カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

Devil's Cups by Gabriel Werlen, Marchand de Trucs & Mindbox

2024-08-16 20:53:00 | カップ&ボール以外

 久々のカップ&ボール以外のマジックの紹介です。「デビルズ・カップ」というタイトルのマジックでやはり「カップ」に惹かれて購入しました(笑)。まだ2人しか演じていませんが思ったより良い反応が得られたので紹介することにしました。

まずはPVです。


魅力的なPVですね…。しかし、購入された方は同意見だと思いますが、これはちょっと誤解を与えるのでは…というPVです。その点やはりGINさんはしっかりしています。誤解しないようにと但し書きがされています。

Devil's Cups (悪魔的ダイス探知) by Gabriel Werlen, Marchand de Trucs & Mindbox ※日本語解説書付き-マジックショップGIN

仕掛けのないダイスの位置や色を完全透視!!日本語解説を書きがら、何度も「おお〜、賢い。。。」と唸った作品です。手順は5つ解説されており、それぞれ使うカ...

マジックショップGIN

 

はい、観客が自由に混ぜるのは、演者の指示通りに混ぜた「後」なんですね。この点に全く触れずに販売しているお店は、少しどうかな…と思います。さらに完全にはわからない(手順もある)…。まあ、それでも十分不思議なのですが...

こちらの実演映像が解説書通りの演技です。この演技は解説されている5つの手順の中の1つで最後に解説されている「THE 4 DEVIL'S CUPS」という手順で、「DEVIL'S CUPS」の名前が唯一入っている本命手順だと思われます。


 付属するのは、4つの金属製カップと3色のダイス。それからビデオにも出ている円筒のケースです。あとは解説映像ですね。GINさんでは日本語訳を付けてますし、FUNMAGICさんでは日本語の補助原稿といくつかの手順に関する日本語字幕映像を付けてますので、ありがたいと思います。この手のマジックは全く音声無しでは理解は難しいので私のように英語が得意で無い方は日本語サービスのあるお店で購入されるのが無難だと思います。

 金属製カップは飾りもなく、こういうメンタルマジックには合ってると思いました。また大きさも小さめで4つ並べたり、観客が混ぜたりするのにもよい大きさだと思います。どこまで書いてよいか難しいところなのですが、このマジックはある原理とこのカップが必要です。ただし、3つのカップを使った手順ではカップの特徴は使いませんですので、家にあるカップを使って演じることができます。4つのカップを使った手順ではこのカップに仕込まれた特徴を使いますが、これも自分が用意した例えば紙コップ4つに対しても仕込むことで代用できます。個人的には割と応用が効くマジックだと思います。ただ、この手のマジックは評価が割れることも多いのであくまで個人的な意見だとご理解ください。

 ダイスは赤、青、白の3色で、メンタル・ダイスのダイスと同じ色です。ただし、サイズは少し小さく、すり替えには使えるか微妙ですが(多分大きさが違うことに気付く人はあまりいないと思います)、逆にこちら側としては、混ぜても区別が付きますので一緒に持ち運び、すぐに分けることができるのはありがたいです。

 ケースもコンパクトに持ち運びできるサイズで、他のマジック用小物を持ち運ぶのにも使えるかもしれない、いい感じのケースです。

 基本手順は3つのカップを使う手順です。私も今のところ解説されてる手順通りの演技をしていますが、ちょこっと最後に効果を付け加えて以下のような手順を演じてます。

1.3つのカップの上に1~3のダイスを乗せ、演者は後ろ向きになる。好きなカップの下に紙ボールを入れてもらう。演者の言うように動かし、最後にダイスを取り除いてもらう。演者は後ろ向きの状態から戻りどこに入っているかを当てる。

2.続いて、同じようにしてもらうが、演者の言うように動かしてもらったあと、次にどれを動かすかを観客自身が決めて動かす(宣言してもらう)。演者はどこに入ってるか当てる。

3.続いて、1.と同じような感じで動かしてもらうが、最後に混ざっているダイスを1~3に並べ直してもらう。演者はどこに入っているか当てる。さらに紙ボールを開けると上に乗っているダイスの数と一致する。

4.さらに難しくすると言って、もう一つカップを増やし4つにする。3色のダイスのうち1色を選んでもらう。使わないダイスの上に被せものをして見えなくして、好きな色のダイスを好きな数字を上にして、好きなカップの下に入れてもらう。上記動画のように混ぜてもらう。演者はダイス入れの箱とダイス1個だけ入る入れ物をもって振り返り、机に置いておく。どこに入っているかを当てる。1つだけダイスが入っている箱の蓋を開けると、同じ色のさいころが、しかも同じ数字が上に入っている。さらに、もう一つの箱を開け、使わなかった色のさいころを示す。観客に自分のさいころを見てもらうと、こちらも上の数字が一致している

