日経新聞 (04/12)記事「レクサス農機は必要か」より
自民党農林部会会長小泉進次朗の突然の発言が場の空気を変えた。「農協別の農薬の価格差を調べた。これから公表したい」農林族からの待ったがかかったが、小泉は聞き入れなかった。青森1621円、山形861円・・・同じ殺虫剤でも農協別の価格差は最大2倍ある。-中略-
TPP大筋合意を受け「攻めの農林水産業に転換するために体質強化など万全の措置を講じる」。首相安部晋三は7日に審議入りしたTPP特別委員会で訴えた。だが補助金漬けの高コスト体質を変えなければ、多額のTPP対策費はムダになりかねない。
「(TPP)補助金があるから700万円でなく1000万円のトラクターを買いましょう」。千葉県の農家は昨年、新しい農機具を購入時に農機メーカーの営業マンから提案された。年に3~4カ月しか使わなくてもエアコンやステレオが付き「レクサス農機」いわれることもある。-中略-
同じくTPP対策費、自動搾乳マシンなどのリース料を補助する予算が前年度補正に比べ3倍の610億円がついた。-中略-自動搾乳マシンの価格はなぜか各メーカー横並びの1台2500万円だ。「農業協同組合(JA)とメーカーが結託し、補助金にぶらさがる構図が農業の競争力を奪ってきた」。小泉は訴える。-中略-
農林水産省によると、コメ60キログラムを生産する費用は韓国が8500円、日本は1万5000円。内訳は農機具が韓国の5倍、肥料は2倍、農薬は3倍だ。小泉は明るみに出てこなかった「不当な価格や取引」の実態を公表。資材調達での自由競争を促そうともくろむ。
JAの反発は強い。「農機や肥料を仕入れて農家に売る事業はもうかっていない」JA全農常務理事の山崎周二は15年3月期の事業収益は5兆円だが事業損益は約36億円の赤字と決算書を示し抗議した。巨額のTPP対策費をあてこみ「当選後は必ず予算を獲得します」と先祖返りする動きもある。-中略-
1993年の多角的貿易交渉「ウルグアイラウンド」合意に伴う農業対策費の再来だ。当事の農林族が勝ち取った対策費は6兆円。「使い道がわからず多くを土地改良に回した」。当事の農林族で元農相の谷津義男は語る。
-中略-ウルグアイ・ラウンド合意から23年。政府は71兆円の予算をつぎ込んだが農業生産額は年11兆円から8兆円に減った。自民党は自ら票田に痛みを迫り、いつか来た道を避けられるか。課題を検証していく。
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