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パヤシさんの解答添削

今日はパヤシさんの「平成13年度財務ファイナンス戦略事例」の添削です。
遅くなって申し訳ありませんでした。

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【パヤシさんの解答】

第1問
(設問1)

※左からa→b→c→dの順。
1.利益率①売上高対総利益率、売上総利益/売上高、20.2%、18.2%
    ②売上高対経常利益率、経常利益/売上高、3.2%、2.3%
2.回転率①売上債権回転率、売上高/売上債権、3.75回、2.36回
    ②買入債務回転率、売上高/買入債務、8.38回、10.59回
3.安全性①自己資本比率、自己資本/総資産、17.5%、13.8%
    ②流動比率、流動資産/流動負債、110.8%、110.5%
(設問2)
①自己資本比率が低く借入金も増加しており借入金依存の財務体質
である。②取引先の大幅な増加により代金回収が滞る一方で、支払い
サイトは短くなっている。①と②より資金繰りが苦しい状況であると
分析できる。

第2問
(設問1)

A.営業活動キャッシュフロー
   [項目]        [金額]
税引前当期利益      +200
減価償却費          +5
営業外収益         -49
営業外費用        +216
特別利益          -26
売上債権の増加額    -1496
棚卸資産の増加額     -120
買入債務の増加額      +48
  小計        -1222
営業外損益による支払額  -167
特別利益による受取額    +26
法人税等の支払額     -100
  合計        -1463

B.投資活動キャッシュフロー
  [項目]    [金額]
投資有価証券の取得による支出  -12
その他固定資産の取得による支出 -33
  合計            -45

C.財務活動キャッシュフロー
  [項目]    [金額]
短期借入金による収入 +1405
長期借入金による収入   +83
  合計       +1488

(設問2)
支払利息による多額の営業外費用と売上債権の大幅な増加を
主因に営業活動CF(キャッシュフロー)が大きく減少した。
その補填を多額の短期借入により行うも全体CFは減少し、
資金繰りが更に悪化している。

第3問
(設問1)

(a)売上原価と変動費を合計して「変動費」とし限界利益・
   貢献利益を算出し、D社の利益への貢献度の大小について
   分析すべき。
(b)半導体用研磨剤は限界利益率・貢献利益ともに最も小さく、
   D社の利益への貢献度が低い。
(設問2)
①プロダクトミックス分析を行い商品構成の見直しがD社全体の
損益に与える影響の検討をすべきだという視点、②商品別での
成長性や採算性改善の余地の有無を考慮に入れるという視点、
③商品別の回収・支払サイトのデータ。

第4問
(a)経理用と在庫管理用のパッケージソフトを連動させて、
   得意先や仕入先の管理を強化する。
(b)留意点は、経理用と在庫管理用のパッケージソフトのデータ
   フォーマットを共通のものとし、データ処理作業の煩雑化を
   避けること。

**********************************
kurogenkokuの添削です。

【総評】
・全体的に良くまとまっている。
・計算結果が正しい。
・ケアレスミスが気になる。

【解答の論理性】
・一部解答の構成要素に「モレ」がある。

【解答の問題点】
以下に記述


第1問 
(設問1)

算出式で『×100』が抜けている。本試験では「命取り」です。
(例)売上総利益/売上高

それと気になったのが「買入債務回転率」です。
中小企業庁方式では「分子が仕入高」になるので、パヤシさんの解答と異なるケースも考えられます。
しかもこの指標は『買入債務の支払状況』を見る指標なので、ここであげるのは疑問です。
キャッシュフロー的に考えれば「買入債務が減る」のはマイナスですが、経営分析的には「買入債務が減る」ことは良好だからです
「買入債務」は「流動負債」なので、「流動比率」や「当座比率」に与える影響を考えても明らかですよね。


(設問2)
sinnkaさん指摘のとおり「収益性の視点」が抜けています。


第2問
「計算」も「状況の論評」も問題なしです。
特に「状況の論評」については表現方法も的確でいいですね。


第3問
(設問1)

確かにこれでもいいとは思うのですが、ちょっと細かくなります。
この企業は商社なので「売上原価=変動費」ととらえても問題ないかもしれません。
つまり前半部分「売上原価と変動費を合計して「変動費」とし」は不要。
それならば、わざわざ「個別固定費」があがっているので「限界利益から個別固定費を差し引いた『貢献利益』で」という表現のほうが妥当かと思います。
(b)については「メガネ用ガラス」が優れている点についても触れられれば「なお良し」です。

(設問2)
切り口が豊富ですね。


第4問
(a)
設問に「経営管理を総合的に行えるようにしたい」「開発コストの負担が大きくならないように」となるのでやはり「ERPパッケージをカスタマイズせずに導入する」という解答が期待されている気がします。
さらに『経理用と在庫管理用のパッケージソフトを連動させて、得意先や仕入先の管理を強化する。』という解答では『具体的には?』『どうやって?』と聞きたくなります。




いろいろ書きましたが、レベルの高い答案には間違いありません。
今日の合格発表で波に乗り、さらに解答に磨きをかけてください。
→ 同じことが私にも言える。

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