 はい、4.はデビル・カップだけではなくメンタル・ダイスを使っています(笑)。ちょっと「くどい」かなと思いますので、これから演じていきながら、贅肉をとっていこうかなと思います。

 正直なところ、この手のマジックは、演者の指示に従って動かすので「わかるように動かすんでしょ」と思ってしまい、不思議度合いが下がるというか、不思議でも少し冷めてしまうと思ってました(今でも思ってます(笑))。でも、実際演じてみると、不思議がってもらえました(笑)。まだ2人しか演じていませんが、両者から「1.」でダイスを乗せて混ぜてもらった後「どう混ぜたかわかるじゃん!」と言われて、最後にダイスを取り除いてもらうと「じゃあわからないかも」となりました。そして、「2.」で自分自身でどう混ぜるか決めるので、さらに不可能性が上がったように感じて、「3.」では予言になっているので、そちらに驚きが行きます。最後「4.」で最後好きに混ぜているのになぜわかる?でも、やはり最初の演者の指示がなんかあるんだよね…と思われても、色と数字が当たるところは完全に手掛かりがないので驚く、という感じでした。



 このようにコップなどで、隠して、混ぜてもらい、どこに入っているのか当てるというマジックはかなり古くから恐らくたくさんあると思います。私がこの手のマジックをはじめて知ったのは、松田道弘氏のクロースアップ・マジック事典(素晴らしい本です)に乗っていた「コーヒーカップを使った当てもの」でした。紙コップなどを使って即席でもできますので、キャンプやパーティーなどで紙コップとペーパナプキンなどを使ってできるところがいいところだと思います。ですが、やはり演者の指示どおり動かすというところが気になります(;^ω^)。

クロースアップ・マジック事典 - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業135年―

クロースアップ・マジックとは,タバコ・コップ・輪ゴムなどのありふれた材料を使って観客の目の前で行う奇術。本書は優れたト… 松田道弘 著

 




 完全に自由に混ぜることができるにはやはり、ギミックが必要で、有名なのは、テンヨーのラッキー・ラビットでは無いでしょうか。1999年の作品で、今は製造されていません。カタログには100年前からある方法だがこの商品は改めが可能という表現が使われているので、かなり昔からあるマジック(原理)なんですね。昔持ってましたが手放してしまいました…。いい説明サイトを見つけることができませんでしたが、動画は見つけることができましたので示します。



 ジャンルとして近いように思えるマジックとして、2003年のテンヨーのプラスワンキャンペーンのマジック「闇夜のポーカーチップ」があります(全然違うと言われそう(;^ω^))。3つのチップを演者の指示に従い、ただしある程度自由度を持って動かします。演者は後ろ手で受け取ったチップを受け取り、そのチップが何かだけでなく、観客の右手と左手のチップも当ててしまいます。さらに書かれている絵に沿った演出もある、名作です。ただ、少しストレスなところがあるんですよね(笑)。そこで、私が気に入っているのが、東京ディズニーランドで購入したピンバッチバージョンです。有名な「Hey presto!」でも取り上げられていましたのでページを示します。

闇夜のポーカーチップ

今回は、2003年のプラスワンキャンペーンのマジック「闇夜のポーカーチップ」を紹介します。考案は鈴木徹氏。(現象)キャンドル、マッチ、マッチ箱のイラストが描かれた3枚...

 

このディズニーランドバージョンはピンバッチに仕掛けがあり、どれをもったか後ろ手でもわかるようになっています。それを体験した時すご~いと思いました。Tokyo Deisneylandのロゴも入ってますし、仕掛けなさそうでいいです!ただ、ピンバッチの針のところが邪魔なので、とってしまおうか迷ってます。そういえば、以前トリックスさんだったかな。3色のコアラのキーホルダーで同様のマジックがありました。どんな原理だったか忘れてしまいましたが(^◇^;)



 なんて書いていたら、今年(2024)のプラスワンキャンペーンのスペシャルマジックはMENTAL CATSだそうで、これも演者が後ろを向いている間に選んだ猫を当てるマジックだそうな…。今3枚のウサギを送って到着を待っている段階です。届くのが楽しみです(^_^)。

これも、JPMAGICさんの「Hey presto!」で紹介されていたので、引用させて頂きます。

MENTAL CATS メンタルキャッツ スペシャルマジック2024

今年も「プラスワンキャンペーン」のスペシャルマジックが届きました。これは、テンヨ...

