カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

Tommy Wonder/Jos Bema(トミー・ワンダー) 

2024-11-12 11:02:00 | マジシャン別

 今回でブログ記事200回となります!想定外に続いております(笑)これからもよろしくお願いしますm(_ _)m。100回はもともとの私のゴールであった、Danny Dewが作ったPaul Foxカップを紹介しました。100回記念にはそれだろう!と決めていたのですが、正直200回は全く考えていませんでした(笑)。ちょっと前に、「あれ?あと数回で200回だ」と思い、考えました…。まだ紹介していないPaul Foxのような自分にとって思い出深いカップなどもありませんし、手順で最も影響を受けているバーノン氏やアマ―氏も既に紹介済み…。どうしようか考えた末、私が手順を演じていないこと(演じられないこと(;^ω^))や、うまくまとめる自信がなく、避けていたトミー・ワンダー氏を紹介させて頂くことにしました。つたない内容になるかもしれませんが、よろしくお願いします。

 Tommy Wonder氏(本名はJoseph Bemelman?)はオランダのプロマジシャンで1953年に生まれ、2006年に肺がんで亡くなっています。52歳という若さでした。亡くなる1年前(2005年)に日本でレクチャーをされています。その以前にも来日されているので、生の氏の演技を観た幸せな方もある程度いらっしゃるのではないでしょうか。私も観たかったです…(T_T)。4歳の時見たテレビのマジシャンに影響を受け、10歳からマジックの練習をはじめ18歳でクロースアップ・ステージのプロマジシャンとなります。"Tommy Wonder"は1979年からの芸名(?)でそれ以前は"Jos Bema"(1973-78)でした。1979 FISM 大会で2位(close-up)、1988 FISM 大会で2位(general magic)を受賞しています。代表作は、数多くあり、発明品的なものも多いです。"Ring Watch & Wallet"や"Vanishing Bird Cage"、"Flying Birdcage"、"Diminishing Cards(Squeeze)"、アンビシャスカートの最後に使うRing Boxも有名ですよね。

 幸せなことに、氏のマジックの代表作は映像と本で学べます。ビデオはいくつか出ていますが、L&Lから出た3巻セットの「ビジョンズ・オブ・ワンダー(Visions of Wonder)」の字幕付きがお勧めです。カップの手順が収録されているVol.1の商品URLを示します。

ビジョンズ・オブ・ワンダー 第1巻 – スクリプト・マヌーヴァ

本は2冊セットである「The Books of Wonder by Tommy Wonder」に氏のマジックのほとんどが書かれていると思います。氏の集大成といえる本です。一時廃盤になっていましたが、権利が移動し再販されました。カップ&ボールの手順はVol.2に書かれています。日本のお店でも購入できるところがありますが、PVがついている海外のお店の商品ページを紹介します。いつか日本語訳本が出てくれるといいですね(誰かその偉業に立ち向かってください(笑))

The Books of Wonder by Tommy Wonder (2 Volume Set)

"By far, two of the most valuable books in my library. His magic is truly exceptional, original, awe inspiring." -Johnny Thompson"Tommy Wonder w...

Penguin Magic

 

 カップ&ボールの話に入ります(;^ω^)。氏の有名な手順の演技映像を示します。


日本のテレビ番組で放送されたときの映像もありました


素晴らしい手順ですね。ロードするタイミングを知ってても、何回も騙されるのは私だけでしょうか(;^ω^)?なかなかそんなマジックは珍しいと思います。手順は2つのカップを使ったもので、バッグに付いている大きなポンポンやバッグ自体が出てくるところが非常に特徴的です。2つのカップを使った手順はトミーワンダー氏が初めてではなく、以前紹介したJohn Ramsay氏の手順が1940年代に本となっています

John Ramsay - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

前回はRings-N-ThingsMagicから出ているPeteBiro'sRamsayCupsandBallsを紹介しましたが、今回はJohnRamsayのカップ&ボールについてもう少し広い範囲で書きたいと思い...

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John Ramsay氏はミスディレクションの名手であり、Tommy Wonder氏も恐らくその影響を受けているでしょうから、本人はそのような事は言ってませんが何らかの影響はあったかもしれません。本によると、Tommy wonder氏は2カップについて、3つのカップは観客にとって現象を追うのが難しい、また、2カップで3カップの技法のほとんどはできると考え、2カップにしたと述べています。また、ポンポンを使う発想に至ったのは氏がプロとして活躍し始めた70年代は体にぴったりした服装が流行っており、大きなボールをポケットなどに入れておくことが難しいという環境のためだとのことです。そこから袋からのロードを思いつき、ポンポンそして袋自体へと考えを進めたと考えられます。

