『ありがち日記』

道尾秀介『スタフ staph』

ストーリー:
移動デリを営み、ワゴン車で日々料理を売っている掛川夏都。若い女と不倫した夫を叩き出し、今は海外で働く姉の息子・智弥と共同生活をおくっている。 ある日、いつものように駐車場の片隅で営業していると、スーツ姿の男性に「保健所のほうから来ました」と声をかけられた。衛生状態を調べる、とワゴンに乗り込んだ男は、夏都を脅してそのまま車を走らせる。「これはもしかして、誘拐?」ようやく慌てはじめる夏都だったが、行きついたマンションの一室で待っていたのは――?
ページをめくりはじめたら途中でやめられない、ノンストップミステリー長篇!
 

移動デリを営む夏都が、ある日営業用のワゴンとともに誘拐され、カグヤという少女(芸能人)とそのファンである仲間たち、甥の智弥、智弥の塾で数学を教える菅沼などを巻き込みながら、芸能界の闇に立ち向かうドタバタ劇…

最初はそんな感じで読み始めましたが、それは一つの側面に過ぎず、実はもっと深いところで別の思惑があって…というお話。どっちかっていうとエンタメ性の強いストーリーなので、スラスラと読み進めることができました。終盤はちょっと重いところもありましたが…

そんで、道尾さんの作品だし、すんなりとは終わらないだろうと思っていましたが、やっぱりどんでん返しが待っていました。それも一つではなく。

中学生のカグヤと智弥は、一見して大人びているけれども実は年齢相応で子供なんだと思わされます。寂しさをうまく表現できず、強い自分を演じて心にがっちりと鎧を纏っているよう。夏都や菅沼も過去の経験から闇を抱えながら生きているということがわかり、だからこそカグヤと智弥の気持ちが少なからず想像できたのかなぁと。すでに起こってしまったことを覆すことはできないのだけれど、中学生の2人には、まだ心の闇が大きく育ってしまう前に何とかできるチャンスが残されているはず。

カグヤの仲間として集められた、オブ、オブラージ、タカミー、プーの4人については、その後どうなったのかしら。彼らは社会に適応できないところがあって、でもカグヤのため一つの目的に向かって行動することで、何か得られたものはあったんだろうか…と。個性的な面々で好きだったんだけどなぁ。

何気に夏都と菅沼の今後も気になります(笑)

タイトルの「スタフ」の意味は、読み終わってから調べました。そういうことかー!本編ともちゃんと関係した意味を持っていたんですね。個人的には読後に意味を知ったほうが良い気がします。

映像化できそうな作品です。カグヤと智弥のキャスティングは難しそうだけどね。

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