2017年1月13日投稿
2016年12月3日(土)、たたら製鉄を見学しました。
場所は下仁田町、青倉地区、自然史館。駅から徒歩30分ぐらいの所です。
朝の主催者の挨拶(後方の建物が旧青倉小学校を再使用した自然史館)
耐熱レンガを組み上げた炉に火が付けられ、炭が大量に投入される。
用意された炭と砂鉄
操業は炉を一時間以上予熱することから始まり、その後砂鉄と炭が約10分きざみで少しずつ入ります。
記録表
並行して行われた
東京工業大学名誉教授 永田先生の講演
午後2時頃、けら出しが始まりました。
◆炉内での木炭の燃焼と砂鉄の還元作用
(引用「中小坂製鉄所・鉄山のあった下仁田でたたら製鉄を行うことの意義」 福島 宣行)
C+1/2O2=CO
C+ O2=CO2
C+ CO2=2CO
3Fe2O3+ CO=2Fe3O4+ CO2
Fe3O4+ CO=3 FeO+ CO2
FeO+ CO=Fe+ CO2
◆近代高炉製鉄とたたら製鉄の比較
(引用「中小坂製鉄所・鉄山のあった下仁田でたたら製鉄を行うことの意義」 福島 宣行)
◆用語 以下から引用
①「たたら製鉄の豆知識と用語集」中小坂鉄山研究会・ジオパーク応援団
②「たたら 第4部用語集」特定非営利活動法人 ものづくり教育たたら
たたら製鉄:日本において近代高炉式製鉄が始まる以前に日本古来より行われていた製鉄法で、炉に空気を送り込むのに使われる鞴(ふいご)が「たたら」と呼ばれていたために付けられた名称。砂鉄と木炭を用いて比較的低温で還元し、純度の高い鉄を生産できることを特徴とする。(引用Wikipedia)
たたら:粘土でつくった小型の炉で砂鉄を原料、木炭を燃料とし、ふいごという風を送る装置を使って鉄をつくる製錬法をたたら製鉄と呼ぶ。たたらは足で踏んで空気を送る大きなふいごのこと。(引用 広辞苑)
筆者注書き)たたら製鉄は鉄の純度が高いため(99%以上)、薄く研いだ刃物は非常によく切れる。需要:カミソリ、包丁、日本刀
村下(むらげ):炉作りから材料選定工程管理、ノロ、ケラ出しまでの総責任者。(製法技術は代々秘伝、口伝、門外不出であったため村下が絶えるとたたら製鉄も絶える)
ノロ:砂鉄の中にはガラスと同じ成分の硅砂と呼ばれるものが含まれています。硅砂と黒い砂鉄が互いに溶けあって酸化鉄約50重量%不純物のリンや酸化チタンなどが溶け込んだ溶塊(ノロ)が炉床にできます。ノロは鋼や銑を吹き込む空気からの再酸化を防ぎます。(引用➁)
鉧(ケラ):たたら製鉄で造った鋼の塊をケラと呼びます。ケラは主に鋼でできていますがその中にノロを含んでおり、鋼の炭素濃度も一定でなく高い所も低い所が混じっています。(引用①)
鋼(こう)(はがね):鉄に炭素が溶解すると硬くなります。炭素濃度が約0.04%から1.7%重量パーセントの鉄と炭素の合金を鋼と言います。鋼は800℃に加熱した後、水や油で急冷すると非常に硬くなります。またゆっくり冷やすと軟らかになります。(引用③)
筆者注書き):日本刀では刃を急冷、峰に緩衝剤を塗って緩冷、その際(きわ)に刃紋ができる。
羽(は)口(ぐち):炉内に空気を吹き込む穴を言います。たたらの羽口は、外側で直径が大きく炉内壁で数㎜になっており、弱い送風でも勢い良く空気が吹き込まれます。(引用③)
筆者注書き)今回のたたら製鉄では始め炉床に羽口を設け、炉全体が高温になり砂鉄入れる段階で中段の羽口に空気口を移動します。
◆たたらの動画
今回の操業では講演会と重なりノロ出しを見ることができませんでした。「たたら製鉄 ノロだし」で検索するとノロ出しの動画がユーチューブにアップされています。
「たたら吹き―日立」(ユーチューブ) 本格的なたたら製鉄操業を見ることができます。
NHKプロジェクトX挑戦者たち「千年の秘技、たたら製鉄復活の炎」では絶えかけた、たたら製鉄の復活と純度の高い鉄が作れることが描かれています。
あとがき
2年ぶりに高崎―下仁田をつなぐ上信電鉄を利用しました。富岡製糸場訪問客増加で駅舎ホームがきれいになったようだ。富岡製糸場へは途中駅「上州富岡」で下車
上信電鉄乗り場
トイレと客車を改造した待合室
待合室内部
乗った電車は「絵手紙列車」で車内には楽しげな絵手紙が飾られていた。
会場
10時頃コーヒーや甘酒、茶菓子の接待があり、昼には下仁田ネギ、コンニャクを使った「すいとん」のもてなしがありました。
(ごちそうさまでした)
Google 地図より
以上です。
それでは また
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