タイトルで暗い話をイメージしていたのですが、
主人公の中学生・逸夫が成長する物語という感じでした。
あらすじ
平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。
逸夫は平凡で普通であることを憂いつつ、老舗旅館の長男として暮らしています。
このままずるずると旅館の跡を継ぐのかもしれないけれど、
もっと自分には可能性があるのではと思っている…そんな難しいお年頃です。
同級生の敦子から、タイムカプセルを掘り起こして、
20年後の自分にあてた手紙を取り替えたいという頼みごとをされ聞き入れるのですが、
“普通”であることから抜け出せると淡い期待というかドキドキがあります。
ところが、敦子には逸夫に話したものとは異なる理由があって、嘘をついています。
同時期に、逸夫の祖母・いくの過去が明らかになり、今まで嘘をついていたことがわかります。
どちらも哀しい嘘。
そして彼女たちと過ごしている逸夫自身にも変化が訪れます。
父親との殴り合いのけんかで、自分の力も体格も父を超えてしまっていることに気付き、
後悔するのですがどうにも消化しきれない思いを抱えてしまいます。
そこで、逸夫、敦子、いくの3人で、ある行動を起こします。
結果としてその行動がうまくいったのかどうかはわかりません。
が、私には良かったんじゃないかと思えます。
最後のシーンで、タイトルの意味がわかりジーンとなりました。
なるほどなぁ。
決して派手な作品で目立つものではありませんが、
絶望を抱えていた人々に、救いの希望が少し見えてくるというところに、
道尾作品らしさを感じました。
函館旅行の往復新幹線の中で一気に読み進めました(*´ω`)
(だってトンネルばかりで景色もあまり楽しめないし…)
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