邦題と予告編だけ見ると、「ジョナサン・デミがアメリカ万歳映画を作ったのか？！」と驚いてしまったのだが、観てみると全く違っていた（汗）。
オリジナルは『影なき狙撃者(1962)』（監督：ジョン・フランケンハイマー）、未見。調べてみると、「朝鮮戦争時、アメリカ軍兵士が中国共産党により洗脳され、殺人者と化してアメリカの政治家となる」といったいかにも米ソ冷戦時にありがちなストーリーらしい。そしてこの映画は、原題が“THE MANCHURIAN CANDIDATE”（満州の候補者）のまま、マインド・コントロールする黒幕が共産国でもイラクでもなく、アメリカ内部の巨大企業となっているのだ。満州なんて全く関係ないのに、敢えてこのままにするとはかなりシャレが効いている。『華氏911』が公開された直後であるから、誰しもがブッシュ一族や軍事産業を思い浮かべざるをえないし、日本でいえば湾岸戦争後のオウムを代表格とする世紀末思想によるマインドコントロールが痛烈に風刺されている。冒頭のシーンから真実調査するまでの設定が『戦火の勇気』に似ているけど、これはセルフ・パロディなのだろうか・・・
自分の記憶も操作されている・・・夢なのか現実なのかがわからなくなる恐怖。電話の声を聞いて殺人を犯すように操作され、しかもその記憶は一切残らないのです。マザコン政治家のリーヴ・シュレイバーと真実を知りたい一心で行動するデンゼル・ワシントン。そして、「うちのお子は戦争の英雄なのよ！ほっ、ほっ、ほっ」と声高々に笑う狂気のメリル・ストリープがスクリーンいっぱいに迫ってくる。アクションは少なめながら、じわじわと心理攻撃してくる映画はこちらまでマインド・コントロールされているかのような錯覚に陥ってしまうのです。そして、カヌーのシーンでは思わず泣けてきました。
「記憶」というテーマも重要なのかと思っていたら、「情報操作」というテーマまで隠されていました。政治家、軍人、大企業、FBIとそれぞれの思惑が交錯する社会派サスペンスとなっていて、ラストも秀逸。ユナイテッド・シネマズと一部の映画館だけの公開というのはもったいない。
★★★★・
・クライシス・オブ・アメリカ＠映画生活
オリジナルは『影なき狙撃者(1962)』（監督：ジョン・フランケンハイマー）、未見。調べてみると、「朝鮮戦争時、アメリカ軍兵士が中国共産党により洗脳され、殺人者と化してアメリカの政治家となる」といったいかにも米ソ冷戦時にありがちなストーリーらしい。そしてこの映画は、原題が“THE MANCHURIAN CANDIDATE”（満州の候補者）のまま、マインド・コントロールする黒幕が共産国でもイラクでもなく、アメリカ内部の巨大企業となっているのだ。満州なんて全く関係ないのに、敢えてこのままにするとはかなりシャレが効いている。『華氏911』が公開された直後であるから、誰しもがブッシュ一族や軍事産業を思い浮かべざるをえないし、日本でいえば湾岸戦争後のオウムを代表格とする世紀末思想によるマインドコントロールが痛烈に風刺されている。冒頭のシーンから真実調査するまでの設定が『戦火の勇気』に似ているけど、これはセルフ・パロディなのだろうか・・・
自分の記憶も操作されている・・・夢なのか現実なのかがわからなくなる恐怖。電話の声を聞いて殺人を犯すように操作され、しかもその記憶は一切残らないのです。マザコン政治家のリーヴ・シュレイバーと真実を知りたい一心で行動するデンゼル・ワシントン。そして、「うちのお子は戦争の英雄なのよ！ほっ、ほっ、ほっ」と声高々に笑う狂気のメリル・ストリープがスクリーンいっぱいに迫ってくる。アクションは少なめながら、じわじわと心理攻撃してくる映画はこちらまでマインド・コントロールされているかのような錯覚に陥ってしまうのです。そして、カヌーのシーンでは思わず泣けてきました。
「記憶」というテーマも重要なのかと思っていたら、「情報操作」というテーマまで隠されていました。政治家、軍人、大企業、FBIとそれぞれの思惑が交錯する社会派サスペンスとなっていて、ラストも秀逸。ユナイテッド・シネマズと一部の映画館だけの公開というのはもったいない。
