またたく間に5年が過ぎた。
茶道も花道も、教室には毎回7~8人の弟子が通って来る。
時には女性に混じって男性が来ることもある。
健吾の住む同じ町で、彼の家から700mほど離れたところに老舗の陶器店がある。
明治の初期からあるといわれるその店は、主が7年前に40歳代の若さでがんを患い急逝した。
若いので病気の進行が早く、肺がんと診断されて4カ月で他界した。
当時、中学生の娘と小学生の息子が二人いた。
その妻は、残された子供たちを女手一つで育てながら陶器店を続けていた。
珍しい品物を仕入れているのか人気があり、遠方からも客が来ているようだ。
たまに健吾もその店の前を通ることがあるが、中で和服を着た女性が客の相手をしているのを見ることがある。
茶道の教室を始める際に、一度だけ正代と一緒に茶碗を見に行ったことがある。
店の展示もセンスが良くて、若者が入る姿もしばしば見られる。
その陶器店の女主人、真美が長女を連れて健吾の家を訪れたのは、庭にコスモスが咲いている頃だった。
土曜日の茶道教室が終わり、健吾と正代が次の花道教室のために机を並べている最中だった。
玄関に声がしたので正代が出て見ると、夕日がコスモスに反射して眩しく、二人の姿がぼんやりと影になって見える。
目が慣れてくると、一人はグレー地の中に薄茶色の草花をあしらった着物に、濃い茶色の帯を締めた40歳半ばの女性と、黒いミニスカートの若い娘が立っていた。
見覚えのある顔だが思い出せない。
「陶器屋の真美です。」
和服の女性が名乗って、正代はそうそう、茶器を揃える際にあの店にも行ったことがあると思い出した。
「ああぁ、あの時にはお世話になりました。
この方、お嬢さん?
大きくなられましたね。」
先生にお会いしたい、というので居間に案内した。
健吾が居間に入っていくと、畳の上に背筋をピンと伸ばし、両手を前に揃えた細身の母親と、同じ姿勢で座っている娘がいた。
母親が言うには、この娘を茶道教室に通わせるので、礼儀作法を教えてほしいとのこと。
親の自分が教えても、大学生になった娘は反発するばかりで、母親の言葉に耳を貸さないという。
それで他人様に厳しく教えてもらいたいのだと頼んだ。
店主が亡くなった時には小学生だった息子たちも、今では高校生になり、田舎を嫌って遠くの都会の大学進学を希望していて、こちらには戻ってきそうもない。
それでこの娘に陶器店の跡を継がせたいと考えている、と真美は語った。
美しい仕草でお辞儀をする真美を見て、健吾は心底「美しい女」と思った。
頭を下げた白い襟足に見えるおくれ毛が、何とも色っぽい。
驚くほどの美人ではないが、色白で細面の整った顔をしていて、何よりも仕草が美しい。
健吾は、教えましょう、と喜んで引き受けた。
茶道も花道も、教室には毎回7~8人の弟子が通って来る。
時には女性に混じって男性が来ることもある。
健吾の住む同じ町で、彼の家から700mほど離れたところに老舗の陶器店がある。
明治の初期からあるといわれるその店は、主が7年前に40歳代の若さでがんを患い急逝した。
若いので病気の進行が早く、肺がんと診断されて4カ月で他界した。
当時、中学生の娘と小学生の息子が二人いた。
その妻は、残された子供たちを女手一つで育てながら陶器店を続けていた。
珍しい品物を仕入れているのか人気があり、遠方からも客が来ているようだ。
たまに健吾もその店の前を通ることがあるが、中で和服を着た女性が客の相手をしているのを見ることがある。
茶道の教室を始める際に、一度だけ正代と一緒に茶碗を見に行ったことがある。
店の展示もセンスが良くて、若者が入る姿もしばしば見られる。
その陶器店の女主人、真美が長女を連れて健吾の家を訪れたのは、庭にコスモスが咲いている頃だった。
土曜日の茶道教室が終わり、健吾と正代が次の花道教室のために机を並べている最中だった。
玄関に声がしたので正代が出て見ると、夕日がコスモスに反射して眩しく、二人の姿がぼんやりと影になって見える。
目が慣れてくると、一人はグレー地の中に薄茶色の草花をあしらった着物に、濃い茶色の帯を締めた40歳半ばの女性と、黒いミニスカートの若い娘が立っていた。
見覚えのある顔だが思い出せない。
「陶器屋の真美です。」
和服の女性が名乗って、正代はそうそう、茶器を揃える際にあの店にも行ったことがあると思い出した。
「ああぁ、あの時にはお世話になりました。
この方、お嬢さん?
大きくなられましたね。」
先生にお会いしたい、というので居間に案内した。
健吾が居間に入っていくと、畳の上に背筋をピンと伸ばし、両手を前に揃えた細身の母親と、同じ姿勢で座っている娘がいた。
母親が言うには、この娘を茶道教室に通わせるので、礼儀作法を教えてほしいとのこと。
親の自分が教えても、大学生になった娘は反発するばかりで、母親の言葉に耳を貸さないという。
それで他人様に厳しく教えてもらいたいのだと頼んだ。
店主が亡くなった時には小学生だった息子たちも、今では高校生になり、田舎を嫌って遠くの都会の大学進学を希望していて、こちらには戻ってきそうもない。
それでこの娘に陶器店の跡を継がせたいと考えている、と真美は語った。
美しい仕草でお辞儀をする真美を見て、健吾は心底「美しい女」と思った。
頭を下げた白い襟足に見えるおくれ毛が、何とも色っぽい。
驚くほどの美人ではないが、色白で細面の整った顔をしていて、何よりも仕草が美しい。
健吾は、教えましょう、と喜んで引き受けた。
5年ですか~!!!(((p(>o<)q))) ギャアアア!!! /(・_;\ コワイヨー
作者は読者の期待を裏切って秘かに楽しんでいるのでは~??
ヘ(-_-ヘ フフフフフ (°°)\(-O-;) ッテナンデヤネン
う~む・・・下手に展開予想すると作者がまたよからぬ事を・・・「(^^; ) すんつれいしました
なので しばらく展開予想はお休みです・・・
でもな~・・・陶器屋のお母さんと娘さん どちらかとただならぬ関係へと~
あ~また作者が読書をいじめる予感が~\(〇_o)/コワイヨー
読者の方の期待を裏切ってばかりで申し訳ありません。
きっと最後まで裏切ることになりそうです。
ごめんなさ~い、平に平にお許しを<m(__)m>
>頭を下げた白い襟足に見えるおくれ毛が、何とも色っぽい
・・・・色白で細面の整った顔をしていて、何よりも仕草が美しい。
イイネ! 私もこの茶道教室に通うかな。案内書送って下さい。
素敵な文章に惑わされています……
それに「おおさん」のコメント面白いですね。読んでいて吹き出してしまいました。
こちらも「おおいに」期待しています。ninaさんも「おおいに」期待を裏切ってください。
素敵な文章、だなんて・・・もう嬉しくて舞い上がっています
でも自分の文章の拙さをよく知っています
この茶道教室、これからどうなるか次をお楽しみに・・・
おおさんのコメント何時も楽しいですね。
nasaさんのコメントも楽しみにしています。