 Tommy Wonder氏の手順を通常のカップ&ボールとの最大の特徴がはやはり目の前にあったポンポンや袋がカップの下に移動することだと思いますが、プロの演者として価値がある点として後に紹介する「TOMMY WONDER ENTERTAINS」では以下を挙げています。①立ったまま行えるので演技の環境はそれほど重要ではない。②「ポケットワーク」が無い。マジシャンがポケットに手を入れて取り出したり、しまったりすることがない。ボールがカップからポケット(とその逆)の移動もない。③大きくて目立つボールを使っていて(1.5インチ)、観客にとてみやすい④クライマックスの為に大きなボールを3個から4個身に着ける必要がない。膨らんだポケットでマジックを演じる必要がない。⑤終わったらリセットされているので、準備の必要なく、余分な道具も必要ないので、特にテーブルホッパーには便利である。

 このような特長を多く持つ手順ですが、1976年にポンポンや袋をロードするというアイディアで手順が作られた後、時間と共に少しずつ手順は変化しています。この手順を記した3つの文献を紹介します。

1.JOS BEMA - LECTURE

 1977にトミー・ワンダー氏自身が出したレクチャーノートです。10以上のマジックが解説されており、カップ&ボールが最後に記載されています。タイトルはシンプルに「CUPS AND BALLS」です。このレクチャーノートには有名な氏のDiminishing Cards(Squeezeではないです)や、前田知洋さんもテレビでよくされてたCARD-PUZZLEなどが解説されてます。16ページの冊子に10以上のマジックですので、一つ一つはコンパクトに説明されています。挿絵はトミー・ワンダー氏自身が描いています。カップ&ボールはp13-p16にわたり、14の図を使って説明されており、この冊子の中では多くのエリアを使い詳細に説明されているマジックなのですが、正直この文章だけでどんなマジックが行われているかを理解(再現)するのは厳しいと思います(;^ω^)。

 この初期手順では、後の最終手順といくつか違う点があります。導入部分ではカップ・スルー・カップは行わず、ボールがカップを貫通する現象を行っており、さらにチャーリーミラームーブなども行っています。最も驚いたのは、ポンポンがネジではなくクリップで留められていたことです。あの不思議そうな顔をしながらゆっくりネジを絞める演出は笑いを得る非常に良いパフォーマンスですが、初期ではなかったんですね。ちなみに、この冊子はインターネット上で「Original Magic from Holland Lecture」と書かれていることも多いのですが、そんなタイトルどこにもないじゃないかと思っていたら鍵穴に連続して書かれてました...(;^ω^)

2.Tommy Wonder Entertains

 1983年に、Jeff Busby Magicから出版された冊子で著者はDr. Gene Akira Matsuuraと書かれていますので日系のお医者さんか博士号を持たれている方でしょうか...。サブタイトルに「Three Novel Routines Based on the Cups and Balls by JOS BEMA」と書かれていること、目次の2つのセクションが「1.Novelty Routines (pp1-12)」「2.The Jos Bema Cups and Balls(pp15-40)」となっていること、表紙にポンポンが描かれていることなどから、この冊子は明らかに氏のカップ&ボールがメインであることがわかります。1つめとしてレクチャーノートと大きく異なり、約20ページをかけて、道具に関して(ポンポンの作り方も含め)と手順を非常に丁寧に解説しています。図も40あり、動きや状態がわかり易く描かれています(挿絵はJohn Elferink)。手順の解説の後は、Tommy Wonder氏によるファイナルロードのコメントや、練習の時に役に立つようにアウトライン、その他バリエーションが書かれています。この手順を学ぼうとする人を考えた、かなり力の入ったカップ&ボールの解説書です!

 また、この冊子には、このTwoカップの手順のほかに「CANNED CRAZIESS」と「COUGH COUGH」というマジックが解説されています。「COUGH COUGH」おそらくVisions of Wonder - Vol.2の「Cough Drop」と同じだと思います。


しかし、「CANNED CRAZIESS」は他では解説されておらず、実演動画を探せていない作品です。是非実演を見てみたいこの作品は以前ブログで紹介したいわゆる缶タイプのソリッドカップの手順です。

缶タイプのソリッドカップ - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

前回紹介した高木先生のソリッドカップが発表されたのは1977年ですが、その数年前からボールとコーンの中身が詰まってしまうという考えはあったようです。しかし、高木先生...

