2020(令和2年)10月20日
自粛生活している間~現在までも、気が付けば家の中をあちこち整理整頓しています。
何年か前の写真がバラバラと出てきたりして、『この頃は若かった~(それはそうでしょ)』
『あっそうそう イスラエルにも行ってたんだ、思い出した~イエス・キリストがゴルゴダの丘まで十字架を背負って歩いた道(ヴィア・ドロローサ)だね・・・いい旅してきたね~』
『あらっこんなところに 印材一組、 いつ買ったのかしら? 中国旅行中なことだけは分かるけど・・・』
という訳で、
この時出てきた印材を直ぐに安藤豐邨先生に送ってお願いしました。
今回は自分で求めた記念の なかなかお気に入りの印材なので、
琅玕 という言葉を使って欲しいと希望しました。
数日後、早速出来上がって私の手元に届きましたキャー素敵ですうw
私の想像を超えての落款印の出来上がり、謝々
香竹・琅玕室主人
ー記念に琅玕について記しておきたいと思いますー
① 琅玕とは美しい緑色の玉、最高級の翡翠のことをいう
幸運を引き寄せる意味と効果があります、
色の美しさはエメラルドに匹敵し、最高級の琅玕はエメラルドより
高価です、、、
※その美しさはネット上で確認してください。
② 色が①に似ていることから、青々とした美しい竹のことをいう
※ 香竹の雅号に因んで、竹の形容から私の庵号を勝手に 『琅玕庵 』とさせて頂いております関係で、今回この言葉を使っての印をお願いいたしました。
又、漢詩の中にも竹の形容に 琅玕 という言葉が稀に使われております。
その一例で、以下は中唐の詩人白居易の詩のご紹介です
「香鑪峯下新置草堂即時詠懷題於石上」 白居易
香鑪峯下新たに草堂を置き 即時詠懷 石上に題す
香鑪峯北西 香鑪峯の 北西、
遺愛寺西偏 遺愛寺の 西偏。
白石何鑿鑿 白石 何ぞ鑿鑿たる、
清流亦潺潺 清流 亦た潺潺たり。
有松數十株 松の 數十株有り、
有竹千餘竿 竹の 千餘竿有り。
松張翠傘蓋 松は 翠の傘蓋を張り、
竹倚青琅玕 竹は 青き琅玕を倚す。
其下無人居 其の下に 人の居まふ無きこと、
惜哉多歳年 惜しき哉 歳年多し。
ー以下省略ー
※ 白居易(白楽天)は中唐の詩人(772~846年)
20代の終わりに科挙の中でも最も難しい「進士」の試験に合格し、キャリア組官僚として順調に出世していきます。
が、途中 江州(今の江西省九江市)に左遷されます、しかしその間も上記の詩の様に香鑪峯下に別荘を作って、それなりに楽しんでいてのんびりした様子を詠ったりして過ごしておりました。
白居易は「兼済」と「独善」という言葉を使って「仕事」と「充実したプライベートタイム」は等価であると言っています。
プライベートタイムといっても遊び歩く訳ではなく、「雪月花」を愛で、詩と酒と琴を友として暮らすような時間を過ごすのです
こういうことをこの時代に言っているということは大変すばらしく、心に響いてきます。
そうこうしているうちに、又、中央官僚として呼び戻され
51歳の時には杭州の役人になり、西湖に堤防をつくるなどして杭州の発展に尽くし、更に晩年は大臣にまで上り詰め、その時代では長命な75歳で人生を終えています。まさに人生の成功者ですね。
という訳で今回は 琅玕 に因んだ話と共に雅印完成の記念にしたためました。。
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