古事記 中つ巻 現代語訳 十三
古事記 中つ巻
邇芸速日命、天津瑞を献上する
書き下し文
故、尓して邇芸速日命参赴きて、天つ神の御子に白さく、「天つ神の御子天降り坐しぬと聞く。故追ひて参降り来つ」とまをす。天津瑞を献りて仕へ奉る。故、邇芸速日命、登美毘古が妹登美夜毘売に娶ひて生める子、宇麻志麻遅命。此は物部連・穂積臣・婇臣の祖なり。故かく荒ぶる神等を言向け平和し、伏はぬ人等を退け撥ひて、畝火之白祷原宮に坐して、天の下治らしめしき。
現代語訳
故、尓して邇芸速日命(にぎはやひのみこと)が参赴(まいおもぶ)きて、天津神の御子にもうして、「天津神の御子が天降り坐(ま)したと聞きました。故に、追って参降(まいくだ)り来ました」と申しました。天津瑞(あまつしるし)を献(たてまつ)りてお仕えしました。故に、邇芸速日命が、登美毘古(とみびこ)の妹・登美夜毘売(とみやひめ)を娶いて生める子は、宇麻志麻遅命(うましまぢのみこと)。これは物部連(もののべのむらじ)・穂積臣(ほづみのおみ)・婇臣(うねめのおみ)の祖です。故、かく荒ぶる神等(ども)を言向(ことむ)けし平和(やは)し、伏(したが)わない人等を退け撥(はら)いて、畝火之白祷原宮(うねびのかしはらのみや)に坐して、天(あめ)の下を治(した)らしめました。
現代語訳(ゆる~っと訳)
このように進軍していると、邇芸速日命が参上してきて、天津神の御子孫に、
「天津神の御子が天降りされたと聞きました。そこで、私も後を追って降って来ました」といいました。
そして、天津神の子であることを示す宝物を神倭伊波礼毘古命に献上し、お仕え申し上げることとなりました。
この、邇芸速日命が、登美毘古の妹・登美夜毘売と結婚して生まれた子は、宇麻志麻遅命。これは物部連・穂積臣・婇臣の祖先です。
このようにして、荒々しい神々を説得して平定し、服従しない人々を追い払って、畝火之白祷原宮においでになられ、天下を統治されました。
続きます。
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