近所のATくんも来て、皆で楽しく遊んでいた。
7時が近づく頃、皆がぱらぱらと家路につき始めたが、こいちゃんは名残が惜しかったのか家に入ろうとしない。
一人で自転車に乗って10メートルほどふらふらと走っていたが、バランスを崩し、こけてしまった。
派手にこけたので泣いて飛びついてくるかと思ったのだが、しばらくじっと地面を見つめていたかと思うと、いやにあっさりと起き上がり興奮気味に走ってきた。
「セミのあかちゃん!せみのあかちゃん!」とそれ以外の言葉が言葉にならないほどの興奮ぶり。
こいちゃんが指差す自転車の籠の中を見てみると、こいちゃんの小麦粘土に必死にしがみつくセミの幼虫が。
どうやら土を掘って出てきたものの迷ったのか道路をうろついていたようである。
こいちゃんは「こじゅちゃんが助けてあげたんだよね!?」と嬉しそうに詰め寄った。
たしかにほおって置けば車につぶされてしまったかもしれないのだから、あながち大げさとも言い切れない。
とりあえず羽化が進むように近くの木に登らせておいた。
しばらく動き回ったあと動きが止まったので、その位置を確認し、家に入った。
あたりが暗くなり、子供たちのお風呂と食事が済んでからもう一度木のあたりを見に行くと、幼虫の背中が割れ、黄緑色の背中が見え始めている。
こうなれば羽化も早く進み始める。
慌てて子供たちを呼ぶと、伴侶も興味深げにやってきた。
4人で見守るなか、どんどん割れた背中部分から目や口が現れ、頭が出てくる。
しっかりと自分の殻をもち、うんせっとお尻を殻から引き抜く瞬間をこいちゃんも食い入るように見つめた。
そのあと小さな凝縮された羽がやっと出てくると時間をかけて、その羽を伸ばし始めるhのだが、そこからはまた時間がかなりかかるので、家の中に入ったり出たりしながら様子をうかがう。
やっとセミの羽が伸びて、美しい姿になるころにはすでに9時であった。
子供たちはあくびを連発しながらも、そのセミをしっかりと見届けて寝床に入った。
こいちゃんは愛着を感じ「せみちゃん、せみちゃん」と呼んでいた。
いっくんは「触ったら羽化できなくなって死ぬよ」と聞かされて、最後まで触りたいのを我慢した。
子供に「必死で生きるパワー」を見せ付けてくれたせみさんに、感謝であった。
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