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この記事でも少し述べましたが、当時、ポール・ハリスやマイケル・アマ―などがこのタイプのワンカップルティーンを発表しています。トミー・ワンダーの作品は氏らしく、笑いがあり、特有の道具があります。この手順では、スープ缶を開けるとなぜかミートボールが出てきて、そのミートボールがカップへの移動、それから貫通をします。貫通の途中の半分埋まった状態を見せるのも面白いです。ミートボールはさらに大きくなりますが、実は缶は空いていなかったという手順です。アマ―の手順では、缶についているキャップを開け、それと同時に玉が出てくるというシンプルな演出ですが、トミーワンダーの手順では缶切りで缶を開けるという手の凝った演出です。是非実演を見てみたいですね。

3.The Books of Wonder 1 & 2

 Tommy WonderとStephen Minchが著者でイラストはKelly Lylesです。カップ&ボールに関しては2巻の「Acetabula Et Calculi」という章にあります。このブログにして今更ですが、この言葉はラテン語でカップ&ボールの現象を意味します。「カップ(容器)を使うもの」という意味の言葉「acetabularii」と「小石を使うもの」という意味の言葉calculariusからなり、共にマジシャンを表す言葉として使われていた言葉のようです(カップ&ボール=マジシャン(o^―^o))。

 この章では、いくつかのことが書かれていますが、特にロードに関しての内容が詳細に書かれています。氏のTwo-cup Routineでもポンポンや袋のロードが特長ですし、氏がそこに様々な考察を行っていたことがわかります。どこかで聞いた(読んだ)のか忘れましたが、今のカップ&ボール演者はバーノンの手順に慣れ過ぎていて、ポケットに手を持って行き過ぎだと...理由を作り自然にポケットに手を持って行くのもいいが、最もいいのは全くポケットに手を持っていかず、大きなボールが出てくることだ...という言葉に少しハッとした記憶があります。

 Two-cup Routineの解説では先に紹介した冊子の解説よりさらに詳しく、微妙にアップデートされた最新版(最終版)の道具やルティーンが説明されています。先の冊子ではこの手順を学ぶ人のために、どのような現象か、どう実演するのかが詳しく書かれており、ビデオが一般的でなかった時代にこのルティーンを学ぶのに非常に役立ったとも思われます。この本は氏自身が書かれているため、それらに加え、さらに、なぜそれを行うのか?という見えていないところまで深く書かれています。この手順を本当にマスターしたいのであれば、演技・解説映像と合わせてこの文章での解説も読まれた方がよいかと思います。

 再度氏の手順を振り返りますと、これだけ、方法がわかっていても引っかかってしまう手順はそうそうないと思います。観客が気を抜くタイミングを作るには、逆の緊張するタイミングを作ればよいとビデオで言われてます。他でも聞いたことがあるフレーズですが、それが非常によく実現された手順だと思います。

 最後にカップについてですが、本では、クラシックな形でも、丸みを帯びたポールフォックスタイプでもどちらでもいいと書かれています。トミーワンダー氏は後者が好みだそうです。この手順では多くのカップ&ボールの手順と異なり、カップのトップに複数のボールを置くことがありません。ですので、トップの領域は広い必要はありません。また、前半のカップの上からボールを引き出すような動きや、後半の観客の手からカップを持ち上げる動きなどを考えると、トップが狭くスリムなAuke Van Dokkum氏やRaphael氏がデザインしたカップの計上は合理的な気がします。ボールとカップの大きさに関しては必要な関係がありますので、大小のポンポンは使うカップに合わせた大きさにする必要はあります。




Raphael and Bluether MagicのTommy Wonder Cup 3種の比較 - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

前回、「TommyWonderCups&BallsSet2.0」を紹介しました。これでRaphael氏が作ったTommyWonderCupが3種類になりましたので、3つの比較記事を投稿させて頂きます。新しい...

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Tommy Wonder Cups and Balls Set - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

TommyWonderCupsandBallsSetです。このカップはAukeVanDokkum氏がTommyWonder氏の許可を得てステンレスの塊から削り出して作ったカップです。ちょっとわたしには重いのです...

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The Golden Shells by Whit Haydn

2024-10-24 23:11:00 | スリー・シェル・ゲーム

 これまで、カップ&ボールのカップの形をしたスリーシェルゲーム用ミニカップを幾つか紹介しましたが、最も多いのはクルミの形のシェルであり、私もクルミの形のシェルを使っています。いくつか家にありましたの紹介していきたいと思います。一つ目として紹介するのは、私が使っているWhit Haydn氏の「The Golden Shells」です。20年以上前にL&Lで購入しました。解説書には手順はありませんが、このシェルが出来た経緯とかスリーシェルの歴史などが書かれています。もう販売されていないと思っていたのですが、タネンで見つけました。

Golden Shells trick

Over six months in the making, Whit Haydn and Chef Anton have created the perfect shells for any Three Shell Game routine. Including design enhancements and tips...

