『ありがち日記』

「少年は残酷な弓を射る」

劇場公開時、いや、その前から予告などで気になっていた作品。
危うい雰囲気をまとった美少年のイメージだけが、私の中ではかなり膨らんでいたように思う。
で、タイトルのまんま、きっとこの少年が残酷な弓を射る(矢を射る?)のだろうな、と。
(本当にそれ以上のものが想像できなかった…苦笑)

劇場では見られず、WOWOWで放送されたので「よっしゃ!」と録画。
その後、同じく放送を観た方のツイートなんかを見て、どうやらヘビーな内容のようだぞ…と。
覚悟を決めて、見てみました。

最初から、画面に惹きつけられるー!
荒れ果てた家に住む女性と、精神的に病んでいるかのような表情、そして暗い映像。
どうやら嫌がらせを受けているようで、赤いペンキを家や車にぶちまけられる。
暗い映像と思ったけど、赤い色はどうやら何かを表しているようだし、
音楽もその雰囲気とはそぐわないようなものだったり、とにかく不思議な空気感。

そもそも、あの少年が出てこないんだけど…と思っていたら…

少年の名前はケヴィン。女性の息子。
ケヴィンは重大な犯罪を犯し、刑務所に入れられている。そこに面会に行く母親。
母と息子にいったい何が起きたのか、まだ最初の方では分からない。
重苦しい空気に包まれた、現在の母親の日常と、
ケヴィンが犯罪を犯すまでの2人(+父親、妹)の関係が描かれる過去のシーンとが、交互に出てきて、
次第に何が起こったか明らかになっていく。

ケヴィンは幼いころから母親には嫌がらせをする。
母親は必死に息子を愛そうとしているが、内心ではうんざり。
それを見抜いて、意図的に(?)母親に嫌がらせを繰り返す息子。
その嫌がらせが、眉をひそめたくなるような酷いもので、きれいな顔してやることは悪魔のよう。
父親にはいい子。それがあからさまで、母親は余計に焦りと「愛さなければ」という義務感に苛まれる。

最終的に、何かが積もり積もって、ケヴィンが犯す罪は、許されるものではないけれども、
母親に対する想いは、どんなものだったのだろう。

逆に、母親の息子に対する態度や育て方は、果たして、彼が犯罪を犯すほどのものだったのか。

正直、子育て経験のない私には、わからない問題だらけで難しいテーマだと思った。
でももしかしたら、ここまでではないとしても、同じようなことが起こりうるのかもしれないとも思う。

非常に重たい…

そうそう、この映画の原題が「WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN」とのこと。
ケヴィンのような悲劇を起こさないために、この問いに目を向けて、話す必要があるのかもしれない。 


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