★★★★・
・クライシス・オブ・アメリカ＠映画生活
どうもありがとうございます。
何だか、自分の記事を読み直すと、結構力入れて書いてあるなぁ～と恥ずかしくなってきました。
多分2時間はかかってるはず・・・
相方様にもよろしくお伝えください。
俺もストーリー的には、いくつかのプロットを融合したような雰囲気という風に感じました。映画は娯楽だととらえると、つまらないですよね。
諸悪の根源は生き残り、犠牲者が浮かばれないという手法は社会派映画の特徴だと思ってます。
アメリカって怖いなぁ～と感じたので、俺はそれで満足でした。
やっぱりレイモンドは洗脳から目覚めてたんですね。
でも、あれって結局は何も解決してないですよね？
企業が潰れたわけでもなく、博士が殺されたわけでもなく、利用された二人の男とその母親が死んだだけですもんね。
ということは、まだまだ、アメリカのクライシスは続くわけで、何だか気持ちの悪い終わり方でした。
お返事ありがとうございます。なんかスッとしました。わざわざありがとうございました
2回目を観て確信しました。
その解釈でOKのようです。
要するに、レイモンドが最後の最後でマインド・コントロールされていたことに気づき、覚悟の自殺をした・・・デンゼル・ワシントンがターゲットをはずすことは考えられないのでそれしか考えられないのでしょう。
そっか、坊主になったという意味がそこにあるとは！そこまで考えませんでした。
FBIも予定外のことで、とっさにデンゼルを撃っていましたし、洗脳されてなかったら、事前にFBIに知らせておいたと思います。それで、FBIが別の犯人を仕立て上げ、マンチュリアン～をも取り締まり、事件は解決した。それでラストは坊主になっていたから、頭のチップを取り除いた、という私の解釈なんですけど、どうでしょうか？洗脳されてなかったら、あそこにはいかないと思うし、あの親子を最初から撃つつもりなら、レイモンドは目であんな合図を送らなかったと思います。長々とすいませんが、ご意見お聞かせください。
アメリカ政治の黒い部分を描く政治サスペンス。
マインド・コントロールとか、ライバルを武力で一掃するとか、チップを埋め込むなんてのは現実的ではないけど、見ごたえのある映画でした。
映画レビューは率直な感想を書くのが一番です。
そんなに飾らなくても今のままがいいですよ～♪
また、ＴＢありがとうございました。
映画はすきなのですが、
あまりうまく表現できなくて・・・・・
面白い映画でした。
今回、久しぶりだなぁと思ったのは覚えております。
デンゼルへの指示は、もっとストレートに、大統領を撃てっていうことだった思うんですよね。
身体を拭いているシーンで、シュレイバーが
「彼は打ち損じなど・・・」
と言って、メリルはそれをわかっているというような反応を見せましたよね。
だから、最初から、新大統領を撃つように指示したと思うんですよね。
成功して、暗殺者も狙撃され殺される。
調べてみたら、数日前からシュレイバーの周りをうろちょろしている人物。
世間は、
「シュレイバーを撃とうとして、誤って新大統領に当たってしまったんだ」
と捉える。
っていう筋書きだったのではと思います。
人によって、これだけ、いろんな解釈が出ると、もう一回見ようかなと思いますね。
こちらからもＴＢさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
詳しいコメントありがとうございます。
シュレイバーの自殺という点では一緒ですよね？
息子の体を拭きながら説明するところなんですけど、
微妙に翻訳が意味不明になるのです・・・
二つの台詞で説明してるんですけど、
二つが微妙に絡まない・・・
「大統領を狙うから」と「★印に立つ」という点です。
デンゼルにも指示してるはずなんですけど、こちらは想像で、「星の上に立つ人間を撃て」だと思ったのですけどね。
