最近お気に入りの高瀬隼子さんの単行本になっていない雑誌に掲載されている小説を4つ読みました。
日々の「むかつき」を小説にしてるって、すごいなと思って。そういやコムデギャルソンの川久保玲さんのデザインの源は「怒り」って言ってました。
★注意 以下、あらすじなど全てネタバレで書いています★
発表の古い順番に4つ
『すばる』2020年5月号「お供え」
うわぁ~凄くブラックで意地悪い内容・・・。
「Uさんが怖いんです」後輩Aが言った。創業者の記念フィギュアを机に飾っていて、目が合うのがイヤだそうだ。
そのフィギュアにUさんは、みんなからもらったお土産等をお供えしている。
そのうち部内でお供えすると小さなお願いが叶うらしいという噂がたつ。
ラストは外回りから戻って来たら、Aがどうやら私が別の部署に移動しますように・・・と祈っているのを目撃。
私はフィギュア人形を少しずらし、Aと更に目が合いやすい様にした。
でも会社の同僚や先輩・後輩の関係や、親しくしていても環境が変わったら縁遠くなってしまうって処とかは多い人が共感する気がする。
・・・・・・・・・
群像2022年12月号 「お返し」
これは凄く良かったです。なんか解るなぁー!と思う作品だった。私じゃなく自分の子供の時代を振り返ってみて。
小学校時代に毎年バレンタインにチョコをくれた一つ年下のユウハ。最初は母親同士が親しくてそれ繋がりで遊んだりしていたが、小3くらいから距離が出来てしまったのに、それでもずっと毎年くれていた。高校が別になって一時それが途切れていたのに、高3卒業目前のバレンタインにやって来た。正直、嬉しいよりも面倒な様な気持ちだった。ホワイトデーのお返しの時の母親の手助けとか色々・・・。
その後何年も経ち、現在自分も同じ会社の女性と結婚して息子がいるし、ユウハは大学卒業して就職し、大きな子供のいる男性と早々に結婚したらしい。
昔のバレンタインの出来事を話したら、彼女が返答した言葉が凄く印象的。
「なんか子どもの頃って、好きって気持ちの終点が、必ずしも両想いになることじゃなかった気がするんだよね。好きな人の意識にのぼること、記憶されること、忘れられないことの方が重要だったかも。
「でもあなたは、結局こうして、その子のことをずっと覚えているわけでしょ」 きっぱりした声で言い切られ、言い返そうとした言葉 が、喉の奥で詰まる。 「最後に渡したチョコって、それで想いをかなえられるか もって期待を込めたものじゃなくて、だめおしだったんじゃないの。 最後の。ここまでしたらさすがに忘れられないだろうっていう」
と、はっきり記憶し続けてるなんて、すごいじゃんね。わ たしだったらホワイトデーにどんなに豪華なお返しをもらうのより、そっちがいい。ずっとわたしのことを覚えていてくれるっていう、お返し」
確かに。そんな風に記憶にしっかり強く残るっての、凄いなあと思ったな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『すばる1月号 2023』「末永い幸せ」
故郷でお正月にはいつも子供の頃からの独身の友人3人で集まって飲み会をやっている。
りっちゃんだけが故郷の実家で暮らしている。彼女は一番成績が良かったし東京の有名私大を卒業したが就職が出来なくて故郷に戻り、手芸店でバイトをしたが辞めたりしていた。彼女は今迄、誰とも交際したことが無かったと思われるが、10年前から結婚や子供等を希望していたはず・・。
そのりっちゃんが、もうすぐ結婚をする。おめでとう!と心から喜んだが、主人公の奏は結婚式が大嫌いで苦手だから参加出来ないと言う。
その理由が語られる(その結婚式内の違和感や嫌いだという感じ、奏の気持ちも理解できる) 奏とお母さんとの会話でのイヤーな感じも凄く解る。
が、ラスト結婚式に近くのホテルに宿泊していて、窓から様子を見守るのだった。(そこまでするなら、我慢して参加するほうが楽だし角が立たないのでは・・?と思ったりもしたけど・・果たして後日この事を明かすのか、秘密にしたままにするのか・・・)
・・・・・・・・・・・・
『文學界 2023/2』「うるさいこの音の全部」
有名になってしまった作家の大変さや心理部分は凄く良かったんだけど、大学生時代の主人公や女子仲間が凄い意地悪でイヤだった。
大学生の女子仲間はよく集まっていた。ある日の夜中、近所の中華料理屋で、ただ飯食べようとふざけてそこの息子をおだてつつ、成功?させる。
その後、個人的に彼と2人で4回位会って、つきあうようになり(Hもするが)、途中でもう仲間内の笑いのネタにもならないと一方的に別れを告げる。彼が突然の別れにとまどってお家に来たりするうち警察に通報して・・・その後動画をSNSにアップして、一時はお店が閑古鳥が・・・。そのうち息子はお店に姿を見せなくなって・・・って、ひどくないですか?全然笑えないよ・・。
で、その内容は実は彼女が書いていた小説という設定なんだけど、
文学賞を受賞して以後、彼女の働いていたゲームセンターでの立場とか周りの目とかの変化。
これはキツイな、有名になるって大変だ・・・(テレビに出ちゃうのが一番影響大きいっぽいね)疲れるね・・。
そもそも書いている内容が必ずしも作家の経験した事とは限らないし、小説で出て来るセリフや思考が、そのまま作家も同じに思ってる事とも限らないのだけれど。でも、イコールでつい世間は思ってしまいがちよね・・・。
ゲームセンターにしょっちゅう来る老人とか、車に同乗してきたのに途中いなくなって山の中で死んでいた中華料理屋の青年とか、ちょっと幽霊っぽいエピソードも登場しますが、そこは私はあまりピンと来なかったかも。
高瀬さんのお話どれも面白いので、これからも楽しみにしています!
