離島暮らしと黒曜石(オブシディアン)

神津オブシディアンラボ活動誌

黒曜石の島 ~神津島にはどれだけ黒曜石があるの?~ 緊急番外 長根の浜編

2020-07-26 11:07:40 | 黒曜石
シリーズものでございます。未読の場合はこちら見てからの方が楽しめるかも。
神津島内の各黒曜石産地を紹介していく第四弾!
満を持しての、恩馳島!!

・・・・の、予定でしたが、実は一昨日、ようやっと海が凪いできたので、前々から調査を計画していた
長根
という場所に、船に乗って行ってきました!
船に乗った理由は単純。
陸路ではたどり着けないからです。

長根。正確には、先日紹介した砂糠崎の北側沖にある岩礁が長根と呼ばれ、その付け根(つまり多幸湾から見えない位置)にある浜です。具体的な地名がない(そもそも昔は浜ではなかったらしい)ので、便宜上長根の浜と名付けています。

長根の浜遠景。真ん中あたりが今回の上陸地点
奥の崖に、砂糠崎から続いていると思われる黒曜石層がある

なぜ、前々からこの場所に興味を持っていたかというと、このエリアの黒曜石は、これまで一度しか科学的な分析にかけられたことがないからです。それもかなり昔のこと。
しかも、当時の分析の際には恩馳島、砂糠崎とは微妙に違う数値が出ていたという点も。
まだ黒曜石の産地分析の手法が発展途上の時期の分析でしたので、現在その結果自体を評価するのは難しいのですが、今回同じものを採集することができれば、改めて現在の分析手法で調べることができ、このエリアの黒曜石の再評価ができると考えたのです。昨今の調査では唯一分析されていないものでもあり、その穴埋めをしたい、というのもあります。
特に個人的に気になっていたのは、このエリアと観音浦の黒曜石の関係性で、もし本当に砂糠崎と別の数値になるのなら、この辺りでは岩脈が水面下に沈んでいるとされる観音浦の黒曜石に近い数値が出てくるのではないか?と推測していたのです。
ただし、懸念材料が一つ。
・・・ほんとに黒曜石、拾えるの?
という点がありました。
地元の漁師さんの証言では、「波で洗われた玉砂利の黒曜石がある」とのことでしたが、もしかしたら地形の変化等でなくなっている可能性もあり、最近の黒曜石分布調査ではあまり言及されていない場所ということもあって、空振りに終わるかもしれない、という懸念もあったのです。
まあ、何はともあれ行ってみないと分からない!
ということで、黒曜石関係でお世話になっている船長さんとベテランダイバーさんの協力のもと、浜のすぐ近くまで寄せてもらい、船から海に飛び込んで泳ぎながら現地を目指しました。

結果



長根浜、マジ半端ねぇって!!!!某日本代表風に

 
 
 
いや、何がやばいって、マジヤバイ(語彙力崩壊
この写真に写ってる黒くて透明で艶のあるやつ、ぜ~んぶ黒曜石!!
漁師さんの「玉砂利の黒曜石」証言の通りでした!
っていうか証言以上に石の密度が濃いんだけど!?
しかもどれも透明感高くて透き通っててとってもキレイ!!
観音浦以上に「オブシディアンビーチ」してるよここ!!
ヒャッハー文字通り宝の山じゃー!!!

・・・・・と、テンション上げすぎました。(現地でも内心こんなテンションでした)
一旦心を落ち着かせて、とりあえずこれらの石を見てみると、
どうやら、浜の背後の崖にある、砂糠崎から続く黒曜石層から剥がれ落ちた黒曜石がたまっている場所のようです。質や外見も、砂糠崎で見つかるものと特徴がかなり似ている(透明で少し茶色っぽく、ヒビや斑晶はあるがそこそこ質は良い)ので、大方砂糠崎系列の黒曜石である可能性が高そうだな、と感じました。
 
背後の崖の黒曜石層の下には、剥がれたばかりと思われる大きめの黒曜石が積もっていました。

ただし、あまりにも黒曜石が密にあるせいで、もし海から別の黒曜石が混じっていたとしても、正直分かりません。観音浦の黒曜石も、見た目は砂糠崎のものに比較的近いので。
なので、これらの黒曜石、近いうちにしかるべき機関に送って、産地分析にかけてもらおうと思ってます!
さーて、どんな結果が出るのやら・・・。(´艸`*)

そして、私の無茶な要望に快く応えてくださった船長さん
上陸に付き添い、何往復もして黒曜石を運んでくださったダイバーさんに
最大限の感謝を!!(五体投地


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1 コメント

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Unknown (seto masayuki)
2021-12-17 11:15:49
トテモ歓喜の様子が伝わります
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