何度も観ないと理解できないような翻訳なんですよね・・さすが奈津子さんです。
FBIの情報操作シーン。
いいですよね～
これで評価が上がっちゃいました。
メリルはシュレイバーの身体を洗ってあげるときに作戦を話しますよね。そのときにたぶん、
「新大統領がまず前に出る。呼ばれてあなたが前に出る。あなたが星印のところまでいくとデンゼルが狙撃してくる。あなたを狙って狙撃してくるのだけど、誤って新大統領を撃ってしまうの」
って言いましたよね？
と、言うことは、星印のところに立つと、位置関係が、デンゼルとシュレイバーの間に新大統領が入るために、誤って撃たれてしまうということだと思うんです。
だから、シュレイバーはあえて、星印のところには立たず、新大統領とデンゼルの間に立つんですよ。
そして、俺を打てと目で合図するんじゃないんでしょうか？これでいいんだと。
どうですか？
私も、最後のＦＢＩによる情報操作がびっくりでした。
こんなことが実際行われているのかと思うと、怖い世の中です。
確認しました。
メリル・ストリープがデンゼルに狙撃指示をしたターゲットは新大統領（俳優名知らない）です。
シュレイバーは新副大統領として一緒に壇上に立ったわけです。
副大統領の対立候補だったジョン・ヴォイトはすでにシュレイバーがマインドコントロールで殺してしまった。
ストリープはシュレイバーが予定に逆らって星の上に立つものだから、抱きつかれた彼を動かそうとしたのに、シュレイバーがデンゼルに「撃っていいよ」と目で合図したように見えました。
やはりその後のエピソードが面白く、マンチュリアン・グローバル社の悪事を暴くために情報操作してデンゼルを生かすというところがポイントですね。真実と正義のためにと行動するFBIだって胡散臭いところだというプロットです。
マインドコントロール（brain washer）でカップヌードルを食べたくなるような情報を与えられた人もいるのかな・・・
ラストの場面でリーブシュレイバーと一緒にいたのは大統領だと思います。ジョンボイトが副大統領候補でしたが、カヌーに乗っていたときに殺されてしまいましたね。DVD が出たら見てみようと思います。疑問におつきあいいただいてありがとうございましたm(^^)m。
配役がわかりませんが、☆の印に立つ人を狙いました。
でも、そこには、リーブシュレイバーがわざと立ってしまっていました。
おふたりともシュレイバーが自殺しようとしたのだ、というところは一致しておられるのですね。なるほど。
でも、祐さん、ジョン・ボイトはこの時点で既に死亡してますよね？湖で。メリルストリープが暗殺を命じたのはもしかして大統領だったのでしょうか？同僚のひとりがそういう解釈を話していたのですが。
映画は役者もそろってるし、退屈ではありませんでしたが、こんなふうにラストがわかりにくいのはちょっとどうかと思いますね。
ジョンヴィオットを狙撃した瞬間にリーブ・シュレイバが割り込んできたように思えました。微妙なタイミングだったので、もう一度観た方がいいとは思うのですが、確かに誰を狙ったかが解りにくいです。
返信が遅れて申し訳ありません。
メリル・ストリープは、もう安心して観ていられる女優ですもんね・・・デンゼル・ワシントンもだけど。
オリジナルは知りませんが、ラストはほんのお遊びみたいな変更なのかもしれません・・・
＞ada様
ま、オリジナルはもっと幼稚なんでしょうけど・・・
ホラーとかサスペンスを期待していたら失敗する映画ですよね。むしろ人間ドラマと政治の風刺を楽しむ映画。
途中は確かに眠気を催しましたが、スクリーンのマインドコントロールにやられちゃったのかもしれません・・・
＞祐さま
CIA万歳という映画は、最近見かけませんもんね。
とりあえず善玉を用意しなければならないし、FBIが適任なのでしょう。西部劇だったら、悪徳保安官というパターンだし・・・
細かなストーリーは残らないです。
＞じゃりんこ様
ラストは、シュレイバーの自殺（わざと撃たれて）でしょう。
