島の西部の記録、島の西部と言えば最西端に擂鉢山がある、摺鉢山は宿舎から4km程離れているので気軽にはいけない。相談をしてアルバイト期間の終盤に行くことになった。メンバーは在島中僕と戦跡を一緒に回っていたIさんと20歳前半で昆虫採集が目的でこのアルバイトに参加したW君が、摺鉢山はいっていないので一緒に行きたいとの事だったので一緒に行った。W君は若いし昆虫に限らず生物に詳しいので(どこの大学とは聞かなかったが賢かったので多分有名大学卒だろう)アルバイト仲間ではアイドルのような存在で在島中は自分を含むおっさんに可愛がられていた。
朝3時に宿舎外に集合して出発した。朝3時とは言っても外は真っ暗で街灯など灯がなにもないのでライトがないとすぐ近くの人間さえ分からなくなる。天の川もはっきり見えて星が降ってきそうな程である。約1時間ほど歩いて摺鉢山に近づくと空の色が薄っすら白んでくる、そして擂鉢山のふもとに到着していざ登山である。登山と言っても標高170m、登山道は舗装されていて頂上まで車で行ける(自分たちはもちろん徒歩)、途中で朝日を拝みものの30分で頂上へついた、頂上には日米の慰霊碑があり日本国国旗もはためいていた。また硫黄島千鳥飛行場を出発してサイパン基地を強襲した第一御楯特別攻撃隊、米海兵隊上陸後硫黄島周辺に遊弋していた正規空母を含む艦船を攻撃した第二御楯特別攻撃隊の慰霊碑もあった。ともに靖国神社遊就館で攻撃参加者氏名、遺影を見ていたので現地で慰霊できて良かった。頂上の周りにはトーチカらしきものもあった。火口はすでに使われていない雰囲気だった。戦争中に艦砲射撃で形が随分かわったらしい。頂上で朝食用に持って来たのパンを食べていると米軍の方たちも見学に訪れてきた。日本人とはまた別の感慨を覚える場所だろう。お互いに記念写真をとりあったりした。
ある程度の時間を過ごして下山した。下山後は摺鉢山ふもと近くに一式陸攻の廃材を利用といわれるトーチカがあった。帰り道はひたすら遠かったが途中パパイアの木がありW君が身のこなしも軽く実を採ってくれて味を楽しむことが出来た。その他、北側の海岸で北硫黄島を望むことができた。アルバイト期間で北南両硫黄島を見れたのはラッキーだっ。
9時前には宿舎に帰った。この日は3万7千歩歩いたと記録に残っている。島に来る前のウォーキングが役に立ったのではないだろうか?