
森田繁子と腹八分
農業や酪農についてのネタを解りやすく、へー!って楽しませてもらえて面白かったです。
北海道の帯広で酪農業経験者の荒川弘さんの漫画「銀の匙」とかもそうだったし、三浦しをんさんの未知のお仕事小説とかもそうだけど、この手の作品が私は好きです。
本作の主人公の森田繁子がインパクトあるー。
たいがいヒロインって、地味だけどよく見ると美人とか、コミュ障の華奢な女性とかが多いけれど、本作はバーン!と恰幅の良いメイクも服も過激に派手なおばちゃん。でも仕事も出来て頭もキレて頼りになるおばちゃん。派手な服は戦闘用っていうのが笑える。
鉄砲と書物
北海道の農場経営者、四谷登にはエゾシカ駆除が欠かせない。山林に追い込み、
猟銃で仕留めていた。ところがその山林を購入した30代の女性から駆除に待ったが入り・・
婚約者の男がえげつない。こんな人と交際続けていたなんて、、、、早くに気がついて良かったよ。
山羊とアザミ
千葉県房総半島の内陸部にある松嶋牧場。
夫の勇人はヤギ放牧、妻の由美はヤギ乳製品づくりに勤しむ。
しかし二人には距離があり・・・
アザミの駆除って凄く大変なのね・・・
作る人と食べる人
佐久間千草は夫の浩一と共に彼の祖父・等と夫の故郷で暮らしている。
頑固で作業を教えてくれずにいた。
ちょこっと繁子と娘・孫とのエピソードから、普通の人らしい処が見えて、バランス的に凄く良いなーって思ったんですよね。母としての繁子は仕事をしている彼女とは違うって処がかいま見えて。
なんでも出来て、食通な森田繁子だけど、悲しくも実の娘は食に興味のないタイプだから、上手く行かない処もあったみたいで・・・仲良し親子ってわけじゃなかったみたいなのよね。
母との趣味嗜好等の違いから微妙にお互いに遠慮があるというか・・・。
でも娘と孫に送る荷物にお酒をちょこっと入れておくという配慮をするお母さん繁子なのでした。
河崎さんの実際のお姿を以前見た時、縄文人的なワイルド系ルックスで印象的だったのですが、なにげに森田繁子って河崎さんのキャラとかぶるところがある様な・・・。全然派手ケバい人じゃないけれど、きっと彼女も大胆不敵かつ、器用に色々な事が出来て頭が良く行動力がある人なんじゃないかな。
今迄読んだ河崎さんの野性的な小説とは違った雰囲気の本作、とても読みやすく軽快な印象でした。ただ書かれたのは直木賞受賞前の2022~23年と少し前だったのですね。
内容 あらすじ
日本農業新聞に連載されていた小説の書籍化
獣害問題、後継問題、夫婦の問題 伝説の農業コンサルタント森田繁子におまかせあれ!
森田繁子は農業コンサルタント。愛用の真赤なBMWに乗って全国各地へ。
時には、北海道、時には千葉。
・・・・・・・・・・・
愚か者の石
読み応えのある作品でした。
開拓時代に犯罪者として北海道に飛ばされた者たちの大変な獄中の様子・・・。
政治活動にちょっと加わっていただけで逮捕され、親も信じてくれず長男には裏切られ、許嫁も長男に嫁ぐという、絶望状態で10年以上の刑。
未開の北海道開拓に寒さに震えながら携わる・・・。
そこで2人対になった大二郎。ひょうひょうとして場を和ますユニークな男だが過去何をしてきてどんな人生だったのか?全く知らない。
看守の男。いつもキッチリ整えられた制服を着ている。
なんだかんだで縁があり、ずっと交流を持つことに。
この3名がメインです。
読み終わった後、amazonの作品詳細を読んでビックリ・・・
えーーー、こんな9割位の内容全部明かされていて、いいのか?
まだ未読の方が、ネタバレを先に読んでしまうじゃないの・・・
これから読む人はamazonの説明は読まない事!
