【2023年版 障害者白書から見る】
身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、障害者数の概数は、身体障害児・者436万人、知的障害児・者109万4千人、精神障害者614万8千人となっています。これを人口千人当たりの人数でみると、身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は49人となる。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ9.2%が何らかの障害を有していることになる。(「精神障害者」数;厚生労働省「患者調査」(2020年)より。)
この他に、自閉スペクトラム症者数は日本人の千人あたり11~13人います。(ウィキペディア。)人口にして百五十万人ぐらいです。精神障害者数と合わせれば八百万人くらいであり、決して「少数」者ではありません。しかしその運命を決めるのは相対的多数派の「健常者」たちが選んだ政府であり、相対的少数派の精神障害者・自閉スペクトラム症者には決定権がありません。先進諸国の「人権」概念はそれを補うための民主主義的概念でしたが、ガザのジェノサイド以降は有効性・正当性を失いました。
それに対抗しうるものとして注目されているのは、植民地諸国人民の抵抗権であり、武装抵抗権です。これらが新たに注目されるにいたっています。植民地諸国人民は決して少数者ではありませんし、人口では世界の八割を占めています。しかし金(資本)を握っているグローバル・ノースの少数派によって支配され、イデオロギー的にも支配されてきました。これからは、植民地諸国人民の抵抗権・武装抵抗権が評価される時代に入っています。イデオロギー的にもグローバル・ノースの作った価値観から脱却してまったく新たな価値観を作っていくことでしょう。そこで問題になるのは、パブリック・オピニオン(輿論)です。討議し決定する過程に、すべての人民が加わる新たな意思決定方法です。
人口的に決して少数者ではない精神障害者・自閉スペクトラム症者はこれらのパブリック・オピニオンの形成過程にどうかかわるのでしょうか。キーとなるのは「私たちぬきに私たちのことを決めるな」という考え方です。どれだけ強くこの考え方を「輿論」と出来るかによって、精神障害者・自閉スペクトラム症者の自己決定権が形作られるのです。「私たちぬきに私たちのことを決めるな」は「自己決定権」の別の表現です。決して少数ではない精神障害者・自閉スペクトラム症者が人間として自らを主張するためには、この「自己決定権」を獲得するための「闘い」こそが必要なのです。闘いです。抵抗権、「武装」抵抗権の問題が提起されているのです。