しっかり者」と照べぇの「無邪
気」さが対照的に描きながらも、母べぇの
存在を中心に据えることで、一家はちゃん
とまとまっているんだと感じました。

 山ちゃん役の浅野忠信の好青年っぷりも
良かったし、親戚にひとりは居るよーな仙
吉の存在感も楽しく観られたポイントでし
た。

 大人になった初べぇが倍賞千恵子さんだ
ったので、吉永小百合さんとどっちが年上
なんだろうと考えてしまいました。
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バランスの取れた配役陣 (PGM21)
2008-01-27 17:19:37
何時もお世話になっております。

確かに年齢を言ってしまうと色々考えてしまいますが、時代を映すにある程度老けて映った方が入りやすいという感じはしました。ベテラン、中堅、若手とバランスの取れた配役は絶妙なメンバーかなと思いました。
我々の知らない時代なので劇場は年配(60前後)の方中心になりましたが、あの時代に生きた方や吉永さんのファンの方には凄く評価の高い作品になると思います。
最後のシーンですが、やはり強がった姿を見せた母べえの最期の本当の気持ちを初べえと照べえに伝えたかった気持ちは理解して良いと思いました。
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見ました。 (あんぱんち)
2008-01-28 00:50:51
チョコベーは知りません(笑)

吉永さん、60歳を過ぎてるとはとても見えないお肌でしたよ。
浅野忠信は良かったですね。
アノ人が苦手なんでより好感がw
佐藤未来ちゃんは「エンジン」以来だったけど、着々と成長してるようでした。
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小百合さま (chikat)
2008-01-28 14:34:41
誰もが60代ってわかっててみていて納得しちゃっているところが、小百合さまの化け物な老い知らずの美しさなのか監督の腕なのか。
本当に美しい方はうらやましいです。
でも、きっと、一生美しいわけだから人並みかそれ以下の人の心はわからないだろうな~。
なんて、僻むばかり。
水泳のサービスシーンがあるとは驚きの演出でした。
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昔良く食べました (くまんちゅう)
2008-01-28 20:53:28
結構好きだったのかな?
友達と一緒に食べた記憶がありますよ
チョコベー
年がばれるネタに釣られてしまった

あ、映画は未見です
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チョコベー (kossy)
2008-01-29 04:55:27
>しんちゃん様
たしかに俺もそう思ってた。感動コメントでも「凛とした」「強い母親」なんて言葉が出てくるし、その違いにびっくりしてしまいました。
基本的にはお嬢様風であり、弱いお母さんなんだと思いますけど、それでもしっかりと家族を支えていたというとこが良かったです。

>たましょく様
吉永小百合の昔の映画はいいですよ~
俺なんて絶対にファンになってるだろうな。そう思わせるほど魅力たっぷりなんです。
浜田光夫がうらやましく思えたり・・・

やっぱり娘二人の存在が大きかったし、山ちゃんや近所の人たちも。人との付き合いがいかに大切かを家族愛と同様に感じてしまいました。

>PGM21様
劇場内の平均年齢は高かったですよね~
さすがに『北の零年』ほどではありませんでしたし、子育てを終えたお母さんといった年齢の方も多かったように思います。
キャスティングは絶妙でしたね~山田作品というと子役にハズレはないし、年代ごとにいい役者を配してました。
母べえの本音・・・戦争やあの時代を憎む気持ちが表れていて本当に良かったです。

>あんぱんち様
チョコベーは昭和55年まで発売されてたとか・・・グリコ森永事件の影響もあったのかもしれませんね。
浅野忠信は俺もそんな好きではなかったけど、この映画で変わりました。今まで一番よかったのが『青春デンデケデケデケ』だったと思ってたし・・・

>chikat様
なんたって小百合様ですから・・・いつまでたっても若いことを強調しなければいけませんもんね。
最近、チャンネルNECOやwowowなんかで小百合様をチェックしてたのですが、昔はもっと良かった。信じられないくらい・・・たまに演技が下手なところがあるのがいいんです(笑)

>くまんちゅう様
いやはや、この映画の宣伝が始まったころからずっと思い出そうとしてたのです。YouTUBEはすごいですよね。こんな古い映像まで見つかるんだから・・・
映画をご覧になるときにはチョコベーのことをお忘れくださいませ(笑)
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カステラ (AKIRA)
2008-01-29 10:48:54
空腹時に観たので,余計に照べえの,
「カステラ・・・」「お肉食べたかった・・・」
が本気の声のように聞こえました。^^;

山田洋次監督の演出力って凄いですね。

山ちゃんが母べえを見て,
羨ましいなと思った瞬間の表情に涙を誘われました。。
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婆べえ (motti)
2008-01-29 15:22:45
吉永小百合ありきのキャスティングで本当にあの子たちの親世代としてピッタリくるはずの30~40歳代の役者が見事にスッポリ抜けてました。
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こんにちは♪ (ミチ)
2008-01-29 16:06:44
吉永小百合の実年齢が気になってお話に入り込めないかもしれない・・・って心配していたのですが、大丈夫でした。
さすが国民的女優ですね~。
吉永さんは水泳が得意なので、あの海のシーンを用意したのかと勘ぐってしまいました。
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