Tannen's

 

 本シェルはピューターで作られた本体に24カラットの金で厚くメッキされたシェルです(22カラットと私の持つ解説書には書かれていますが(;^ω^))。重量感があり、高級感もあります。細部にこだわり作られており、Johnny Thompson氏が"This set of shells and peas is going to be for the shell game what the Paul Fox cups were for the cups and balls."と書いています。でもポールフォックスはちょっと言い過ぎでは…(;^ω^)。この商品が出てから、金色のシェルがいくつか販売されています。一度「高級ゴールデンシェル!」と書かれた数千円のシェルを購入したことがあるのですが、全然違うものでびっくりしました(笑)。この「The Golden Shells」ですが、実はMAJIONさんでも販売されています。

Golden Shells(金色のスリーシェルゲーム) - マジックショップ MAJION

1万円以上のご注文で送料無料!初心者から玄人までお楽しみいただけるマジックショップMAJION。 世界中のマジックグッズの中から専門家がセレクトしたアイテムの販売から、...

マジックショップ MAJION

 

「Pop Haydn監修のスリーシェルゲームの用具でセットです」と書かれています。私の中ではWhit Haydnという認識だったので、??と思いましたが同一人物ですね。Whit Pop Haydn氏はハリウッドのマジックキャッスルの元副社長であり、クロースアップ、ステージ、パーラー、バーのマジックで6回も受賞しています。

Whit Haydn - Wikipedia

 

 さらに、MAJIONさんで購入すると「MAJION特製手順動画」が付いてきます。

 野島さんの映像は、はじめて見た方は、特にスリーシェルゲームを知っている方ほど引っかかってしまうのではないでしょうか(私だけ?)。ただ、私が勝手に想像した手順の場合、これが行えるピーをお持ちでない可能性もあります。私はこのシェルを持っているのでこの手順のみマジオンで別売頂してほしいです(T_T)…。商品説明では、ジャストサイズのグラスが絶賛されてます。よく「ゴトッ」ってなってる演技ありますもんね(;^ω^)。でも、逆にギリギリ過ぎて私のセットはマット上では問題ないですが硬い面に置くとグラスの口がちょっと浮きます(^◇^;)

 Whit Haydn氏のこだわりはいろいろあるのですが、個人的にこのシェルがいいと思う点を述べます。①重量があり、しっかりしている、サイズ感も良い②底が(ある程度)平らであり、滑らせたときに滑らかに進む③おしりに少し空きがありスチールしやすい(ガタッとなりにくい)④底が少し湾曲しているため前・後ろを押すと反対側が少し上がる






 次に手順です。多くの手順が発表されていますが、私はこのシェルを使ったBob Kohler氏の「Golden Shells」というビデオで解説されている手順を演じています。私が購入したのはもう20年以上前で、ビデオテープでしたが、今もDVDで販売されています。

Golden Shells by Bob Kohler - DVD

Works with any shell set Absolutely angle proof Bob Kohler

Penguin Magic

 

 ちなみにWhit Haydn氏の手順の動画です(2018年マジックキャッスル)


この手順の解説動画もリーズナブルなお値段で販売されてます。

Pop Haydn

Pop Haydn teaches every detail of his award-winning shell game routine. The video includes live performances of the routine in the Close-Up Gallery and the W. C....

Penguin Magic

 

賞も受賞している素晴らしい手順だと思いますが、長いですよね…これを実現するためにはやはり、表現力・コミュニケーション力が必要です。技術解説があるので、それらを使って自分なりの手順を組み立てるのも良いかもしれません。Whit Haydn氏は他にも解説DVDをChef Anton氏とBob Sheets氏と共に出しています。これも詳しくて良いと思います。

Scoundrels Touch (2 DVD Set) by Sheets, Hadyn and Anton- DVD

In this two disc Volume II, Chef Anton, Whit Haydn, and Bob Sheets outline their advanced system for the shell game and teach routines complete with patter and a...

Penguin Magic

 

 日本では、やはりテレビ番組で実演されていた、ふじいあきらさんの手順が有名ですよね。道具付きで販売されていましたが現在は在庫なし状態が続いています(T_T)。

【用具+解説DVD!】ふじいあきらの「こだわり」スリーシェルゲーム〜プロの用具・プロの手順!〜 [monthly Magic Lesson Shoppers]

また、日本語の本格的解説DVDとしては、黒田氏の「東京都東くるみ市」があります。

東京都東くるみ市  ★永久保存版★-モテまじっく倶楽部

プロ、アマ待望のdvdがついに完成!!ほんとにやばいです!!東京都東くるみ市  永久保存版スリーシェルゲーム“史上最強のでんすけ賭博”Mr.Kuroda氏の18番...

モテまじっく倶楽部

 

 本(冊子)もいろいろ出ています。私が読んだものは20年以上前に根本さんのお店で購入したTom Osbourne氏の「Three Shell Game」です。1stエディションは1938年で当時これだけ詳しく書かれたものはなかったかもしれません。Lybrary.comで5ドルで購入できます。あと、松田道弘氏の遊びの冒険シリーズ3「ギャンブルのトリック」の中で少し取り上げられています。

 関連サイトを3つほど紹介します。

①スリーシェルの商品やDVDなどをまとめたサイト(Reference Guide to the Three Shell Game)です。スリーシェルへの愛を感じます! 