★以下ネタバレ★
大二郎のずっと大事にしてきた石。水の入った石英。
偶然なのですが、この石って太陽を通してレンズになって火が出るのかな?って想像しちゃったし、中盤で九州の炭鉱で子供2人を殺した極悪人・・というエピソードが出た時も、大二郎の過去では?とピンと来たのもその通りだったので、驚きが無かったのが残念でした。普段は全くカンが働かないのに今回に限って・・・。
大二郎が脱獄出来た後、DV親父のいる家でボロボロになるまで働かされて死んでしまい(なんでそこから出て行かなかったんだろう?)川に流されていたのですが、そこの家の息子と大二郎が仲良くなっていた為、父亡き後の息子から事情を聞けたんですが・・・。
大きな杉の木の下に何か埋まってるかも?のシーンは、ワクワクしたけど特に何もなく。ショーシャンクではなかったな。以上
愚か者の石 2024/5/29 河崎秋子 (著)
内容 明治18年初夏、瀬戸内巽は国事犯として徒刑13年の判決を受け、北海道の樺戸集治監に収監された。同房の山本大二郎は、女の話や食い物の話など囚人の欲望を膨らませる、夢のような法螺ばかり吹く男だった。明治19年春、巽は硫黄採掘に従事するため相棒の大二郎とともに道東・標茶の釧路集治監へ移送されることになった。その道中で一行は四月の吹雪に遭遇する。生き延びたのは看守の中田、大二郎、巽の三人だけだった。
・・・・・・・・・
私の最後の羊が死んだ
河崎さんのご実家や、羊飼いになる経緯と羊飼い時代のエピソード、そして作家になり現在に至るまで、お父さんの事、介護に関する事が書かれていました。
自ら育てて食肉にして食べるという事に関しても多くページを取られていて、真剣に自然にそれを実践していらっしゃる。
でも小学生にそれを学校の授業として全員に強制的に学ばせるというのはどうだろうか?という考えもお持ちなようです。
私は羊肉が苦手なので残念。子供の頃はジンギスカン美味しく食べていたんだけどなあ・・・
あと印象に残った処としては、
・自称羊飼い という表現をされたことに大変不快に思っていらっしゃる。
・最初に北海道新聞文学賞に応募し落選した原稿を書き直したともぐいが、直木賞を受賞していた。
私の最後の羊が死んだ 2024/10/31 河崎秋子
河﨑秋子
「森田繁子と腹八分」「愚か者の石」「私の最後の羊が死んだ」
「ともぐい」「土に贖う」
農業や酪農についてのネタを解りやすく、へー!って楽しませてもらえて面白かったです。
北海道の帯広で酪農業経験者の荒川弘さんの漫画「銀の匙」とかもそうだったし、三浦しをんさんの未知のお仕事小説とかもそうだけど、この手の作品が私は好きです。
本作の主人公の森田繁子がインパクトあるー。
たいがいヒロインって、地味だけどよく見ると美人とか、コミュ障の華奢な女性とかが多いけれど、本作はバーン!と恰幅の良いメイクも服も過激に派手なおばちゃん。でも仕事も出来て頭もキレて頼りになるおばちゃん。派手な服は戦闘用っていうのが笑える。
鉄砲と書物
北海道の農場経営者、四谷登にはエゾシカ駆除が欠かせない。山林に追い込み、
猟銃で仕留めていた。ところがその山林を購入した30代の女性から駆除に待ったが入り・・
婚約者の男がえげつない。こんな人と交際続けていたなんて、、、、早くに気がついて良かったよ。
山羊とアザミ
千葉県房総半島の内陸部にある松嶋牧場。
夫の勇人はヤギ放牧、妻の由美はヤギ乳製品づくりに勤しむ。
しかし二人には距離があり・・・
アザミの駆除って凄く大変なのね・・・
作る人と食べる人
佐久間千草は夫の浩一と共に彼の祖父・等と夫の故郷で暮らしている。
頑固で作業を教えてくれずにいた。
ちょこっと繁子と娘・孫とのエピソードから、普通の人らしい処が見えて、バランス的に凄く良いなーって思ったんですよね。母としての繁子は仕事をしている彼女とは違うって処がかいま見えて。
なんでも出来て、食通な森田繁子だけど、悲しくも実の娘は食に興味のないタイプだから、上手く行かない処もあったみたいで・・・仲良し親子ってわけじゃなかったみたいなのよね。
母との趣味嗜好等の違いから微妙にお互いに遠慮があるというか・・・。
でも娘と孫に送る荷物にお酒をちょこっと入れておくという配慮をするお母さん繁子なのでした。
河崎さんの実際のお姿を以前見た時、縄文人的なワイルド系ルックスで印象的だったのですが、なにげに森田繁子って河崎さんのキャラとかぶるところがある様な・・・。全然派手ケバい人じゃないけれど、きっと彼女も大胆不敵かつ、器用に色々な事が出来て頭が良く行動力がある人なんじゃないかな。
今迄読んだ河崎さんの野性的な小説とは違った雰囲気の本作、とても読みやすく軽快な印象でした。ただ書かれたのは直木賞受賞前の2022~23年と少し前だったのですね。
内容 あらすじ
日本農業新聞に連載されていた小説の書籍化
獣害問題、後継問題、夫婦の問題 伝説の農業コンサルタント森田繁子におまかせあれ!
森田繁子は農業コンサルタント。愛用の真赤なBMWに乗って全国各地へ。
時には、北海道、時には千葉。
・・・・・・・・・・・
愚か者の石
読み応えのある作品でした。
開拓時代に犯罪者として北海道に飛ばされた者たちの大変な獄中の様子・・・。
政治活動にちょっと加わっていただけで逮捕され、親も信じてくれず長男には裏切られ、許嫁も長男に嫁ぐという、絶望状態で10年以上の刑。
未開の北海道開拓に寒さに震えながら携わる・・・。
そこで2人対になった大二郎。ひょうひょうとして場を和ますユニークな男だが過去何をしてきてどんな人生だったのか?全く知らない。
看守の男。いつもキッチリ整えられた制服を着ている。
なんだかんだで縁があり、ずっと交流を持つことに。
この3名がメインです。
読み終わった後、amazonの作品詳細を読んでビックリ・・・
えーーー、こんな9割位の内容全部明かされていて、いいのか?
