この日一日の過ごし方について、いっくんとこいちゃんの行きたい場所が食い違ったのだ。
結局すったもんだ、親が介入し、おばあちゃんとおじいちゃんにたしなめられたりしつつ、総合的に考えて回るのに1日は十分かかるであろう「ONOKORO」に決まったのだ。
炎天下の中、テーマパークを一日歩くのかと思うと、ちょっと気が重いようだったが、子供たちは超ご機嫌。
朝ごはんを食べ、姉弟仲良く虫取りである。
その間、大人はゆったり食後のコーヒーを飲んだり、身支度を整えることができるのだから何ともスペシャルな時間である。
1本枝を持ってやってきて、
「紐ちょうだい!紐」
「テープは?のりは?シールでもいいから」
って、自宅じゃないんだから、そうポンポン用意できるわけない!
が、そこはしっかりもののおじいちゃんの四次元ポケットから色々な材料が飛び出して、いっくんは弓矢を作ることに成功。
大喜びで木の枝を飛ばして遊び、
「遠くに飛ばせるで!!」と力いっぱい引っ張って壊してしまっていた…。
だから力加減をしなさい、と普段から注意しているのに…。
自然は子供たちのれっきとした玩具なのだ。
後にも先にもこれ1枚、全員で写った貴重な写真である。
「ONOKORO」は混雑していた。
いっくんはパーク中央で行われていたヒーローショーや芝滑りに吸い寄せられていったため、こいちゃんはずっとやりたがっていたお香作りに挑戦である。
受付でお金を払って材料を貰い、説明を受ける。
こいちゃんが選んだのはラベンダーのお香。
まずは粉をすり鉢に入れて…
ホットケーキでも作るときのようにご機嫌なこいちゃんである。
何度も生地を再利用しながら、嬉しそうに作業をつづけるこいちゃん。
これをしっかり乾かしたら火をつけてお香として使えるわけだ。
遊ぶのに夢中のいっくんは
「お腹いっぱいだから、いらない」とお昼ご飯を嫌がっていたが、結局食欲には勝てず、カレーセットのナンはおばあちゃんのも取って食べていた。
まるで赤ちゃんじゃん…。
いっくんは鬼のようにカップを回すことが判っていたので、
「絶対に別々のカップに乗りなさい!」と矯正隔離。
これで一緒に乗ってしまうとこいちゃんが泣かされるのは明白である。
案の定、殆どハンドルを回さず笑顔を振りまいているこいちゃんに対して、狂ったようにハンドルを回し奇声を発するいっくんは、実に対照的であった。
一緒の育て方をして、どうしてこうも違うものか。
おじいちゃんの呆れたような
「男の子じゃのうぅ…」のつぶやきが印象的である。
こいちゃんは勿論プリンセスムード大好きなので二つ返事で入り口に並んだ。
ぐるぐる回る木馬の上からおじいちゃんやおばあちゃんを見つけて笑顔を振りまく子供たちは本当に幸せそのものである。
おじいちゃんとおばあちゃんがいなかったら1個で我慢させていたかも…なのだが…。
親としてはさっさと決めて入れてしまいたい気分だが、その悩む時間も楽しいのであろう。
少しずつ色を重ねていく子供たちは真剣そのものである。
火をつけてもガラス細工は溶けずに残ることがわかって
「残るの!?じゃあ、思い出になるの!?」と目を輝かせて言われたら駄目とは言えなかった…。
あーでもない、こーでもない、と配置を考えてこいちゃんワールドを作っていくのだ。
子供たちの頭の中が反映される、楽しい世界である。
水の中で冷やし固めるのが40分かかるとのことだったので、お願いして園内を回ることになった。
女チームと、男チームで分かれて歩き出す。
こいちゃんは、始めティーカップとどちらにしようか迷ったゾウの乗り物に乗ることに。
いっくんがいないと
「一人っ子みたいで、喧嘩がなくていい」と嬉しい様子のこいちゃん。
ちょっと疲れのでソフトクリームで休憩。
「女チームはいいね~」とご満悦なのだ。
すでに疲れもピークの私とおばあちゃん(母)は、「ありがたや~」とばかりに座席でぐったりである。
今年はおじいちゃんといっくん、こいちゃんのメンバーである。
前回いっくんが助手席だったため、今回はこいちゃんが助手席となった。
あとでおじいちゃんに聞いたのだが、マシンガントークこいちゃんは、やっぱり機内でもおしゃべりだったらしい。
機長さんに色々質問しては納得し、また質問を繰り返し…だったらしく、「集中して運転させてあげて!」と思ってしまうのは私だけだろうか!?
この不思議な感覚は何度見ても興奮ものである。
いや、すぐに戻ってくるんだけどね…。
ハンドルにかじりつき振り回すいっくん。
結構なスピードの中スラロームを決めるいっくんにちょっと青ざめてしまった。
ゴーカートといっても本格的である。
怪我だけはしないくれ~……。
おじいちゃんに適切な速度で運転してもらいつつ、手を振って余裕のご挨拶。
わざわざゴーカートにのる意味はあるのだろうか…??
手を離したり、足をあげたり、どうして普通に滑らないのだろうか。
怖いくせに(口がビビッて開いている)どうしてそんなにスリルを求めてしまうのだ!
ぐらぐらとゆれながら滑り降りていくソリの上で、始終悲鳴を上げ続け、降りるとまたソリを引きずって頂上に上がるのだ。
子供たちのスタミナに、大人陣は唖然としてただただ座り込んでいた。
その幸せそうな様子を、目を細めて見守ることが出来た私たちこそ、最高に幸せ者である。
全力疾走の子供たちに、大人がついていけるはずもない。
翌日の為に、BBQで力をつけるのであった。