おいしいごはんが食べられますように
犬のかたちをしているもの
水たまりで息をする
日々の「むかつき」を小説にしてるって、すごいなと思って。そういやコムデギャルソンの川久保玲さんのデザインの源は「怒り」って言ってました。
★注意 以下、あらすじなど全てネタバレで書いています★
発表の古い順番に4つ
『すばる』2020年5月号「お供え」
うわぁ~凄くブラックで意地悪い内容・・・。
「Uさんが怖いんです」後輩Aが言った。創業者の記念フィギュアを机に飾っていて、目が合うのがイヤだそうだ。
そのフィギュアにUさんは、みんなからもらったお土産等をお供えしている。
そのうち部内でお供えすると小さなお願いが叶うらしいという噂がたつ。
ラストは外回りから戻って来たら、Aがどうやら私が別の部署に移動しますように・・・と祈っているのを目撃。
私はフィギュア人形を少しずらし、Aと更に目が合いやすい様にした。
でも会社の同僚や先輩・後輩の関係や、親しくしていても環境が変わったら縁遠くなってしまうって処とかは多い人が共感する気がする。
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群像2022年12月号 「お返し」
これは凄く良かったです。なんか解るなぁー!と思う作品だった。私じゃなく自分の子供の時代を振り返ってみて。
小学校時代に毎年バレンタインにチョコをくれた一つ年下のユウハ。最初は母親同士が親しくてそれ繋がりで遊んだりしていたが、小3くらいから距離が出来てしまったのに、それでもずっと毎年くれていた。高校が別になって一時それが途切れていたのに、高3卒業目前のバレンタインにやって来た。正直、嬉しいよりも面倒な様な気持ちだった。ホワイトデーのお返しの時の母親の手助けとか色々・・・。
その後何年も経ち、現在自分も同じ会社の女性と結婚して息子がいるし、ユウハは大学卒業して就職し、大きな子供のいる男性と早々に結婚したらしい。
昔のバレンタインの出来事を話したら、彼女が返答した言葉が凄く印象的。
「なんか子どもの頃って、好きって気持ちの終点が、必ずしも両想いになることじゃなかった気がするんだよね。好きな人の意識にのぼること、記憶されること、忘れられないことの方が重要だったかも。
「でもあなたは、結局こうして、その子のことをずっと覚えているわけでしょ」 きっぱりした声で言い切られ、言い返そうとした言葉 が、喉の奥で詰まる。 「最後に渡したチョコって、それで想いをかなえられるか もって期待を込めたものじゃなくて、だめおしだったんじゃないの。 最後の。ここまでしたらさすがに忘れられないだろうっていう」
と、はっきり記憶し続けてるなんて、すごいじゃんね。わ たしだったらホワイトデーにどんなに豪華なお返しをもらうのより、そっちがいい。ずっとわたしのことを覚えていてくれるっていう、お返し」
確かに。そんな風に記憶にしっかり強く残るっての、凄いなあと思ったな。
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『すばる1月号 2023』「末永い幸せ」
故郷でお正月にはいつも子供の頃からの独身の友人3人で集まって飲み会をやっている。
りっちゃんだけが故郷の実家で暮らしている。彼女は一番成績が良かったし東京の有名私大を卒業したが就職が出来なくて故郷に戻り、手芸店でバイトをしたが辞めたりしていた。彼女は今迄、誰とも交際したことが無かったと思われるが、10年前から結婚や子供等を希望していたはず・・。
そのりっちゃんが、もうすぐ結婚をする。おめでとう!と心から喜んだが、主人公の奏は結婚式が大嫌いで苦手だから参加出来ないと言う。
その理由が語られる(その結婚式内の違和感や嫌いだという感じ、奏の気持ちも理解できる) 奏とお母さんとの会話でのイヤーな感じも凄く解る。