まだ未読の方が、ネタバレを先に読んでしまうじゃないの・・・
これから読む人はamazonの説明は読まない事!
★以下ネタバレ★
大二郎のずっと大事にしてきた石。水の入った石英。
偶然なのですが、この石って太陽を通してレンズになって火が出るのかな?って想像しちゃったし、中盤で九州の炭鉱で子供2人を殺した極悪人・・というエピソードが出た時も、大二郎の過去では?とピンと来たのもその通りだったので、驚きが無かったのが残念でした。普段は全くカンが働かないのに今回に限って・・・。
大二郎が脱獄出来た後、DV親父のいる家でボロボロになるまで働かされて死んでしまい(なんでそこから出て行かなかったんだろう?)川に流されていたのですが、そこの家の息子と大二郎が仲良くなっていた為、父亡き後の息子から事情を聞けたんですが・・・。
大きな杉の木の下に何か埋まってるかも?のシーンは、ワクワクしたけど特に何もなく。ショーシャンクではなかったな。以上
愚か者の石 2024/5/29 河崎秋子 (著)
内容 明治18年初夏、瀬戸内巽は国事犯として徒刑13年の判決を受け、北海道の樺戸集治監に収監された。同房の山本大二郎は、女の話や食い物の話など囚人の欲望を膨らませる、夢のような法螺ばかり吹く男だった。明治19年春、巽は硫黄採掘に従事するため相棒の大二郎とともに道東・標茶の釧路集治監へ移送されることになった。その道中で一行は四月の吹雪に遭遇する。生き延びたのは看守の中田、大二郎、巽の三人だけだった。
・・・・・・・・・
私の最後の羊が死んだ
河崎さんのご実家や、羊飼いになる経緯と羊飼い時代のエピソード、そして作家になり現在に至るまで、お父さんの事、介護に関する事が書かれていました。
自ら育てて食肉にして食べるという事に関しても多くページを取られていて、真剣に自然にそれを実践していらっしゃる。
でも小学生にそれを学校の授業として全員に強制的に学ばせるというのはどうだろうか?という考えもお持ちなようです。
私は羊肉が苦手なので残念。子供の頃はジンギスカン美味しく食べていたんだけどなあ・・・
あと印象に残った処としては、
・自称羊飼い という表現をされたことに大変不快に思っていらっしゃる。
・最初に北海道新聞文学賞に応募し落選した原稿を書き直したともぐいが、直木賞を受賞していた。
私の最後の羊が死んだ 2024/10/31 河崎秋子
河﨑秋子
「森田繁子と腹八分」「愚か者の石」「私の最後の羊が死んだ」
「ともぐい」「土に贖う」
わぁ河崎さん祭りだ♪
森田繁子は、、、読みやすいですよね。コレだったら、誰にでもおススメ出来る!
繁子さんの食べっぷりが良い所&綺麗に食べるところが好き♪
&頭が良い!!
んだけど、自分の家族の事となると、繊細モードなのよね。そーいう一面も好きでした。
他2冊は読んでないです。アマゾンは見たらダメなのね。でもあるよね~~~やたらと書いてしまってる紹介文。読むかも知れないので、ネタバレのところはスルーしました^^
最後の羊のは・・・エッセイなのかな?
良かったのは『愚か者の石』
基本小説家のエッセイは読まないことにしているので『私の最後の羊が死んだ』は未読です。
改めて調べてみたら『鯨の岬』と『鳩護』と言う未読書があるようなので、読んでみよう。
http://todo23.g1.xrea.com/book/keyword.html?key=%E6%B2%B3%E5%B4%8E%E3%80%80%E7%A7%8B%E5%AD%90
コメントありがとうございます。
最後のはエッセイだけど、割と読み応えがありましたよ。彼女の本は、こういう体験から成り立ってるんだっていうのが解る内容で、動物を飼って肉にして食べるって処がメインかな・・・
私的には、ちょっと読んでいてキツく感じる処も正直あったかも。
>繁子さんの食べっぷりが良い所&綺麗に食べるところ
そうそう、いいよねー!そういうの読んでて楽しい。
多分続編出ますよね。
コメントありがとうございます。
『愚か者の石』はtodo23から教えて頂いて、読むに至りました。
面白かったですが、ネタバレのところに書いた様に、何故か今回に限って私の予測というかカンが当たってしまったので、そうなんだ!?という驚きを感じられなかったのが残念でした。
todo23さんの処、リンクありがとうございます。
これからお邪魔しますねー