レコードの方がCDやハイレゾ音源より音が良いのはなぜか?
たくさんの人がいろいろなところで語っている議題。
まあ要約すると、
「デジタル音源の方がほとんどの数値的スペックで上をいっているのは事実だが、スペック上で唯一CDが欠けている20kHz以上の音がレコードには入っているから」
といった論調がメインストリームだ。
20kHz以上の音って、ほとんどの人間には聴こえないからCDではカットされているのだけれど、
「倍音が音質に影響を与えている」
などと最もらしい論理を展開して誤魔化すわけだ。
百歩譲ってその要因が多少の影響を与えているとしても、本当の理由、主たる要因は、
「心理的効果」
に集約されると思っている。
<レコード盤の心理的効果>
・サウンドにノイズや回転ムラなどか発生しているので、「昔らしさ」が漂ってきて「郷愁」という人間心理を刺激する
・ゆっくりと回転するレコード盤が視覚的に快適であり、視覚が聴覚を補強している
・みなが聴いているCDやサブスクではないメディアを聴いているという優越感
・くっきりパッキリしたデジタル・サウンドではなく、どこか「ゆるさと繊細さ」を感じさせるアナログ・サウンドの方が人の耳には快適に感じる
まあ、こんなところだろうか…
じつは、人にとって「ゆるさと繊細さ」って、あらゆるシーンで重要な要素になっているのではないだろうか?
僕がMMカートリッジは一切使わずMCカートリッジ一辺倒なのも、そこが関係している気がしている。
そして、DENON DL-103ばかりを愛用し続けているのも、そこに原因を見出せる気がしている。
DL-103Rという改良版の方がはるかに高音が伸びていて、音質は明瞭だ。
もっといえば、Phasemation PP-200であれば、さらに明瞭かつ繊細だ。
PP-200を聴いた後すぐにDL-103に交換すると、音がこもって聴こえるというのが実際のところ。
それでもDL-103ばかりを愛用するのは、結局は心理的要因。
つまりは、「ゆるさと繊細さ」「郷愁」に起因しているのだと思う。
この法則をハイファイ・オーディオに適用すると、「明瞭な高音」「パワー感のある低音」ばかりを追求していると、本来目指すべき「心地よいサウンド」を見失ってしまうということになるだろうか。
「ハイレゾ音源を明瞭に鳴らす」なんて方向性に固執してしまうと、結局は「心地よいサウンド」からははるかに遠いところに向かってしまうのだ。
音楽は感性に訴えかける芸術。
スペックや絶対的性能ではなく、感性に従って音を聴くことが正解。