Reference Guide to The Three Shell Game

②歴史や、どんな風に行われたかなどが書かれたサイトです。Boschのカップ&ボールの絵がドーンと出てるところがいいですね(笑)

THIMBLERIGGING – HOW TO PLAY THE SHELL GAME

The Conjuror, by Hieronymus Bosch and workshop, between 1496 and 1516. Public domain, via Wikimedia Commons One of the most basic, yet also the potentially most ...

GRISTLY HISTORY

 

③マジェイアさんのページです。さすがの内容です。「The Golden Shells」の話もでてきます。

Three Shell Game

 というわけで、今回は3シェルゲームのシェルの紹介第1弾として「The Golden Shells」の紹介とその他いろいろ書かせて頂きました。しかし私はこのマジックをレパートリーにできていません(;^ω^)。3シェルゲームは基本ギャンブルなので、マジックとして観客に楽しんで頂くには演出に工夫が必要です。カップ&ボールでもそうですが、観客が指したところに玉が入っていない場合、観客は不思議ではありますが、楽しめるでしょうか?ここを何とかしないとと思っています。しかし、多くのマジシャンがこれで観客を楽しませているのは事実ですので、レパートリーにすべく、勉強していきたいと思います。

ちなみにGary Ouelletの演出も評価他界です。優しい感じがしますね。


 スリーシェルゲームの歴史の話になると、クルミを使う前はシンブルが使われていたということが書かれています。はじめて読んだ時ちょっと驚きました。小さすぎでは?と思いました(笑)。シンブルはカップとは比べ物にならないほどバラエティがありますので、お洒落なシンブルで行うとまた雰囲気が変わるかもしれません。シンブル専門の本とかあって奥が深いです…




Charlie Frye(チャーリー・フライ)

2024-10-07 08:38:00 | マジシャン別

 今回はCharlie Frye氏の紹介です。といってもいつものようにカップ&ボールに特化した形での紹介となります(;^ω^)

 昨年(2023年)、氏の本「Sleightly Absurd」がリリースされました。約300ページの大型ハードカバーの本で、50以上のマジックが1000以上の写真を使って解説されています。国内でもいくつか取り扱っているお店があり、今回はGINさんのページを紹介します。

Sleightly Absurd by Charlie Frye (洋書)-マジックショップGIN

※ご注文確定後、1〜2週間でのお取り寄せとなります。他の商品と合わせてご注文の場合、本書入荷時の一括発送となります。唯一無二とも言える異色のマジッ...

マジックショップGIN

 

 この本の7章(Act7)に「The Cups & Balls」があり、そこに3つの手順が解説されています。今回はこの3つを簡単に紹介したいと思います。

<CLOSE-UP ROUTINE>

 1つ目はクロースアップで最も演じていると書かれているこの手順です。まずは演技動画です。


 この手順は氏の作品集である「Eccentricks」のVol.1に収録されています。いくつかのお店でダウンロード版を購入できますが、MAJIONさんのページを示します。

【MMSダウンロード】Eccentricks(エキセントリックス) by Charlie Frye - マジックショップ MAJION

1万円以上のご注文で送料無料!初心者から玄人までお楽しみいただけるマジックショップMAJION。 世界中のマジックグッズの中から専門家がセレクトしたアイテムの販売から、...

マジックショップ MAJION

 

 このビデオ(当時VHSを買ったような…)はかなり古いので、氏が最も古くから行っていた手順だと思われます。いわゆるバーノンの手順とは大きく違う、独創的で不思議な手順ですね(;^ω^)。しかも、あのカップを使ってますので、いきなり公明正大な貫通が行われ、そのあと技術でさらりと続けるので貫通現象が非常にクリーンに見えますよ。その後もギャグとジャグリングが入った氏らしい手順だと思います。

 ただ、あくまで個人的な意見ですが、カップの置き方が統一されてなかったり、少し違和感を感じるところがあるのも確かなんです。これは私がカップ&ボールを見過ぎて、一般的なカップ&ボールと違うから違和感があり、普通の人が見たら違和感がないのかもしれません(-_-;)

 あと、まあ難しいですね(笑)。私はうまくできる気がしません(笑)。また、ファイナルロード用のボールも少し特徴的なものが必要で、少し伸縮性のあるボールが望ましいのです。いいものを見つけるのは意外と大変だと思います。よいボールがありましたら、情報頂けると幸いです。今回、伸縮性のあるボールを探していて見つけたのがガチャガチャ商品である「むぎゅっ!ビリヤードボール」(コロコロコレクション むぎゅっ!ビリヤードボール)です。メルカリで出品されていたのでいくつか購入してみました。確かに少し握ると縮むというか変形してまあまあ良いのですが、個人的にはもう少しだけ柔らかい方が扱いやすいかもという感じでした。さらにカップの形やサイズは様々なので、やはり自分のカップにあった適切なボールを見つけるのは大変だろうなぁとも思いました。

