背後霊じゃないよ。
謎の青年テソク。バイクで住宅街を走り、家の玄関にチラシを貼って去ってゆく。また戻ってきたかと思えば、チラシをはがしてない家の鍵をピッキングによって開け侵入する。金目のものには目もくれない。せいぜい冷蔵庫を開け、勝手に料理し、風呂に入り、ベッドで寝るだけだ。そして故障している家電製品を直し、住人の衣類の洗濯までしてしまう。
冒頭から風変わりな行動をとる青年に引き込まれ、まったく台詞のない彼であっても純粋で孤独な心が手にとるようにわかる。SECOMの看板があってもなんのその。住居不法侵入であってもモノは盗まない。家人が居ても幽霊のような存在なのです。そんな彼が出くわしたのは、独占欲の強いDV気味の夫にうんざりしている人妻ソナ。孤独であり抜け殻のような生活を強いられる彼女とすぐに心が通じ合ったかのような雰囲気を見事な演出で描き出しています。
原題は「3-IRON」。文字通りゴルフクラブの3番アイアンだけは盗んでしまった形となったが、もうひとつ盗んだのは人妻ソナの心。不法侵入する奇異な行動に同調して、何もかもが彼の行動パターンに重なり合うという新しい愛の形でもありました。なんといってもソナとテソクが二人とも足跡を辿るシーンが素晴らしかった。
映像の美しさというよりも美しいまでの純粋さに心打たれましたが、ささやかな復讐やちょっとした事件まで無関心ではいられない。現実か夢かわからないといったテロップで締めくくられますけど、暴力によって残された傷跡だけは現実ですから・・・
★★★★・
謎の青年テソク。バイクで住宅街を走り、家の玄関にチラシを貼って去ってゆく。また戻ってきたかと思えば、チラシをはがしてない家の鍵をピッキングによって開け侵入する。金目のものには目もくれない。せいぜい冷蔵庫を開け、勝手に料理し、風呂に入り、ベッドで寝るだけだ。そして故障している家電製品を直し、住人の衣類の洗濯までしてしまう。
冒頭から風変わりな行動をとる青年に引き込まれ、まったく台詞のない彼であっても純粋で孤独な心が手にとるようにわかる。SECOMの看板があってもなんのその。住居不法侵入であってもモノは盗まない。家人が居ても幽霊のような存在なのです。そんな彼が出くわしたのは、独占欲の強いDV気味の夫にうんざりしている人妻ソナ。孤独であり抜け殻のような生活を強いられる彼女とすぐに心が通じ合ったかのような雰囲気を見事な演出で描き出しています。
原題は「3-IRON」。文字通りゴルフクラブの3番アイアンだけは盗んでしまった形となったが、もうひとつ盗んだのは人妻ソナの心。不法侵入する奇異な行動に同調して、何もかもが彼の行動パターンに重なり合うという新しい愛の形でもありました。なんといってもソナとテソクが二人とも足跡を辿るシーンが素晴らしかった。
映像の美しさというよりも美しいまでの純粋さに心打たれましたが、ささやかな復讐やちょっとした事件まで無関心ではいられない。現実か夢かわからないといったテロップで締めくくられますけど、暴力によって残された傷跡だけは現実ですから・・・
★★★★・
洗濯も、今は私の仕事になってるので、ホント1日でもいいから、テソク君、ウチに来てよ~~!
それはともかく、不思議で、味のある映画でした~。
好みです!
テソクの器用さだったら電気屋さんにすぐ就職が決まりそうですね。
ただ、家電製品に強い割には洗濯機を使わなかったというのもミソです。どちらかというと小さな製品に強いのかな?
料理も得意そうだし・・・生活力ありますよね・・・
確かに傷跡は残りますよね。おもちゃのピストルで目を痛める母親や、ゴルフボールで流血する女性など、短いシーンながら忘れられません。
私には、傷跡や痛みが現実世界と幻想世界の境界面のようにも思えました。
この境界が映画の評価の分れ目なのかもしれませんね。
本来残酷描写が得意な監督ですから、この映画では痛みをどう捉えているのか一度観ただけじゃわからないのかもしれません。
おっしゃるとおり、現実世界と幻想世界の境界と考えると奥が深い映画だったことがわかります~~すごい。
修理したモデルガンとか、飛んでいったゴルフボールでの事故はちょっと衝撃的でギドク監督っぽいなと思いました。
二人で乗っていた体重計のメモリがゼロだったんですよね・・・・。
本当に不思議な映画でした。
でも、好きな雰囲気です。
一体キム・ギドクの精神構造はどうなっているんだろうと思わせるほどで、一種の陶酔感がありました。
大概邦題には、いちゃもんつけたくなるのですが、これには座布団3枚ですな。
東のギドクか、西のオゾンかな・・・と。
そうそう、あの目盛が0ってのが、気になるところですよね。
ソナも体重計を直すことを覚えてしまったし、彼女が二人で合わせて0になるように仕組んだとか、完全に二人とも幽体離脱してしまったとか、単なる夢だとか色んな想像ができて楽しいですよね。
俺は、テソク君が天井からぶらさがって、ソナがそれにしがみついてる図を想像してしまいました(笑)
>sakurai様
ギドクの頭の中は映画監督の頭の構造と違いますね。
多分芸術の世界に飛んでいってるのでしょう。
オゾンに関しては『ぼくを葬る』をまだ観ていないので何とも言えませんが、かなりぶっ飛んでます。でもたまにまともな映画を作るので、天才と呼ぶべき人なのでしょう・・・あぁ早く観たい。
「悪い男」でブッ飛びましてから、ずっと観つづけております。貴ブログは以前から拝読させて頂いておりました。的確で簡潔な表現と文章の力強さ、納得の映画ブログですこと!これからも寄らせて下さいませ。
↑に差し替えて前のは削除して頂けたら助かります!ナンカあわてて投稿サイドのURL貼り付けてしまったようです。(笑)
どうもありがとうございます。
「悪い男」は観てないのでなんとかして観たいと思っています。そんなに観てるわけではないのですが、韓国の監督では一番!いや、世界でもベスト5に入ります。
そんな俺のブログでよかったら、いつでも遊びに来てください。はげみになります。