 

 多分、同様のマジックはいっぱいあると思うのですが、これは傑作!!というのがあれば教えて頂ければと思いますm(_ _)m。だいぶデビルズ・カップから離れてしまいました(笑)


ジガーカップを用いたカップ&ボール

2024-08-12 20:47:00 | カップアンドボール

 ご存知の方も多いかと思いますジガ―(jigger)とはお酒の液量を表す「単位」だそうです。「1ジガ―」は1.5オンスで約45ミリリットルが規定値ですが、イギリスでは1ジガーは2オンスとされているそうです。国によって違う単位って、単位の意味が無い気がしますが(;^ω^)。他にもウィスキーの量を表す単位(用語)として、「シングル」「ダブル」というのがあり、「シングル」1ジガ―(1.5オンス)はシングルとダブルの中間くらいの量になります。このジガ―を計測する容器として「ジガーカップ」があります。容量の異なるカップが上下の対になっているものが基本で、一般的なサイズとしては30ミリリットルと45ミリリットルだそうですが、15/30の組み合わせや30/50の組み合わせのものなども販売されています。今回はこのジガーカップを使ったカップ&ボールについて、いくつか紹介します。

<Jiggernaut by Mark Jenest>

 たしか、20年くらい前に、Mark Jenest氏の「Miracles While-U-Wait」というDVDが販売されました。このDVDの中に、このジガーカップを使ったカップ&ボール(と言っていいのか少し微妙ですが)の手順である「Jiggernaut」の実演・解説がありました。私がジガーカップを使った手順を見たのはこれがはじめてでした。氏は80年代からこの手順を行っていたという記述(か誰かの話)を聞いたことがあります(違ってたらご指摘お願いします)。もっとも古くジガーカップを使った手順を始めたマジシャンかもしれません。

 このDVDは現在もダウンロード版が販売されています。求めるものが何かによって感想が変わると思いますが、実用的な手順が入っている良いDVDだと思います。

Mark Jenest

You know Mark Jenest from his national television appearances and best selling magic products. Now, Mark performs and teaches his innovative routines in his firs...

Penguin Magic

 

 このDVDのJiggernautの演技です


この手順は、必要なものを含め、商品として販売されていました。私が持っているのは当時Hank Leeで購入したものです。久々に検索してみますと、現在もMagicSmithで販売されていました。ちなみにDVDの中で、この手順(商品?)の名前を「Jiggernaut」と命名したのはMagicSmithのChris Smith氏だとMark Jenest氏は話しています。私の購入した商品では紙に書かれた解説書のみでしたが、現在、MagicSmithで販売されている商品はオンラインビデオ付きのようです。

Jiggernaut by Mark Jenest

Step up to the bar, sit down and be prepared to be knocked off your seat! Mark Jenest has created an intoxicating, inebriating, innovative cup & ball rou...

MagicSmith

 

商品説明にありますが、セットとしては(本物の)ジガ―カップと偽物のオリーブ、ファイナルロード用のコルクが2つ入っています。ジガ―カップはギミックではないので、DVDで手順を知っている人にとっては道具を揃えるのは、偽オリーブ以外は難しく無いと思います(偽オリーブも普通のボールでも良いと思います)。お酒の場で演じると、より雰囲気のあるマジックになるのではないでしょうか。

 Brain Watoson氏のカップ&ボールを紹介しているページにもありましたので示します。

Cups and balls | Cups and balls magic - Jiggernaut

<JIGGERNAUT by DAN FLESHMAN>

 次に紹介するのは、DAN FLESHMAN氏が自分のwebサイトのお店で販売しているセットです。商品名がJIGGERNAUTであり、Mark Jenest氏の名前も説明に出てきているので、権利を得て販売していると思われます。道具のセット内容は同じ(カップ、コルク、オリーブそれぞれ微妙に違うと思います)ですが、こちらはDAN FLESHMAN氏の解説が付きます。下記で紹介するMark Jenest氏のとは少し違う手順が付くのではないかと思われます。商品ページを示します。なお、この商品は残念ですが、日本からは購入することができません…

JIGGERNAUT-Includes DVD with Dan’s Routine/Jigger, Olives & Corks – Dan Fleshman

恐らくここで解説されているだろうと思わる氏の手順の映像は見つけることができました。テレビ番組の一部でしょうか…


こちらは、マジックキャッスルでの実演映像です。14分50秒くらいから、ジガーカップの手順をしています。先程のテレビ番組と同じ手順ですので氏の手順として商品に付属している可能性は高いと思います。


流石DAN FLESHMAN氏ですね。複雑なことをせず、すっきりした手順だと思います。最後にコルク2つの出現に加えライム(?)を出現させています。完全に入らない大きさなのでインパクトは大きいでしょう(笑)

