NINAの物語 Ⅱ

思いついたままに物語を書いています

季節の花も載せていきたいと思っています。

寂しい部屋(4)

2012-02-10 19:43:07 | 寂しい部屋
 定年退職をして1年が経った。
ボランティアの仕事は毎日あるわけでもないので暇で仕方がない。
本を読んだり、花の手入れをしていても飽きてしまう。
最近は正代の買い物に付いていくと、濡れ落ち葉だと嫌がられる。
正代は行き先も告げずに、おしゃれをして俳句の仲間たちと出かけることが多くなった。
彼女の携帯にも頻繁に電話が入るようになり、健吾は一人取り残されたような寂しさを覚える。
どこかへ勤めに出ようかとも思うが、今更という気持ちもあり、家にいて何か良い過ごし方はないかと考えていた。
夕飯時に独り言のように呟いた。
「何かすることないかなあ。」
正代が苛立たしそうな顔をした。
「あなた、若い頃からお茶やお花を習っていましたね。
それって教えられないのかしら。」
健吾は、おお!と手を打った。
そうだ、花道と茶道の師範の免状を持っているのだ。
それを生かさない手はない。生け花に使える花や木は庭に有り余るほどある。

 早速、退職金を使って家の一部をりホームすることにした。
玄関を入った右側、庭の見える12畳の和室は元々は客室で、何かの行事に大勢の人が集まるとき以外は少々広すぎて、最近は殆ど使っていなかった。
床の間や襖、障子を新しくして、いびつになっている窓も修理した。
畳も入れ替え、部屋の隅には茶室用の炉も設けた。
健吾はすっかり綺麗に新しくなった部屋に座り、周りを見回すと違う家にいるようで、ワクワクと気分が高揚してくる。
窓の外を見ると早春に植えた草花が赤、青、黄、色とりどりに初夏の光を浴びて咲き誇っている。
満足感に浸って庭を見ていたが、何か違和感を感じる。
そうだこの部屋に面した庭は、和風でなくては心静かにお茶を点てることが出来ない。
そう思うと即、小さな庭を造るよう造園業者に依頼する。
大きな石で囲われ、松やツゲ、サツキ等の木と踏み石のあるこじんまりとした庭が、広い花畑の一部に造られた。
あとは弟子の募集だが、部屋のリホームや造園工事をしている頃から、近所の人たちが見に来ていて、ありがたいことに口コミで広がり、お茶やお花を習いたいという娘たちが集まった。


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4 コメント

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w(°o°)w おおっ!! (おお~さん)
2012-02-10 21:18:14
健吾さんは達人だったんですね~!

免状を持っているとは~(シ_ _)シ  ハハァーー


そしてなんと~ここにも若い娘達が!羨ましいな~ρ(・・、)イジイジヾ(°∇°*) オイオイ

( ̄~ ̄;)ウーン・・・もう展開がまっるきりい読めませんね~どうなるのかな~???


PS NINA先生、ミクシィなのでアピールして沢山の人に読んでもらったらいかがでしょうか?やはりアピールして存在を知ってもらうのが一番だと思います。この話に比べたら全然面白くない話が書籍になってしまっています。現にわたくしは更新が楽しみになってきました。無理に読んでもらっても~という考え方ではなく、自分の作品を発表する~というふうに考えてみてはいかがでしょうか~?
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Unknown (nina)
2012-02-10 21:36:31
おお~ちゃん
いいえ、それは恥ずかしくてできません。
そうしなくても、大勢の人が訪問して読んでくれています。
正体を明かさない方がいいと思っています。
私を知っている人が読んで、この小説も他のものも実話だと思われるのは困るからです。

せっかくアドバイスをくださっているのに ごめんなさいね。
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Unknown (nasa)
2012-02-11 13:38:27

NINA先生ですか、私もニックネームもじりました

実話だと思われるのは困る~ですよね!
私の場合も思われています・・・が!
イメージの展開が狭いんです
参考にします
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Unknown (nina)
2012-02-11 16:03:05
nasaさん
いえ、先生。
ニックネームのもじりが凝っていますね。

全てフィクションなのに私の経験談と捉えられると、恥ずかしくて見せられません。

nasaさんはウイットに富んだ文章を書かれていることと思っています。

悲しいことに私の文章なんか参考になりません
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