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少女ヘジャル

2005-03-14 18:18:08 | 映画2005
 序盤、警官隊がクルド人を惨殺するシーン。このシーンでの警官が残虐すぎるということで、トルコ国内で上映禁止になるというほどクルド人問題は深刻だった。

 <あらすじ>
 5歳になる少女ヘジャルは叔父のエブドゥに連れられてイスタンブールの親戚の家に預けられるが、その日突然、武装警官隊が突入してきて親戚の者たちは銃殺された。同じアパートの隣人である元判事のルファトはあまりにも不憫に思い、少女を引き取ることとなった。しかし、少女はクルド語しかしゃべれず、ルファトは「トルコ語しか使うな」と言うが、少女も頑固であった。長年家政婦として働くサキネも実はクルド人だということがわかったので、通訳してもらうことに・・・

 <感想>
 中東のあちこちを放浪し、差別されているクルド人。『レオン』のワンシーンのように問答無用で殺されるという理不尽さも、ルファトがクルド語を禁ずる手段に出たことも、クルド人移住地区の貧困生活の描写とともに心に突き刺すほどの訴えが感じられる。こうした民族差別の垣根を越えて、元判事の老人と少女ヘジャルが次第にコミュニケーションをとる姿に感動しました。

 ヘジャルの顔、何かを訴えてくる瞳、とまどいながらも老人の手を握りついていく子どもらしい仕草など、愛くるしさいっぱいです。どことなくミシェル・ロドリゲスを思い起こし、子ども時代はこんな雰囲気じゃないかなぁ~なんて思ってしまいました。

 前半の伏線としては、“呼び鈴”が重要です。一家惨殺の恐怖を呼び起こされるというトラウマに老人ルファドは愛情をもって対処するところに、小さなエピソードではあったけど、ほのかな感動を呼びます。

 そして、クルド人移住区へ行ったルファドが叔父エブドゥにヘジャルを返そうかと画策するのですが、一部屋に何人も住む少年たちを目撃してしまう。このときの心理描写が実に上手い。さすが女性監督ならではの視点で暖かく表現していました。

アンカラ国際映画祭主演男優賞、助演女優賞
イスタンブール国際映画祭観客賞

★★★★・
少女ヘジャル@映画生活
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