私がスキー場で知り合った人達の中でイタッキーだけが関東出身者ではなかった。
私は
地方からの人間と付き合った事がなかったら、
イタッキーを新種の生き物のような感覚で
色々と根掘り葉掘り聞いていた。
彼の実家が山形で山形の産地がさくらんぼで、米なんかも作っていて・・・
そんな話を沢山沢山聞いた。
そして、わたしはそのグループの中の一人に
淡い恋心のようなものを抱き始めた。
本当はイタッキーと知り合う前から、彼の事が気になってしょうがなかった。
当時携帯電話も普及されていなかったので、
電話をするのも彼の実家に恐る恐る頃合いを見計らって電話をするしかなかった。
当時16才。
恋愛などほとんど経験もなく、自分の抱いた感情をどう処理していいのか分からなかった。
今思えば、彼のどこにほれていたのかさえ思い出せないけど、
彼の電話越しの声やふとした優しい言葉がたまらなく好きだった。
週に1度電話をかけるのに1週間ずっと電話をかける口実を探し、
一回で電話を彼が取れば心が躍り、彼の母上が電話を取ると
びくびくしたものだった。
彼が捕まらないと、私はショックでそのままイタッキーに電話をかけて
相手をしてもらっていた。
本当に他愛のないことばかり何時間もはなしていた。
今でこそ、年令差は気にならないが、当時の4才の差というのは本当に大きかった。
そして、イタッキーやその仲間たちはまるで私を本当の妹のように
可愛がってくれたり、しかってくれたり、からかってくれたりした。
そして、
また冬が来て、みんながいくスキーの日程に合わせて私たちも新潟へ合わせてスキーにいくことになった。
イタッキーとスキーを一緒に滑るのはたしかそれが初めての事だったような気がする。
いつのまにか電話の頻度もイタッキーとする方が増えていて、何でも知っている仲になっていた。
ただ、私がイタッキーの友人に惚れているという事は必死で隠していた。
続く