著者は昭和4年の木場生まれ。戦前の木場を限りない愛情を持って描いています。三月十日の大空襲についてもページを割いています。前半の部分が戦前の木場の楽しい子供時代の話だけに、三月十日後の喪失感が相当ものだったと思われます。ただ、著者の明るい性格のお陰か、全体として読み心地は良かったです。何故このような市民の犠牲がありながらも広島長崎を食い止められなかったのか、残念でなりません。