 ちなみにここで使われている素敵なカップはカップはデュッセルドルフ(ドイツ)の「Wolfgang Kaps」という友人が作ったカップだと本には記載されています。



<CUPS & BALLS>

 2つ目は、テニスボールを使った手順で、カップ&ボール用のカップを使っていますが、小ボールを使わず、全てテニスボールで行う手順です。ですので、一般的なカップ&ボールとは少し違う感じがする手順です。演技の出だしはスリーシェルゲームのような当てもので、そこから不思議な事が起こるという演出です。

 実演動画です。


 これも、ちょっと特殊なテニスボールが必要です。チャーリー・フライ氏は有名なAlan Wong氏のものを使っていたと思います。実は、この手順はストレートマジックショップさんが2022年に行ったレクチャーでチャーリー・フライ氏が演技・解説をされてました。残念ながら今はその映像を購入することはでき無いと思います... (必要でしたら直接ご確認下さい。クロースアップではなくパーラーで行うことが多いと言ってたような気がします。

 氏のようなギャグをはさみながらの手順を私が実演するのは難しいのですが、このテニスボールは使ったことないものの、持ってますので、今度、通常のカップ&ボールの最後の出現に使ったらどんな反応が得られるかやってみたいと思っています(笑)

 最後にウォンドでカップを叩き、音楽を奏でています。私はよく知らないのですが、トワイライトゾーン(米SFテレビドラマ?)の音楽の一部のようです。このカップは、1つ目の手順で出てくるカップとよく似ているように見えますが(少し1つ目のカップの方がスリムな形です)、ニュージーランドのAnton van Heldenという友人からもらったとのことです。で、この手作りカップを叩いたときの音がそれぞれ違ったので、それで音楽が奏でられないかと考え、いろいろ試行錯誤してこのメロディーになったとのことです…



<CUPS & BALLS ON STEROIDS>

 最後は、これまた、通常のカップ&ボールからは大きく離れた面白い手順です。

 実演映像です。


 どこかで見たようなカップとスポンジボールの組み合わせ…。このブログでも何回か紹介させて頂いた、Johnny Paul氏の手順にチャーリー・フライ氏がインスパイアされ出来上がった手順だそうです。

 貫通現象から始まり、どんどんボールが増えて、最後少し大きなボールも出てきます。7個の3インチボールと1個の4インチボールです。大きいですよね!カップもJohnny Paul Cupよりも一回り大きいカップで、氏が使っているのはIckle Pickle製のカップです。Ickle Pickle社は多くのアルミカップを出しており、その中の一つで「Cups & Balls Large Beaded」だと思います。ちょっと前まで品切れで、私はebayで購入しましたが、今見たら販売されてますね。恐らくこのカップだと思いますが違ったらすいません…

Cups & Balls Large Beaded

 非常に楽しい手順なのですが、このサイズのスポンジボールを消したり、出したりという、これまた、やはり基本技術の問題で私には実演はちょっと厳しいかと思っています…(T_T)。また、Johnny Paul氏のときもそうですが、カップとスポンジの関係も正直難しいです。Charlie Frye氏の本では、このあたりの問題を解決するために少しカップに工夫することも解説されています。



 どの手順でも氏らしく、一般的なカップ&ボールとは違い、かなり個性のある手順です。ですのでなかなかこれらをそのまま演じる方はいらっしゃらないかと思いますが、いろいろヒントは隠されていると思います。全ての手順は本に解説されていますので(英語ですが…)ご興味のある方は他にも氏の代表作が詰まっていますし、本を購入されると良いかと思います。


Devil's Cups by Gabriel Werlen, Marchand de Trucs & Mindbox

2024-08-16 20:53:00 | カップ&ボール以外

 久々のカップ&ボール以外のマジックの紹介です。「デビルズ・カップ」というタイトルのマジックでやはり「カップ」に惹かれて購入しました(笑)。まだ2人しか演じていませんが思ったより良い反応が得られたので紹介することにしました。

まずはPVです。


魅力的なPVですね…。しかし、購入された方は同意見だと思いますが、これはちょっと誤解を与えるのでは…というPVです。その点やはりGINさんはしっかりしています。誤解しないようにと但し書きがされています。

Devil's Cups (悪魔的ダイス探知) by Gabriel Werlen, Marchand de Trucs & Mindbox ※日本語解説書付き-マジックショップGIN

仕掛けのないダイスの位置や色を完全透視!!日本語解説を書きがら、何度も「おお〜、賢い。。。」と唸った作品です。手順は5つ解説されており、それぞれ使うカ...

