『南極風』 笹本稜平
¥790+税 祥伝社(祥伝社文庫) 2015/5/20発行
ISBN978-4-396-34117-6
実に読み応えがあった。
さすがの笹本稜平。
ニュージーランドの名峰アスパイアリングでの遭難事故。事故の前の眺望絶佳な山の表情と、天候が崩れた後の地獄の雪山行。目の前を吹雪く雪が見えるかのごとき描写。
最善を尽くし、尚力及ばぬ自然の脅威。
登山ガイドの森尾は、保険金殺人の容疑で逮捕される。検察の取り調べはあまりに恣意的。誰が、なんのために森尾を告発したのか。
いやでもこれ、こうなったら自力で無実を明かすのは無理だってことじゃん。たまたまこの人が翻意してくれたから助かったけど、心底悪人だったら有罪のままだった可能性あるじゃん? ってのが不満~~~。
雪山行部分も、証拠固めも、拘置所での森尾の苦しみも、どこをとっても読み応えがありすぎるくらいある傑作なだけに、現実的な決着なのかもしれないけどカタルシスが得られないというか、不満なのだー。