台風一家

奈良県 黒滝村

突然思い立って家族4人でPキャンプに出かけた。
奈良県にある伴侶お気に入りの醤油がなくなってしまっていたので、その購入もかねて奈良県方面に向かうことにした。
何しろ思い立ったのが急だったので、出発当日に慌てて準備を始め、結局家を出たのはお昼の11時半も近くなっていた。
のんびりと車を走らせ、一番に向かったのは親戚の叔父の墓参りである。
私たち夫婦が遺品であるキャンプ用品を多数貰い、そのおかげで旅行の楽しさを再確認し、色々な場所に不自由なく出かける事が出来ているのだ。
突然降り出した小雨の中、家族4人で手を合わせ、子供たちと伴侶は墓地に隣接する昆虫博物館に入った。

何度も入っているにも関わらず、こいちゃんもいっくんもまるで始めてのように喜ぶのが本当に不思議だと思う。
昆虫博物館を出ると、伴侶が目当てにしていた宮滝醤油に向かい、醤油やポン酢を大量に購入。
日が暮れかかった道をのんびりと走っていると、吉野の山に入った頃、素晴らしいアジサイと、七夕飾りに目を奪われた。

さすが観光地。
すでに閉まってはいたが、情緒あふれる店の出入り口には必ずと言って良いほど七夕飾りがあり、何ともいえない懐かしい風情をかもし出していた。
思わずアクセルを緩め、徐行しながらたっぷり時間をかけてその村を後にした。
黒滝の温泉につき、汗を流すと外はすでに真っ暗であった。
数キロ先の道の駅に車を止めて、晩御飯に買ったばかりのくず粉入りのうどんを湯がいていただいた。
ちょっとお腹が落ち着いてきた頃に、伴侶特製の燻製の煙が止まり、チーズ、ソーセージ、豚肉などの燻製がずらりと並んだ。
さらに貧血が気になる私のためにレバーの燻製を作ってくれており、その美味しさは絶品であった。
あんなに毛嫌いしているレバーであるが、燻製の煙の香りが上手にレバーの臭みを消している。
摂取量を考えずに沢山食べてしまった。
そしてサプライズがもう一つ。
私たちの目の前を流れる川の上を、蛍が沢山飛んでいたのである。
ゆらりゆらりと独特の軌跡を描きながら飛び交う蛍の光は、水面に写り、実に幻想的である。
その美しさには思わずこみ上げるものがあった。
夜がふけ、徐々に消えつつある蛍の光りを眺め燻製を頂いていると近くに住んでいるという夫婦らしい2人が近づいてきた。
ここは自然が多く、カブトムシやクワガタムシが電灯によってくるという。
まだ少し肌寒いのでいないかもしれない、と言われたが子供が寝てから教えてもらった場所まで歩いていってみた。
沢山の蛾は寄ってきていたが、クワガタムシなどは見られなかった。
変わりに大きなオニヤンマが光につられてやってきたようだ。

翌朝、この場所の名物であるこんにゃくを買ってきた。
普段口にするこんにゃくと違い、全体的にざらりとしており、隙間も多く味がたっぷり染み込んで実に美味。

少々唐辛子が利いていたが、こいちゃんは大喜びで大きなこんにゃくにかぶりついた。
朝ご飯を食べてから前日の温泉の場所に戻り、バーベキューをするために川べりに降りようと利用料1300円を払うと、温泉の券が2人分ついていた。
しかも、ゴミ袋も貰えて、バーベキューで出たゴミを回収してくれる。
温泉1人分の料金が500円だから、ずいぶんお得感があった。
火を熾し、バーベキューをして、子供たちはたっぷり泳いだ。

というか、川に流されていた。
救命胴衣を着けた2人は、伴侶に上流まで連れて行ってもらい、川に流されて下流でキャッチしてもらう遊びにはまった。
調子に乗りすぎてひっくり返り、大声で泣き叫ぶいっくんの尋常ではない様子に、近くにいた人が慌てて助けに入ってくれるなどのハプニングはあったが、子供も伴侶も私も真っ赤に焼けるほど川で遊んだのだ。
くたくたで車に戻り、温泉で汗を流した。
美味しかったこんにゃくをもう一度食べに、道の駅に寄りこんにゃくや氷菓子を購入して車に乗り込むと、子供達は睡魔に負けて眠り始めた。

自由に飛び交う蛍の映像が頭から離れず、私はいつまでも旅の余韻に浸っていた。
家に帰れば大量の洗濯物と、洗い物などの片付け作業に追われることも、ちょっと頭から削除して、いつまでもいつまでも蛍の光を反芻しては、またすぐにでもPキャンプに出かけたい気分になるのであった。
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