<That’s Nuts! by Danny Archer>

 Danny Archer氏のジガーカップを使ったカップ&ボールバージョンです。まず動画を示します。


この手順は氏のレクチャーライブ((Penguin LIVE)にも収録されています。

Danny Archer LIVE (Instant Download)

SPECIAL OFFER: Order Danny Archer LIVE TODAY and instantly download Danny

Penguin Magic

 

特徴的なのは、オリーブではなくチェリーを使っており、最後にコルクではなくピーナッツが出てくるというところでしょうか…。氏はマジックカフェで家族向けにするためにこのようにしたと書いています。また、恐らく今は既にやってないと思いますが、このマジックカフェの投稿当時(2009年)は個別で手順付きセットを販売してたようですね。

<THE JIGGER by Michael Kaminskas>

 これまでも何度か紹介してきたMichael Kaminskas氏が今年(2024年)に「THE JIGGER」という商品を限定品としてリリースしました。100個の限定品で既に完売しています。

THE JIGGER | mkprofessionalcups

For years people have been asking me to make a chopped version of a jigger. I

mkprofessionalcups

 

氏はこれまで、氏のサイトで、Jeff Case氏のジガーカップの手順と必要な道具をセットにした「Lemon Drop」という商品を販売していました。私はこの商品を購入しておりませんので、手順はわかりませんが、ギミックでないジガーカップを使った手順でPVをみるとDAN FLESHMAN氏と同じように最後にレモンが出てくる手順のようです。是非フル手順を見てみたいですね。再版されたら狙います(笑)

PVです。


一方で、今年発売された「THE JIGGER」はこれまでにない、Chop Cupタイプのジガーカップなのです!なるほど!これはさらに演技をより不思議にできそうな気がします。この商品には基本的な使い方やアイディアが説明された動画が付きますが、完全な手順等のは付きません、あくまでカップ(とオリーブ)の提供ということになります。とはいえ、基本的な扱いや、最後に液体を出すためのアイディアなどありがたい動画です。

 Michael Kaminskas氏はカップにせよウォンドにせよかなり品質に拘った方なので今回の商品もよくできています。日本製のジガ―を使ってくれているのもちょっとうれしいですよね。

 というわけで、今回はジガーカップを使ったカップ&ボールの商品を紹介しました。ジガーカップを使った手順は、スタイルとしてはいわゆるワンカップルティーンになりますが、ジガーカップの構造上、2つのカップが使えます。ですので、通常のカップで行うワンカップルティーンに比べ現象にバラエティを持たせることができるメリットがあります。さらに「THE JIGGER」のようにChop Cup機能を持たせることで現象の幅を増やすことができます。反対側へのロードが自然な形でできるのもよいと思います。また、カップの形状、サイズがコンパクトなのでポケットに入れて持ち運ぶことが楽で、営業などでテーブルを回るマジシャンにはありがたいのではないでしょうか。さらに、道具がジガーカップ、オリーブ、コルクと統一されており、お酒を飲む場などでは特にお洒落な気がします。以前紹介した、「スーパーシェイカー」や「Cocktail Surprise」と合わせて手順を作れるとさらに素敵な気がします(くどいですかね(笑))。バーマジシャンなどにはとても相性がいいと思いますが実際のところやってらっしゃるバーマジシャンの方とかいらっしゃいますか?(^O^)







Cups & Balls / Chop Cup Combination (SMALL / COPPER) by Morrissey

2024-07-05 15:01:00 | カップアンドボール

 Morrissey社製の銅製コンボカップです。

 Morrissey社はHerb Morrissey氏が1959年に氏のカップ、「Morrissey Cups」を作るためにカナダで設立したメーカーで、1964年、カナダのモントリオールのブルーリー通りにマジックショップをオープンしました。そして、1978年に、トロントに 2 つ目のマジック ショップもオープンしました。その後、モントリオールのお店を閉鎖し、2013年にトロントのお店も終了し、54年間のマジック用品製造・販売に終止符を打ちました。

 製造したマジック商品の種類は最終的には多くありましたが、カップ1種類から始めたところが素敵ですね(笑)。そして、そのカップは、お値段以上の価値を認められ、世界の多くの国で販売されることになりました。後に出たポケットサイズのチョップカップも世界的ヒット商品だと思います。

 Morrissey社といえば、以前、Morrissey社製のヒンズーカップを紹介しました。

DPグループのヒンズーカップ(モリッセイ製) - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

ヒンズーカップが続きましたので、ついでにもう1つ紹介します。先に紹介した2つのカップは現在国内での購入は難しいですが、こちらは現在国内で購入できる商品です。真鍮製...

goo blog

 