彼は何とかして抵抗したかったけど、体が言うことをきかず、この道しか残されていなかった、と解釈しています。もちろん、デンゼル・ワシントンは彼（他の人も）を撃つつもりではなかった、と。
もう記憶がなくなってきているので、正確じゃないかもしれません・・・
「クライシスオブアメリカ」ラストが秀逸、と書いておられるので質問させてください。
（以下カンペキネタばれです）
最後、メリルストリープがデンゼルワシントンに電話で指示しますよね。デンゼルはそれにはまってしまうのですよね？
つまり、背中に埋め込まれているチップは取り出したけど、頭に埋め込まれたチップが残っていて、まだマインドコントロールされていた状態なわけですよね？
ところが、リーブ・シュレイバーが指定の場所に立たなくて、でも、結局、指定の場所に立ったときにデンゼルは狙撃した、ということなのですか？メリルストリープは息子ともども殺されることを望んでいたのですか？それとも、息子を殺そうとした？誰が誰を殺そうとしていたのか、誰がマインドコントロールされた状態だったのか？最後の演説に出る前にメリルとリーブが交わしていた会話がよくわからなくて、混乱しています。
何人か見た人に尋ねてみたのですが、みんな解釈が結構ばらばらです。kossy さんはどんなふうに見られたのか教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
民主主義を大義名分にして、公平性の独占化を正当化していくことはもう皆が知っているから、あまりショックは無かったけど、ＦＢＩが正義の使者だったのがまだ救われました。
でも、この手のメッセージなら、「スーパーサイズミー」の方が現実的で リアルだったなぁ。
2時間20分がんばりましたが、忘れてそうな映画です。
正直批判めいた意見が無いに等しいのに
ひいています。
先ほど見てきましたがこの映画しょぼすぎです。
何か初めの方でストーリーの展開が全て見えて
しまって、デンゼル・ワシントンもメリル・ストリープも仕事選べよって言いたいです。
この二人が出てるからってことで下調べもせずに
選んでしまった私が悪いのですが、
何でこんなもの見てしまったのか。
初めて映画館で寝そうになりました。
終わったあと周りの人達も最悪、つまんなすぎと
言ってましたよ。
作品の内容は非現実的で、発想は中学生レベルですね。昼のテレ東のドラマ見てるみたいだった。
とにかく最悪！配給会社いい加減にしろ！！
うまくて当然だと評価されなくて大変ですよね。
彼女は前のアダプテーションも凄かった。
デンゼル・ワシントンも相変わらずうまかったですがいつもと大差ない役で驚きはないですね。
ただストーリーはちょっと・・・。え、終わったの？って感じでした。まだまだ続くテレビドラマの最初っぽかった。
確かに政治がらみの映画にしてはホラー要素が入ってるし・・・バランスが難しいですね。
リアリティの無さがヒットしなかった原因かなぁ・・・
『華氏911』の衝撃のほうが凄かったためかなぁ・・・
＞arudenteな米さま
この設定だけだったのかもしれません・・・（汗）
見た直後は3点だと思ってたのに、
調べていたら評価が上がってしまいました・・・
＞えふ様
メリル・ストリープ最高！
リーヴ・シュレイバーがマザコンになるのもわかりますよね（笑）
＞rika様
寝てる間にチップを埋められたら・・・こわいですねぇ。
記憶がなくなるというのも・・・やだ。
まだ起きてみえたんですね
夜中にTBさせて貰いました。
恐かったけどーーよかったです。
デンゼル・ワシントンとメリル・ストリープならお客さん呼べそうだし。
デンゼル・ワシントンが好きで見に行ったのですが、メリル・ストリープのほうが強烈でした（苦笑）
自分は色々な別の映画思い出してしまいました。
それにしても最近は記憶を扱った映画が多いですね＾＾
デンゼル・ワシントン好きなら問題ないですよ！
普通ならば、アメリカの敵はテロリストだ！とするところをこの映画のようにするところが良かったかと思います。