ありゃ・・・テロリストじゃなかったのか・・・と、キョトンとした表情のポールの目は、同時多発テロの速報を聞いた時のブッシュに似ていた。
ポール(ジョン・ディール)はベトナム戦争の後遺症が9.11以降に再発してしまった。誇り高きアメリカの国を自分一人で守ってみせる。ケータイの着メロだってアメリカ国家だ。未だに陸軍に所属していると勘違いしてか、監視カメラ付きのバンには武器だって何でも揃っている。「ベトナム戦争だって、アメリカが勝ったんだぜ」などと、大いなる勘違いを姪のラナ(ミシェル・ウィリアムズ)に得意気に話すのです。ターバンを見たらテロリストと思え!が信条なのかもしれません。しかし、警察に捕まったこともなさそうな、善良な市民である一面も見せ、どうしても憎めないキャラクターの男でした。
そんな伯父さんの言葉に耳を傾け、たった一人の肉親を暖かく見守るラナ。伝道活動を続けていた親とともにアメリカ、アフリカ、パレスチナと移り住んできた彼女は、9.11というアメリカの災難を異国で過ごしてきたことさえ悔やんでいた心優しい20歳の女性。報復することに疑問を感じ、ボランティア活動を続けているのです。スピルバーグの『ミュンヘン』のように残虐シーンから問題提起するのではなく、愛することから平和を訴える象徴的なキャラクターだと思います。
脇役でも光ったポールの部下であるジミー(リチャード・エドソン)が好きです。ポールの命令を忠実にこなし、飄々とした態度は微笑ましく感じました。しかし、ポールがトラウマによって暴走することにも付き合い、疑問を感じてなかったのか?などと、つっこまないほうが良さそうです。ガキ大将の腹心なんてこんなものですよね・・・
後半、ヴェンダースお得意のロード・ムービーとなりますが、車の中だけは家族愛を感じられる空間でした。カリフォルニア州の田舎の道は彼らが歩んできた波乱万丈の人生を象徴するような荒涼感を描き、アメリカ万歳精神が薄れていく旅でもあったかと思います。また、屋上のシーンが3回登場しますが、ラナが伯父とめぐり合えたことの喜び、殺人事件への不安、アメリカの未来を見つめる場面と、それぞれラナの心理描写が巧みに表現されていたと思います。
戦争、テロ、報復など、訴えていることとは裏腹に、爽やかな印象でエンディングを迎える映画。ミシェル・ウィリアムズの魅力も満載だ。
★★★★・
ポール(ジョン・ディール)はベトナム戦争の後遺症が9.11以降に再発してしまった。誇り高きアメリカの国を自分一人で守ってみせる。ケータイの着メロだってアメリカ国家だ。未だに陸軍に所属していると勘違いしてか、監視カメラ付きのバンには武器だって何でも揃っている。「ベトナム戦争だって、アメリカが勝ったんだぜ」などと、大いなる勘違いを姪のラナ(ミシェル・ウィリアムズ)に得意気に話すのです。ターバンを見たらテロリストと思え!が信条なのかもしれません。しかし、警察に捕まったこともなさそうな、善良な市民である一面も見せ、どうしても憎めないキャラクターの男でした。
そんな伯父さんの言葉に耳を傾け、たった一人の肉親を暖かく見守るラナ。伝道活動を続けていた親とともにアメリカ、アフリカ、パレスチナと移り住んできた彼女は、9.11というアメリカの災難を異国で過ごしてきたことさえ悔やんでいた心優しい20歳の女性。報復することに疑問を感じ、ボランティア活動を続けているのです。スピルバーグの『ミュンヘン』のように残虐シーンから問題提起するのではなく、愛することから平和を訴える象徴的なキャラクターだと思います。
脇役でも光ったポールの部下であるジミー(リチャード・エドソン)が好きです。ポールの命令を忠実にこなし、飄々とした態度は微笑ましく感じました。しかし、ポールがトラウマによって暴走することにも付き合い、疑問を感じてなかったのか?などと、つっこまないほうが良さそうです。ガキ大将の腹心なんてこんなものですよね・・・
後半、ヴェンダースお得意のロード・ムービーとなりますが、車の中だけは家族愛を感じられる空間でした。カリフォルニア州の田舎の道は彼らが歩んできた波乱万丈の人生を象徴するような荒涼感を描き、アメリカ万歳精神が薄れていく旅でもあったかと思います。また、屋上のシーンが3回登場しますが、ラナが伯父とめぐり合えたことの喜び、殺人事件への不安、アメリカの未来を見つめる場面と、それぞれラナの心理描写が巧みに表現されていたと思います。
戦争、テロ、報復など、訴えていることとは裏腹に、爽やかな印象でエンディングを迎える映画。ミシェル・ウィリアムズの魅力も満載だ。
★★★★・
でも、もうちっと、タイムリーに見たかったなあと残念に思いました。2年位前に。
あのおっさんは、なんで生計を立ててるんでしょうね。ベトナム帰りは、いっぱい年金もらってるのかな、などと余計な心配をしてしまいました。
おっさんは多分軍人恩給で暮しているのでしょう。
贅沢もしてないみたいだし、十分やっていけるのだと思いますよ。
9.11からずいぶん年月が経ってしまったような気もしますけど、俺ももうちょっと前だったらよかったな~なんて思いました。
16日間で撮ったらしいですね~
ヴェンダースの考えがはっきりしているため、撮りやすかったのでしょう。
俺はポールが手紙を読むシーンでウルウルきてしまいました。
とても良い映画でした。サントラも購入して何度も聞いて…。ひどく泣けた映画でもありました。意味なく殺された人々は、もちろんでしたが、ポールが気の毒で。殺伐とした土地で、弟の死をただ受け入れるしかない兄の心情にも、泣けて泣けて…。レナード・コーエンの歌にインスパイアされたともいうことで、渋いなかにも暖かいスピリットが感じられました。
いいですね~~舞台挨拶。
俺はどんな人かも知らなかったりして・・・あかん隊さまのブログにて確認しました。
あのお兄さんはいい演技でした。悲しみを隠して、貧しい生活なのにバーボンをすすめる姿が素敵でした。
サントラ・・・気になりました。いい曲ですよね♪
とっても味のある叔父さんですよね。
害はなさそうだし。
そしてラナがいいです!
はじめて見た女優さんですが、無垢な魂を持っている感じが良かったなぁ。
ちなみに彼女のマックは私とおソロです。
仰る通り、危険そうだけど害がない・・・
なかなかこういう人はいません。
純真無垢なラナちゃん、いいですよね~
シネモンドの公式サイトの絵はラナちゃんっぽいです。
あ、ミチ様マックでしたのね・・・
こちらの記事の方にもコメントとトラックバック、失礼いたします。
この作品には、物語の深部に多くの示唆を与えられ、真の強さには柔軟な包容力が必要不可欠であると強く伝えられます。
そして、ラナ役を演じたミシェル・ウィリアムズさんをはじめとして、出演者の方々の演技とスタッフの皆さんの力が組合わされ、短期間で作られたとは思えない素晴らしい映画であると思います。
また遊びに来させて頂きます。
ではまた。
そうですよね。
本命である映画『アメリカ、家族のいる風景』を撮る前の短期間。ちょっとすごい技です。
ミシェル・ウィリアムズの内面からくる素直さがおかげで十分に引き出せたような・・・
『ブロークバック・マウンテン』はコチラでは10日後。楽しみにしてま~す。