 このヒンズーカップはDPグループさんから販売されていましたが、今回紹介する銅製のコンボカップもDPグループで販売されていたものです。このカップは先日メルカリで購入しましたが、実は私が90年代アマ―氏のビデオを見てカップ&ボールを行いたくなり、最初に買ったのがこのカップでした(コンボではなかったような気がしますが…)。当時はまだ今ほどインターネットでの買い物が簡単にできなかった時代でしたし、国内のお店でカップ&ボール用の銅製カップなどどこで販売されているかわからない中、DPグループさんのカタログで見つけて、手が届くお値段だったので購入しました。写真にあるようにカップ内にカナダを象徴するシールが貼ってあったのが印象的でした。

 いつまでDPグループさんがこのカップを輸入されていたのかは不明ですが、今では、もちろん販売しておらず(Morrissey社が無くなってますしね…)以前紹介したPMカップ&ボールなど、オリジナル商品を販売されています。

PM カップ&ボール(銅) by DPグループ - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

ディーピーグループから販売されている銅製のカップです。日本のマジックメーカーで金属カップを量産しているのはこのDPグループさんのみではないでしょうか…。PMカップ&ボ...

goo blog

 

 Morrissey社製の商品は今ではなかなか入手できないのですが、Magic Supremeという会社がMorrisseyの製品をいくつか保有しており現在でも販売しているようです(ただし私は利用したことがないので信頼性に関しては保証できいませんが…)。

The Morrissey Collection Archives - Magic Supreme

Morrissey Magic of Canada - the last stocks of original products.

Magic Supreme

 

 このサイトを見つけて、はじめてMorrisseyカップは2サイズあり、私が持っているのはSMALLの方であると知りました。カップのページです。

Cups & Balls / Chop Cup Combination (SMALL / COPPER) - Morrissey - Magic Supreme

Slightly smaller than the original cups and balls by Morrissey magic, this copper finished combo set will look great in anyone's magic kit.

Magic Supreme

 

 このページにわかり易いサイズ付きのカップの絵があります。この絵にあるように、Morrissey Cup(SMALL)は口径(外径)が67mm、高さが70mmのシングルショルダービードを有するカップです。ポールフォックスに比べると口径に対してのサドルが大きいため、丸みの感じか少ない形です。口径が少し小さいせいか、Morrissey Cupは小さく、技法を行うのに扱いやすいという声もありますが、口径は小さいですが高さはポールフォックスとほぼ変わりません。最適なファイナルロード用のボールの径は55㎜~57㎜くらいで、Leo Smetsers氏のLeather Final Load BallやMike RogersのBaseballsあたりがよさげです。サドルの深さであるDIMPLEがあまりないのでサドルに乗せたボールの安定性は少し今一かなと思います。

 重さは通常カップが約70g、チョップカップが約120gとかなり差があり、持つとわかります(;^ω^)。観客にどういう形で改めを行うかに寄りますが、そういう気で調べない限りわかることは無いと思います。逆に演者にとっては、どれがチョップか持ったらわかるので混乱しにくいというメリットもあります。

 この前、フランク・ガルシア氏の記事の時に少し書きましたが、Morrisseyのカップには「Morrissey Mini Short Skirt Cups」というカップがあり、今回紹介のものよりサドルが小さくSkirtが短いタイプです。ちょっと珍しいカップで、先日e-Bayに出てましたが、あまり見かけないカップです。フランクガルシア氏がビデオでエレベータームーブを実演・解説するのに使っています。

フランク・ガルシア(Frank Garcia) - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

今回は「100万ドルの手をもつ男(TheManWithTheMillionDollarHands.)」がうたい文句のアメリカのマジシャン、フランク・ガルシア(FrankGarcia)の紹介です。プロマジシャ...

goo blog

 

 さらに、このカップは、Al Schneider氏も使っています。氏がこのカップを使っている実演映像を貼っておきます。手が大きいのでとても小さいカップに見えますよね(;^ω^)。Al Schneider氏についても将来記事がかけたらなと考えています。


という事で、カナダのMorrissey社製カップの紹介でした。




















MCスーパーカップ by みかめくらふと

2024-06-15 20:29:00 | チョップカップ(chop cup)

 今回は、みかめくらふと(Mikame Craft ミカメクラフト)の「MC スーパーカップ(MC Super Cup)」の紹介です。これまで、いくつかのみかめくらふと製カップを紹介してきました。木製の3カップ(コンボ)、ステンレスの3カップ、木製のチョップカップ、木製のヒンズーカップ…そして、これが種類としては最後になるのでは無いかと思っているカップで、ステンレスのチョップカップです。ただし、商品名が「チョップカップ」ではなく、「スーパーカップ」となっているように、ただの「チョップカップ」ではない。ということです。驚くべきシステムが内蔵されたカップです。

商品ページです。

MCスーパーカップ | みかめくらふと(ミカメクラフト) プロも愛用の木製手品・マジック用品 powered by BASE

これは従来のチョップカップと思わないでください。 パフォーマンスの前後や途中で手渡してもその秘密は分かりません。 もちろん、ボールもカップも渡すことが出来ます。 チ...

