野次馬根性
夕食の準備をしていると外が騒がしくなった。
野次馬根性丸出しの姑がすっ飛んでいく。
手伝ってくれもしないでとため息をついていると悲鳴が聞こえた。
窓から覗くと男が刃物を持って暴れている。
押し入られては大変だ。急いで玄関に鍵を掛けた。
姑は――もう助からないだろう。
怒号と悲鳴が飛び交う中、玄関扉のノブが狂ったように回された。身を縮め台所の隅に隠れる。
静かになったが、気になって部屋を確かめに行くと開けていた窓に手が掛かっていた。
慌てて窓ガラスを閉め、錠を掛ける。外でうめき声がした。思いきり閉めたので指を挟んだのだろう。
遠くからパトカーのサイレンが近づいて来る。でもまだ安心はできない。夫が帰ってくるまでこのまま潜んでいよう。
かちゃりと鍵が開いて夫が帰ってきた。
「あなたっ、大変だったのよ」
急いで玄関に出ると夫の後ろに泣き顔の姑が立っていた。手に包帯を巻いている。
「入ろうとしていたのが母さんだって思わなかったのか」
険しい表情の夫に目を逸らす。
ふん。知っていたに決まってるじゃない。