湊かなえさんの「あとがき」（初めて書いたらしい！？）に、この本に込めたメッセージや決意が読み取れます。
 | 未来 (双葉文庫) 湊かなえ 双葉社 |
ストーリー
「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」ある日突然、少女に届いた一通の手紙──。家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちに待つ未来とは!? デビュー作『告白』から10年、湊ワールドの集大成となる長編ミステリー、待望の文庫化!!（未来 | 株式会社双葉社 ）
最初は未来の自分から手紙が届くというファンタジーものなのかと思っていたら違いました。そんで、湊さんと言えばっていうイヤミスでもありません。
とっても重いテーマを扱っています。これが子供たちに対する虐待やイジメ、貧困などに対して、作家だからこそできる問題提起の方法なんだろうと。単なる一読者である私は実際にその境遇に身を置いたわけではないから、わかっていないことがきっとたくさんあるんだろうな…
でも自分がこの立場だったら？って想像したり考えたりすることはできるし、そのことに目を向けさせてくれた作品の一つが、この『未来』なので、湊さんのメッセージを受け取ることができたのかなって思います。目を背けてはならない現実としてちゃんと向き合わねばなりませんね。
湊さんの思いが詰まった傑作で、久々に重厚というか重みのある言葉をたくさん読んだ気がします。登場した章子ら子どもたちの未来が幸せでありますようにと願わずにはいられません。未来の幸せな姿を想像してそこに向かっていくって前向きな気持ちからだと思うのよね…そう考えるとちょっと希望も見える終わり方だったのかなぁ。絶望しそうになった時に、分かり合える誰かがいてくれるってことも大事な気もします。あぁ、どうなるんだろう…
心が壊れる前の自分を守るための方法が人形のようになることという、章子の母親である文乃さん、彼女にも幸せになって欲しいんだけれどなぁ。
これまでの作品も読んできましたが、この『未来』を読んだ後だと感想が変わってくるような気がしますね。読み返してみようかしら？（そんな時間があるのか？💦）いずれ、これ以降の作品もますます楽しみです。