みかめくらふと(ミカメクラフト) プロも愛用の木製手品・マジック用品

 

ここには以下のように書かれています。

「これは従来のチョップカップと思わないでください。 パフォーマンスの前後や途中で手渡してもその秘密は分かりません。 もちろん、ボールもカップも渡すことが出来ます。・・・ このスーパーカップは例えチョップカップの原理を分かる方に渡しても絶対に分からないでしょう。 チョップカップ本来の手順は全て演技可能です。 従来のカップでは出来ないパフォーマンスも可能になりました。 更にこのスーパーカップ、何とコインマジックまでもこなしてしまいます。」

そして、みかめさんが演じるコインマジックとカップとボールが以下の動画です。



どうでしょう?不思議ですよね?コインマジックはわかりそうですが、カップの方はちょっとわからないのではないでしょうか…

インティキマジシャンてるした氏の商品紹介動画も示します。



 下記のページやペンギンマジックのページによると、この商品は1999年にラスベガスで行われたコンベンションで発表(販売)されたようです。そして、購入した人に初めの2日間はメカニズムを秘密にするように頼み、購入者はそれを実行しました。その結果、多くのディーラーやプロのマジシャンも、偉大なマジックの頭脳たちが集まってもわかりませんでした、とありますので反響も大きかったのではないでしょうか…

MC Super Cup by Mikame Craft

 このように、とても不思議で、その発想には脱帽の商品ではあるのですが、少しだけネガティブなことを書かせて頂きますと、上記動画でてるした氏が述べているように通常のチョップカップに比べるとストレスがかかります。氏はコインマジックの方がいい感じと仰ってるくらいです。確かにこの商品は「手渡し可能」「ボールをカップに出し入れできる」「原理がわからない」といった非常に大きなメリットがあります。マジシャンが見たら驚くでしょう。しかし、チョップカップを知らない観客にとっては不思議のメインとなる現象は、ほぼ同じですし、演者にとっては、動きなどの制限がありストレスが発生します…というわけで、チョップカップが世に急速に広まったように、このギミックが通常のチョップカップにとって変わることは難しいかと思います…。

 実はこの商品はときどきオークションなどでみかけてはいたものの、購入を見送ってきました。もちろん、お値段が高いというのもありますが、カップの形が少し特殊だったことや革のチョップカップが自分は好みでしたのであまり興味を持てませんでした。しかし先日ご縁があり、中古を購入させて頂いたのですが、そのギミックを知り、想像以上のギミックにかなり感心しました。そして「じゃあ、あんなことや、こんなことはできないだろうか…」といろいろ想像して楽しむことができました。もともとギミックが入る余地が少ないカップ&ボールのテーマで「そうきたか!」と思える非常に貴重なカップだと思います。

 ところで、解説書の終わりには、下の写真のように書かれています。みかめさん自体かなりの自信作であることがわかります。そして、さらにその下に書かれているのは、純銀製のMCスーパーカップの予約申し込み受付の案内です!高級木箱に入った純銀製のMCカップ、販売価格、販売時期は共に「未定」!さて、本当に販売されたのでしょうか…お持ちの方いらっしゃいましたら情報頂けると幸いです。

















ゆうきとも(プアマンズ・カップ&ボール→ツートーン・カップ)

2024-06-09 23:29:00 | マジシャン別

 今回は、ゆうきともさん(特に知り合いでもないのになれなれしく「さん付け」ですいませんm(_ _)m)の紹介です。ゆうきともさんのカップ&ボールといえば「紙コップ」のイメージが強く、もちろん通常のカップを使った手順もされておりますが、全てを紹介していると書ききれないので、代表作として、紙コップを使った大きく2手順を紹介します。個人的には「カジュアルに演じる」というゆうきさんの考え方・スタイルが紙コップを使ったカップ&ボールに非常によく表れていると思います。

 まずは、「プアマンズ・カップ&ボール」です。これは六段から成る、紙コップを使ったカップ&ボールの手順でカズ・片山氏著の「ゆうきとものクロースアップ・マジック」に解説されています。

ゆうきとものクロースアップ・マジック - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業135年―

洗練された気鋭のマジシャンゆうきとも氏の作品集を初めて一冊にまとめ,カズ・カタヤマ氏の懇切丁寧な図版と解説により初心者… カズ・カタヤマ 著

 

