今回はアメリカのプロマジシャン、リッキー・ジェイ(Ricky Jay)氏の紹介です。氏はアメリカで最も知識が豊富で熟練したマジシャンの一人とされていました(2018年72歳で亡くなっています)。数多くのテレビや映画に出演しており(ジェームズ・ボンド映画『007トゥモロー・ネバー・ダイ』など)、また、設立したコンサル会社では、マジックに関する専門知識と発明の両方を提供してします(フォレスト・ガンプなど)。さらに11冊の本を執筆しており、歴史家で収集家、、、とまあいろいろあり、本格的に紹介すると本1冊になりそうなマジシャンです(;^ω^)。マジシャンとしては、カード投げの名手とされ、一時期はギネスにものりました。
彼の劇場での伝説的なショーとして「リッキー・ジェイと52人のアシスタント(Ricky Jay & His 52 Assistants )」というのがあり、その演技のフィナーレとして演じられているのがカップ&ボールの手順なのです。ショーのより多くの演目が見れる映像もYoutubeにありますが、カップ&ボールの部分の映像を示します。
51万回再生されてますね(;^ω^)
カップ&ボールに関するサイトを見ていると、「誰の手順が好きですか?」みたいな話が出てきます。その中で結構な数で「Ricky Jay氏の手順が好きです!」という人がいます。実は私はそれで氏を知り(;^ω^)、氏のこの手順を見て、「なるほど、確かに素晴らしい」と思いました。カップ&ボールの手順もですが、それ以上に台本と演出がカップ&ボール好き、特に歴史に興味のある人にはたまらないのだと思います(笑)
詳細ではありませんが、話している内容について述べます。
まず、自分は信じないがと言いつつ、古代エジプトのベニ・ハッサン王のお墓に書かれた絵の話をし、ギリシャ・ローマ人のカップ&ボールの記述のこと、15世紀のオルムの「惑星の絵」にカップとボールを使っているマジシャンが描かれていることを話し、この数百年、いや数千年にわたって継続的に行われてきたこの古典マジックの自分のバージョンをしますといいます。
レジナルド・スコットの「妖術の開示」で英語で初めてカップ&ボールについて述べられたと言い、当時のカップ&ボールで使われたのものの一つとして「ろうそく立て」があることに対応させ、テーブルにあるろうそく立てとボールを示します。次に、東洋では、陶器のボウルでプレイされましたと陶器を示し、西ヨーロッパでは、ブリキのような安価な金属のカップを使いましたとクラシックな形のカップを示します(カップの貫通もここでします)。
今晩は理由は明かしませんが、お気に入りの銅で紡いだカップを使いますといって手順に入ります。手順ではカップ&ボールのマジックではなく、ギャンブラーの手順だと言って「スリー・シェル・ゲーム」の現象を行います。ここで、英国の競馬場では「シンブル・リギング」と言われていたとか、ハスラーの言葉では「ザ・ナッツ」と呼ばれていたなど、歴史的なことを言います。
ギャンブラーではなく手品師はこれを少し違ったやり方で行います、といって魔法の棒を使って手に握ったボールを消します。カップ&ボールは伝統的に3つのカップと3つのボールを使って行われていました。17世紀のベストセラー『ホーカス・ポーカス・ジュニア』から、実際の手順を紹介しますと話します。
ここからカップ&ボールの現象を起こしながら関連させてマジシャンの話をします。まず登場するのは、ニュールンベルクの小人、マティアス・バッチンガー(Matthias Buchinger)です。身長が70cmちょっとで、両足がなく、指のある手も無い彼が見事なカップ&ボールを行ったと言うマジシャンです。次に出てくるのは19世紀初頭に登場したボスコ(Bartolomeo Bosco)です。ボスコは「近代奇術の父」と称されるロベール・ウーダンも認めるカップ&ボールの腕前でした。それだけでなく、インパクトのある演出も加わり、高い評価を受けました。ボスコのお墓にはカップ&ボールの絵が刻まれています。ボスコの名は奇術師の代名詞となり偽物のボスコも現れていたようです。リッキー・ジェイ氏はここで、ボスコの演出について紹介しています。続いて登場するのがコナス(Conus)です。リッキー・ジェイ氏はコナスがこのように説明した..として、嘘の解説のシーケンスを行います。私はそんなことをしませんと言って、どこに戻るかというと、、、と言ってろうそく台の下、お椀の下、ブリキのカップの下からボールが出ます。
ちなみにConusはそれまでカップ&ボールの演者がよく使っていた「Gibecire」(腰に巻いていろいろそこから取り出せる大きなポーチ)の代わりに、テーブルに付けた秘密のポケットを使ったそうです。
最後はマックス・マリーニ(Max Malini)が出てきます。マリーニは3つのグラスを新聞紙で包み、ワインボトルのコルクを3つに切ってアスパラなどの茎でウォンドを作りカップ&ボールを演じたといって、ファイナルロードを示します。
リッキー・ジェイ氏が、使っているカップはコンボカップで、その特徴がうまく使われていると手順だと思います。
ちなみに、ここで出てきたマジシャン、Matthias BuchingerとBartolomeo Boscoについては、DeAGOSTINIのThe Magic No.5とNo.28で紹介されていますので、興味のある人はご参照ください。The Magicでマジックの歴史に関するコーナーが好きでした。もっといろいろ書いてほしかったです(T_T)
Ricky Jay氏はMatthias Buchingerのことが好きで、彼に関するモノを集めたり、本に書いたりしています。氏の最後の著書は彼に関しての本です(だと思います)。
The World Wide Website of Ricky Jay
Ricky Jay氏とは関係ありませんが、氏が演技と共に行ったようなカップ&ボールの歴史をコンパクト(9分)にまとめた動画がありましたので紹介します。カップ&ボール好きの方には気に入ってもらえると思います。
The Real Secrets of Cups and Balls | History of the Cups and Balls
私もカップ&ボールの歴史を話しながら行う手順に憧れます(;^ω^)。自分もやってみたいですが、私の演技力やトーク力では聞いてる人が苦痛になるのでは?と思ってしまいます(;^ω^)。スクリーンの前で行い、話に合わせて登場人物や関連写真が表示されるような演出をやってみたいです。でもスクリーンを見て演技を見逃してしまうとかあるのでタイミングが難しそうですね。
これまでこのブログで書いた関連記事のリンクも示しておきます。