夢の人

心はいつまでも子供のまま。生活感無き こだわり人は、今日も夢を追いかけて多忙です。

『ロンドンの傘』

2006-12-31 00:22:27 | Weblog
 雨が降った日、家人が上機嫌で帰宅した直後に何やら血相を変えてあたふたし始めたと思えば、曰く
「小銭入れが無い」
ジーパンのポケットにある筈が、何処にも無いと言う。

マンション入り口で夕刊やチラシをポストから出して、エレベーターで上がってくる行動のどの場面かで落としたらしい。
いつも小銭入れの中に家の鍵を入れているので、《部屋に入る事ができて手元に鍵はある》イコール《少なくともマンションの敷地内で落とした》という図式が成り立つ。
セカンドバッグの中も、着ているブルゾンのポケットも、探したけれどみつからない。
机に並んだ小物は家の鍵、自転車の鍵、千円札数枚、ライター、腕時計など。
まさに、探し物はなんですか~♪状態である。

夕刊を取る時に落としている可能性が高そうだが、あくまでも想像でしかない。
今上がってきた行程を、逆に辿るべくドアを開ける家人の背中に向かって「絶対みつかるよ」と言えば、
「万が一無くても、300円ぐらいしか入ってなかったし」と言う。
中身より財布のほうが高いわい!

数分後、むっつりと戻ってきて「やっぱりみつからん」
そこで御大のお出ましとなる。
ジャケットをひっかけ、私は鍵を片手に玄関へ向かう。
「私が探す。 チラシと一緒に外のゴミ箱に捨ててたりしない?」
「そう思って見たけど無かった」
スチール製円筒形のゴミ箱を、犬のように必死で覗き込む家人を考えると――笑える。

さて、とドアを開けて一歩踏み出した私の視界の隅に或る物が……
「ねぇ! 傘の中は?」

家の窓枠にぶら下がった濡れた傘を家人が急いで広げる。
小銭の景気の良い音と共に、黒い革小物が落ちてきた。

  『刑事コロンボ』に『ロンドンの傘』なる作品があった。 ちょっと、それに似ていた出来事。



 今年は皆さんにとってどんな年でしたか?
来年の幸せを願って、ゆく年を見送りたいと思います。



コメント (3)
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