残念ながら、この本に付属する実演DVDにはこの手順の演技はありませんが、monthly Magic Lesson DVDで演技と解説を映像で見ることができます。

 前半2段は「monthly Magic Lesson DVD VoL5」で実演・解説がされており、


 後段は「monthly Magic Lesson DVD VoL15」で実演・解説されています。だたし、解説は後段のみです。


 時系列的には、monthly Magic Lesson DVD の方が先で、その後に本が出版されており、本には実演はこれらのDVDを参照してくださいと書かれています。というわけで、上記Vol.15の紹介映像を見て頂けるとこの「プアマンズ・カップ&ボール」が楽しめます。手順を学びたい方は本かDVDを購入してください。

 簡単に手順を追います。前段2段は紙コップ3つとボール3つを使った手順です。貫通現象と移動現象です。特徴としては、エクストラボールを必要としないので、準備が非常に容易である点があります。バーベキューやクリスマスパーティーなど紙コップが自然にある状況であれば、その場にある紙コップ3つ(ボールが必要なのでペーパーナプキンも必要ですが、お札などでも代用できます)を使って直ぐに演じることができます。もう一つの特徴としては、ぴったり重なる紙コップを使っているのでいわゆる「悟空の玉」に比べ貫通現象が非常にビジュアルになります。観客参加型になっているのも良いと思います。

 この前半はmonthly Magic LessonのNo5で解説されている(逆にNo15では解説されていませんので注意してください)ので、かなりマジック経験が浅い方向けに思えるのですが、演技力が結構必要ですので、ちょっとした動作なども含めて自然に行うには結構大変だと思います。練習あるのみですね(;^ω^)

 後半4段は、ポケットにしまったボールがカップの下に戻ってくるという現象がメインですが、後半の前半は、紙コップを1つ減らして2つで行います。カップ&ボールが3つのボールを使うのは人の目が2つであり、3つのものを追えないからという、納得してしまう理由でカップを減らし、より不可能性を上げるとともに、カップ&ボールの通常の状態を作ります。この自然な理由で自然に目的の状態に持って行く戦略が恐ろしいですよね…しかも演技を見て頂くとわかりますが、さらりと一度両手を改めています…。カードマジックでもそうですが、ゆうきともさんのさらりとした相手をだますための動きは非常に効果があります(恐ろしい…)。

 後半の後半は、さらに1つに減らして、テンポよく、コップにボールが戻ってきます。ボールがポケットにちゃんとあるというのを示しながら、起こすこの現象は、「本当と嘘」が上手く混ざっており、かなり説得性をあげています。最後は、大きなボールがでてくるので、大きなインパクトを与えますが「なぜか大きなボールが」ではなく、3つが同時に形を変えて戻ってきたという、一貫性も見事ですし、さらにそれを説明しつつのエンディングは、さすがと言わざるを得ません。

 通常カップ&ボールはファイナルロードで大きなインパクトを与え終わるということが多いです。なんでジャガイモ?(レモン?)と観客に喜んで頂けるエンディングが私も大好きなのですが、これらはびっくり箱的な驚きですよね。ゆうきさんのこのマジックのエンディングは、大きなボールが出てくるものの、それには理由があり(3つのボールが合体して戻ってくる)、さらにその後のエンディングで驚きが笑いに変わります。このエンディングは「なんで?なんで?わかんないからYoutubeで検索しよう!」という、そういう観客の対抗心的なものを消してしまい、お互いが平和に終われるすばらしエンディングではないかと思います。

 この手順の紹介の最後に、本でゆうきさんはこの手順をパトリック・ペイジ氏の手順から発想を得て組み立てた、と書かれているので、パトリック・ペイジ氏の手順映像も示します。9分17秒くらいからです。変わったカップデザインでカップ自体にも興味がでます(笑)。ゆうきさんの手順とは全然現象が異なるように見えますが…(;^ω^)


 つぎに「ツートーン・カップス」です。先の「プアマンズ・カップ&ボール」とは異なり、「色」の要素が入ってきます。「色」をつかうことで、これまでのカップ&ボールと一味違った手順となります。悟空の玉もカップの色は異なりますが、同色のカップでも現象としては同じですよね。本手順はボールも色が異なり、カップとボールのをマッチさせるということで新たな現象が生まれています。ゆうきともさんのショップで販売されています。単体で販売されていることからも、ゆうきともさんのお気に入りで完成度が高いとお考えの作品だと思います。

https://tomo-yuki.stores.jp/items/65280ccb5ab45e07fddc8074

 多くの手順が・そうかと思いますが、この手順もいきなりこの形を目指していたのでは無いのではないかと思われます。はじめは、3色のカップに3色のボールの手順をミルトン・コートの手順をアレンジすることで作成されたようです。その手順を「WISE-WORKS 5」で「カラーカップ&ボール」として発表されています。

https://ugmmagic.com/items/5e3a967a47fb447d60b8c7cc

基となったミルトン・コート(Milton Kort)の作品は「CHROMO CUPS AND BOALLS」というタイトルで、「Kort Is Now In Session」という冊子に書かれています。


この冊子には以前紹介した「Miniature Cups and Balls」も解説されています。冊子を買うこともできると思いますが、10ドルでデジタル版が購入できます。

Kort Is Now In Session by Milton Kort

One of America's finest close-up men has written a fine book on his work. Illustrated with excellent line drawings by Steranko. Makes all the tricks clear a...

