道尾さんの作品としては少し前のもの。
全体を覆う雰囲気としては暗いなー。
あらすじ
幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう――。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。
17歳の主人公・友彦と、幼馴染のサヨ、ナオ姉妹、姉妹の父親の乙太郎さん、そして智子さん。
これらの人物の間で繰り返され、積み重ねられていく嘘。
明るい方向に向かう嘘ならいいのだけど、相手を想ってのことだったはずが、
結果として別の人物にとっては最悪なものだったりする。
結局は誰が悪かったの?なんて悪人探しをするお話ではない。
ナオが怖い、という感想をどこかで見かけた気がするけれど、それはちょっと私の中では違うかな。
彼女は彼女なりに自分の大切なものを守ろうとしていたのだと思う。
乙太郎さんの死が哀しかった。
奥さんが死に、娘のサヨが自殺。
息子のように思う友彦と、あることがきっかけで壁が出来てしまう。
友彦の気持ちもわからんでもないけど。。
智子さんは謎めいていて、最初のうちは何がしたいのかわからない。
いい人なのか、誰かをはめようとしている悪い人なのか。そんなに魅力的な人なのか。
(そう簡単に人の善悪をわけてしまうのはよくないんだろうけど…)
でも、暗く重い過去から抜け出し、前に進んでくれているのだとしたら。
ストーリーは、今の友彦が乙太郎さんの葬儀に向かうために家を出るところから始まり、
16年前の過去を振り返るような形になっている。
少し大人になり、昔はわからなかったことも理解できるようになってきた友彦。
旅の中で思い出す過去は、今も重く冷たいものなのかもしれないけど、
これからは少し違ってくるのかもしれない、と思えるラストに少しほっとしたような。
『星の王子さま』が時々出てくるのだけど、
子供の頃読んだきりで、内容もうろ覚え…
図書館にでも行って、ちょっと読んでみようかなぁ。
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