マジックショップGIN

 

はい、観客が自由に混ぜるのは、演者の指示通りに混ぜた「後」なんですね。この点に全く触れずに販売しているお店は、少しどうかな…と思います。さらに完全にはわからない(手順もある)…。まあ、それでも十分不思議なのですが...

こちらの実演映像が解説書通りの演技です。この演技は解説されている5つの手順の中の1つで最後に解説されている「THE 4 DEVIL'S CUPS」という手順で、「DEVIL'S CUPS」の名前が唯一入っている本命手順だと思われます。


 付属するのは、4つの金属製カップと3色のダイス。それからビデオにも出ている円筒のケースです。あとは解説映像ですね。GINさんでは日本語訳を付けてますし、FUNMAGICさんでは日本語の補助原稿といくつかの手順に関する日本語字幕映像を付けてますので、ありがたいと思います。この手のマジックは全く音声無しでは理解は難しいので私のように英語が得意で無い方は日本語サービスのあるお店で購入されるのが無難だと思います。

 金属製カップは飾りもなく、こういうメンタルマジックには合ってると思いました。また大きさも小さめで4つ並べたり、観客が混ぜたりするのにもよい大きさだと思います。どこまで書いてよいか難しいところなのですが、このマジックはある原理とこのカップが必要です。ただし、3つのカップを使った手順ではカップの特徴は使いませんですので、家にあるカップを使って演じることができます。4つのカップを使った手順ではこのカップに仕込まれた特徴を使いますが、これも自分が用意した例えば紙コップ4つに対しても仕込むことで代用できます。個人的には割と応用が効くマジックだと思います。ただ、この手のマジックは評価が割れることも多いのであくまで個人的な意見だとご理解ください。

 ダイスは赤、青、白の3色で、メンタル・ダイスのダイスと同じ色です。ただし、サイズは少し小さく、すり替えには使えるか微妙ですが(多分大きさが違うことに気付く人はあまりいないと思います)、逆にこちら側としては、混ぜても区別が付きますので一緒に持ち運び、すぐに分けることができるのはありがたいです。

 ケースもコンパクトに持ち運びできるサイズで、他のマジック用小物を持ち運ぶのにも使えるかもしれない、いい感じのケースです。

 基本手順は3つのカップを使う手順です。私も今のところ解説されてる手順通りの演技をしていますが、ちょこっと最後に効果を付け加えて以下のような手順を演じてます。

1.3つのカップの上に1~3のダイスを乗せ、演者は後ろ向きになる。好きなカップの下に紙ボールを入れてもらう。演者の言うように動かし、最後にダイスを取り除いてもらう。演者は後ろ向きの状態から戻りどこに入っているかを当てる。

2.続いて、同じようにしてもらうが、演者の言うように動かしてもらったあと、次にどれを動かすかを観客自身が決めて動かす(宣言してもらう)。演者はどこに入ってるか当てる。

3.続いて、1.と同じような感じで動かしてもらうが、最後に混ざっているダイスを1~3に並べ直してもらう。演者はどこに入っているか当てる。さらに紙ボールを開けると上に乗っているダイスの数と一致する。

4.さらに難しくすると言って、もう一つカップを増やし4つにする。3色のダイスのうち1色を選んでもらう。使わないダイスの上に被せものをして見えなくして、好きな色のダイスを好きな数字を上にして、好きなカップの下に入れてもらう。上記動画のように混ぜてもらう。演者はダイス入れの箱とダイス1個だけ入る入れ物をもって振り返り、机に置いておく。どこに入っているかを当てる。1つだけダイスが入っている箱の蓋を開けると、同じ色のさいころが、しかも同じ数字が上に入っている。さらに、もう一つの箱を開け、使わなかった色のさいころを示す。観客に自分のさいころを見てもらうと、こちらも上の数字が一致している

 はい、4.はデビル・カップだけではなくメンタル・ダイスを使っています(笑)。ちょっと「くどい」かなと思いますので、これから演じていきながら、贅肉をとっていこうかなと思います。

 正直なところ、この手のマジックは、演者の指示に従って動かすので「わかるように動かすんでしょ」と思ってしまい、不思議度合いが下がるというか、不思議でも少し冷めてしまうと思ってました(今でも思ってます(笑))。でも、実際演じてみると、不思議がってもらえました(笑)。まだ2人しか演じていませんが、両者から「1.」でダイスを乗せて混ぜてもらった後「どう混ぜたかわかるじゃん!」と言われて、最後にダイスを取り除いてもらうと「じゃあわからないかも」となりました。そして、「2.」で自分自身でどう混ぜるか決めるので、さらに不可能性が上がったように感じて、「3.」では予言になっているので、そちらに驚きが行きます。最後「4.」で最後好きに混ぜているのになぜわかる?でも、やはり最初の演者の指示がなんかあるんだよね…と思われても、色と数字が当たるところは完全に手掛かりがないので驚く、という感じでした。