Lybrary.com

 

このミルトン・コートの手順についてはいぜん、ゆうきともさんがブログで紹介しておりましたので、その記事も紹介しておきます。

ミルトンコートのカップと玉 : ゆうきともからのお知らせ 2

先日3色のカップと玉を使った手順のことをツイッターで話題にしました。 私の手順はマンスリーマジックレッスンの55号で紹介していますが、それを見た地方の友人が、原案に...

ゆうきともからのお知らせ 2

 

この手順では、ゆうきさんの手順のエンディングはミルトン・コートと同じ、全てのボールが同じ色のボールになるというものですが、少しずつ変化(進化)していきます。

 まず、「monthly Magic Lesson DVD VoL55」で「カラー・カップ&ボール」という同じタイトルで、同じく3色のカップと3色の紙コップを使った手順が解説されます。ですが、先程の手順とは少し異なります。映像です。


 前段は先に述べた「ノーエクストラのカップ&ボール」の3色版から入ります。すなわち、貫通現象です。紙コップの強味が出た手順です。続いて、ウォンド(ペン)を取り出し、今度は「ノーエクストラのカップ&ボール」とは少し違うやり方で、3つのボールが集まる現象を行います。色が異なるので、同色エクストラボールで実際やっている人が見ても不思議に見えるのではないでしょうか(笑)

 次のパートは先の手順にもあった「色」を使った最も面白い現象で、言葉では「同じ色のカップに同じ色のボールを入れます」といいつつ、異なる色のボールをカップに入れますが、おまじないをかけると同色のボールになっています。鮮やかです!つづく、エンディングが先程のWISE WORKSの手順と大きく異なります。実はカップ&ボールではなくなってしまうのです(笑)。最後はカップをしまってしまい、3ボールのトリックになります。しかし、これまで3つのボールを使っていますので全然違和感はありません。3つのボールが何度も手に戻ってきますが、最後は消えてしまうという強烈なエンディングです。カップ&ボールの演技のフィニッシュとして、大きいものを出すのでもなく、3つのボールだけのマジックにして、最後全てを消して終わる…。なかなか無い発想に驚きました。

 続いてというか、だいぶ時がたち、「monthly Magic Lesson DVD VoL129」でさらに大きな変化(進化)を遂げます。なんと先程の手順を2カップで行う手順、「ツートーン・カップス」が登場します。号数だけで単純に考えると5年以上経過してます…


 55号で発表された手順に比べ、2つのカップとボール(ノーエキストラ)にすることでより即席に行えて、より現象がわかりやすくなっています。究極のシンプルバージョンですね。とはいえ、貫通、移動、消失、さらに観客の参加と、笑いのとれるシーケンスがしっかりが入っており、シンプルでも「濃い」手順となっています。

 まあ、色の異なる紙コップとその色にあったペーパーナプキンがたまたまあるかというと、そこは難しいかもしれません。しかし、同じ紙コップとペーパーナプキンでも、笑いの部分はできませんが、その他の現象は起こせますし、赤ペンとかあれば、片方のカップと作った紙玉に少し赤を付けるだけでよい気もします。さらに解説では、色違いのカップ以外でもできるアイディアが紹介されており、目から鱗でした。是非マスターしておいて損のない手順だと思います。なお、このDVDでは、おめでたい紅白のボールとカップを使いますというセリフで始まってますが、確かに、そうするとおめでたい場所などでも使いやすいですし…いいですね!

 というわけで、大きく「プアマンズ・カップ&ボール」と「ツートーン・カップス」の紹介でした。関連情報として、ゆうきともさんがカップ&ボールに対してどのような考えを持っておられるのか、を記したブロブのURLを紹介します。「カップ&ボールの再考」ということで、もう15年以上前になりますが、その当時のゆうきさんの考えを知ることができます。URLは初めの「カップ&ボール再考」だけ示しますが、そのあと8まで続く、読み応えのある記事です。

カップ&ボール再考

カップ&ボール再考 : ゆうきともからのお知らせ 2

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ゆうきともからのお知らせ 2