が、ラスト結婚式に近くのホテルに宿泊していて、窓から様子を見守るのだった。(そこまでするなら、我慢して参加するほうが楽だし角が立たないのでは・・?と思ったりもしたけど・・果たして後日この事を明かすのか、秘密にしたままにするのか・・・)
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『文學界 2023/2』「うるさいこの音の全部」
有名になってしまった作家の大変さや心理部分は凄く良かったんだけど、大学生時代の主人公や女子仲間が凄い意地悪でイヤだった。
大学生の女子仲間はよく集まっていた。ある日の夜中、近所の中華料理屋で、ただ飯食べようとふざけてそこの息子をおだてつつ、成功?させる。
その後、個人的に彼と2人で4回位会って、つきあうようになり(Hもするが)、途中でもう仲間内の笑いのネタにもならないと一方的に別れを告げる。彼が突然の別れにとまどってお家に来たりするうち警察に通報して・・・その後動画をSNSにアップして、一時はお店が閑古鳥が・・・。そのうち息子はお店に姿を見せなくなって・・・って、ひどくないですか?全然笑えないよ・・。
で、その内容は実は彼女が書いていた小説という設定なんだけど、
文学賞を受賞して以後、彼女の働いていたゲームセンターでの立場とか周りの目とかの変化。
これはキツイな、有名になるって大変だ・・・(テレビに出ちゃうのが一番影響大きいっぽいね)疲れるね・・。
そもそも書いている内容が必ずしも作家の経験した事とは限らないし、小説で出て来るセリフや思考が、そのまま作家も同じに思ってる事とも限らないのだけれど。でも、イコールでつい世間は思ってしまいがちよね・・・。
ゲームセンターにしょっちゅう来る老人とか、車に同乗してきたのに途中いなくなって山の中で死んでいた中華料理屋の青年とか、ちょっと幽霊っぽいエピソードも登場しますが、そこは私はあまりピンと来なかったかも。
高瀬さんのお話どれも面白いので、これからも楽しみにしています!
おいしいごはんが食べられますように
犬のかたちをしているもの
水たまりで息をする
高瀬さん、単行本になった3冊は読んでるけど、↑で紹介されてる短編?は知らないです。あ~~~これを全部集めて、単行本として出版しないかな?
高瀬さんって何だかクセがあるんだけど、読みたくなる作家さんですよね。
あ~最近、読んでないから読みたくなっちゃった。
このところ、読む本が無くて(届かなくて)、ちょっと図書館で既刊の雑誌に載ってる高瀬さんの過去作品等を読んでみていたんです。
きっと、いつかそれらの短編を集めて単行本として出版しそうな予感です。
結構毒のある内容のもありました。そうそう、なんだかクセがあるけど、読みたくなる作家っていうの、まさにその通りです。
「うるさいこの音~」が出版されたので読みました。どっかでみたタイトルだよなぁと思ってたら、ココでした^^
これってあの後半部分もあったのかな?
朝陽の地元でも騒ぎになってて、地元の先生?が来たり・・・とかの部分。
後半を読むと収まりが良いというか、納得しました。
前半部分の大学生の4人。最悪よね。タダ飯のために、男と寝るとか!で、面白くなくなってきたから、振ってストーカー扱い!酷いよね~~~。 ま、若さゆえのノリ?
そうそう、これ新刊出てますよねー。(例のわぐまさんから教えてもらったe-honのシステムのお陰で)私も早々にリクエストしてきて、順番待ち中のところなんです。
それにしても、わぐまさんはいつも早い!
羨ましいなー。
>朝陽の地元でも騒ぎになってて、地元の先生?が来たり・・・とかの部分。
え。。あったかな? ちょっと思い出せない。私も近く回って来たら読みますね!そこ、注意して読んでみます。
楽しみー!
若さゆえのノリ
それそれ。
高瀬さんって、そういうのと繋がらない(勝手なイメージで)人なのに、たまにそういう人が登場して来たりして、驚きます。