タマとミキ
泥棒に入った屋敷に画材のセールスマン(ユースケ・サンタマリア)がやってきて、家主と勘違いされ「そうです~」と答える大貫はじめ(丸山隆平)。窮地に陥り、成す術もなく発したこの情けない言葉が、この後、家主である絵本作家の前園俊太郎(市村正親)と対面したとき、本物の編集者・奥江里子(石橋杏奈)が現れたときに再度発せられる。この新任編集者の奥という名字も幸いして、この4人のやり取りがとても面白い前半であった。
吉本新喜劇のようなコメディは大好きですが、どこまで勘違いシチュエーションを引っ張るのかと思いきや、作家本人がゴーストライターというところまで勘違いは発展する。重要な役割でもあるセールスマンは空気を読めないというがが、売れる見込みもない一軒の家にそこまで粘るか?という疑問も残るものの、最後にはクレイマー隣人・高梨に売り込んで無事に解決する。この高梨が下手な歌をYouTubeに投稿していることも笑える。
前園は「タマとミキ」という絵本が売れて有名になった作家。なぜ猫のタマが先で飼い主のミキが後にくるのかと不思議に思いつつ、これが前園と亡き妻を描いたものであることや、妻が勝手にタイトルを変更してしまったことなど、色々なものが詰まった作品であることがわかってくる。ただ、後半は「タマとミキ」の続編を作るのか全く別の絵本を作るのかとストーリーが展開するので、笑いの要素は減ってくるのが残念。
やはりオリジナル脚本の映画は楽しめる。はじめが泥棒とわかっても優しく接する3人や、はじめの同棲相手である藤岡美沙(高畑充希)の優しさが心を温かくしてくれる。誕生日デートをすっぽかされても何一つ文句言わないなんて希少価値彼女ですよ。
★★★・・
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