Prime Videoで、アニメ版を全部見た。
はい、おすすめアニメです。面白かった!!
その前提で、本音を書いておきます。
前の記事で書いたように、原作漫画には「絵を描きたい」という原作者の想いが先にあって、人物の内面描写を重視する姿勢は感じられません。
残念ながら、アニメ版でもその欠点は引きづられてしまっている。
登場人物に「人間味」が全くないのです。
いやいや、みんな優しくて人間味溢れるじゃん!
て、声が聞こえてきます。
いやいや、優しくていい人すぎるのが人間味の無さなんですよ。
最近の漫画・アニメ・ドラマはほとんどそうなんだけど、徹頭徹尾憎たらしいキャラが出てこない。
現実世界ってドロドロ醜いものだから、いい人しか出てこない作品てのはリアリティなくて、人間臭さがないのです。
そんな中で、この作品にリアリティと危機感を演出してくれているのが、
イサキさんの心臓病設定と、ガンタくんの母親に捨てられた設定です。
特に、イサキさんには何度も死亡フラグが立てられていて、その儚さが作品に重みとリアリティを与えています。
でも、心臓病と幼少期の離婚トラウマって、あまりにベタすぎる設定ですよね。
まあ、それでも惹きつけられて観てしまうわけですから決してハズしてはいないのですが、「不眠症」という珍しい設定を軸に始まったストーリーとしては物足りなさもあります。
で、アニメ版は、そんな2人が撮影合宿を終えるシーンで完結します。
青春の甘酸っぱさを湛えたまま終わり、実に素晴らしいエンディングだと思いました。
となると、続きが気になるのが普通。
しかし、原作者の漫画にはあまり私の適性が合っていないので、ネットでネタバレ読んで面白そうならばと検索。
何度も死亡フラグ立っているイサキさんが亡くなってしまうのか、無事にハッピーエンドを迎えるのかが気になったからです。
で、亡くなるのであれば漫画を全巻揃えようと思ったし、ハッピーエンドならばこのままアニメ版で満足して撤収しようと決めてました。
だって、このアニメの面白さの根幹って、イサキさんの儚さにあるわけです。
残酷なようですが、こんだけ伏線を張ったら「死亡で回収」されるところで涙したいわけです。
私の中では勝手に、天文部が盛り上がっていって仲間を巻き込みながら、星空観察会のクライマックスでイサキさんが亡くなることを夢想していました。
彼女なら、致命的なまでに悪化している病状を隠して最後まで普通に笑い続けてくれているだろうという期待。
が、ネタバレを読んで分かったのは、ストーリーや人物描写に深みを与えられない原作者の欠点を最大限に発揮し、ラストがハッキリと描かれていないということ。
いわゆる、「読者の想像にお任せします」コースらしい。
はい、駄作認定です。これだけは、やっちゃいけないのです。
編集者に恵まれなかったのか、原作者の限界なのか…
庵野秀明監督も、あれだけ理解できないエヴァンゲリヲンを永年作り続けてきましたが、
最後には猛反省するかのように単純明快でありきたりなハッピーエンドを描きました。それまでに何百人の「碇シンジ」が犠牲になったのかは知りませんが…
でも、ちゃんと完結したからこそエヴァは傑作として残ることになったと思うのです。
最後に、主人公のガンタは「丸太」と書くのですが、ここも作者の知性に???を抱いてしまうところです。
「丸太」は「マルタ」、つまりは大東亜戦争中の731部隊の人体実験材料とされた中国人犠牲者を直接的に連想させてしまいます。
そんなことにも配慮できないのは、編集者にも問題大きいとは思います。
とかなんとか、こんなに長文を連ねてしまうのは、「この作品には力があって面白かった」というのが間違のない事実だからです。
ようは、惜しい! 惜しすぎる!!
原作改編が悪として叩かれている昨今のニュースがありますが、この設定とストーリーの基盤をいただいて、まるっと書き換えたい気分なのです!
失礼いたしました。