「コロペタくじら」という、小さな掃除用の「コロコロ」である。
とても実用的なプレゼントだと思うが、側面にシールを貼ったり、手作りのカーネーションを貼ったりと、幼稚園らしくかわいらしいデザインである。
お製作はおろか、先生の話さえしっかり聞かないいっくんであったが、さすが年長になると、ちゃんと先生の話を聞き、お製作も着々と進めていく。
無事にお製作が終わり、これをプレゼントしなければいけないのが、ちょっと嫌だったのか、
「これ、お母さんにあげる??」と聞いてきた。
「いいよ、いっくん。ほしいならいっくんのでも」と苦笑しながら言うと
「ほんま?お姉ちゃんにもあげんでいい?お父さんにも?」と聞く。
「いいよ、いっくん専用」と言うと嬉しそうに笑った。
その後、皆に先生の
「はい!ではお母さんに渡しましょう~!」の声が響き、私はいっくんが渡してくれないのではないかと思ったが、
「はい、おかあさん」とすんなり渡してくれた。
なんだかちょっとジーンとしながら、しみじみ「年長になったんだなぁ」と感じたのであった。
が、帰宅したいっくんはお父さんはおろおか、こいちゃんにも勿論、コロペタくじらを全く貸してくれない。
一人でコロコロ掃除して、こいちゃんをけん制しつつさっさとケースに戻して片付けてしまう。
笑顔で私にコロペタを渡してくれたいっくんはどこに行ったのか。
手のひらを返したようにコロペタ独り占めのいっくんに、別の意味で「年長だなぁ…」としみじみ思うのであった。