 このようにコップなどで、隠して、混ぜてもらい、どこに入っているのか当てるというマジックはかなり古くから恐らくたくさんあると思います。私がこの手のマジックをはじめて知ったのは、松田道弘氏のクロースアップ・マジック事典(素晴らしい本です)に乗っていた「コーヒーカップを使った当てもの」でした。紙コップなどを使って即席でもできますので、キャンプやパーティーなどで紙コップとペーパナプキンなどを使ってできるところがいいところだと思います。ですが、やはり演者の指示どおり動かすというところが気になります(;^ω^)。

クロースアップ・マジック事典 - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業135年―

クロースアップ・マジックとは,タバコ・コップ・輪ゴムなどのありふれた材料を使って観客の目の前で行う奇術。本書は優れたト… 松田道弘 著

 




 完全に自由に混ぜることができるにはやはり、ギミックが必要で、有名なのは、テンヨーのラッキー・ラビットでは無いでしょうか。1999年の作品で、今は製造されていません。カタログには100年前からある方法だがこの商品は改めが可能という表現が使われているので、かなり昔からあるマジック(原理)なんですね。昔持ってましたが手放してしまいました…。いい説明サイトを見つけることができませんでしたが、動画は見つけることができましたので示します。



 ジャンルとして近いように思えるマジックとして、2003年のテンヨーのプラスワンキャンペーンのマジック「闇夜のポーカーチップ」があります(全然違うと言われそう(;^ω^))。3つのチップを演者の指示に従い、ただしある程度自由度を持って動かします。演者は後ろ手で受け取ったチップを受け取り、そのチップが何かだけでなく、観客の右手と左手のチップも当ててしまいます。さらに書かれている絵に沿った演出もある、名作です。ただ、少しストレスなところがあるんですよね(笑)。そこで、私が気に入っているのが、東京ディズニーランドで購入したピンバッチバージョンです。有名な「Hey presto!」でも取り上げられていましたのでページを示します。

闇夜のポーカーチップ

今回は、2003年のプラスワンキャンペーンのマジック「闇夜のポーカーチップ」を紹介します。考案は鈴木徹氏。(現象)キャンドル、マッチ、マッチ箱のイラストが描かれた3枚...

 

このディズニーランドバージョンはピンバッチに仕掛けがあり、どれをもったか後ろ手でもわかるようになっています。それを体験した時すご~いと思いました。Tokyo Deisneylandのロゴも入ってますし、仕掛けなさそうでいいです!ただ、ピンバッチの針のところが邪魔なので、とってしまおうか迷ってます。そういえば、以前トリックスさんだったかな。3色のコアラのキーホルダーで同様のマジックがありました。どんな原理だったか忘れてしまいましたが(^◇^;)



 なんて書いていたら、今年(2024)のプラスワンキャンペーンのスペシャルマジックはMENTAL CATSだそうで、これも演者が後ろを向いている間に選んだ猫を当てるマジックだそうな…。今3枚のウサギを送って到着を待っている段階です。届くのが楽しみです(^_^)。

これも、JPMAGICさんの「Hey presto!」で紹介されていたので、引用させて頂きます。

MENTAL CATS メンタルキャッツ スペシャルマジック2024

今年も「プラスワンキャンペーン」のスペシャルマジックが届きました。これは、テンヨ...

 

 多分、同様のマジックはいっぱいあると思うのですが、これは傑作!!というのがあれば教えて頂ければと思いますm(_ _)m。だいぶデビルズ・カップから離れてしまいました(笑)


ジガーカップを用いたカップ&ボール

2024-08-12 20:47:00 | カップアンドボール

 ご存知の方も多いかと思いますジガ―(jigger)とはお酒の液量を表す「単位」だそうです。「1ジガ―」は1.5オンスで約45ミリリットルが規定値ですが、イギリスでは1ジガーは2オンスとされているそうです。国によって違う単位って、単位の意味が無い気がしますが(;^ω^)。他にもウィスキーの量を表す単位(用語)として、「シングル」「ダブル」というのがあり、「シングル」1ジガ―(1.5オンス)はシングルとダブルの中間くらいの量になります。このジガ―を計測する容器として「ジガーカップ」があります。容量の異なるカップが上下の対になっているものが基本で、一般的なサイズとしては30ミリリットルと45ミリリットルだそうですが、15/30の組み合わせや30/50の組み合わせのものなども販売されています。今回はこのジガーカップを使ったカップ&ボールについて、いくつか紹介します。

<Jiggernaut by Mark Jenest>

 たしか、20年くらい前に、Mark Jenest氏の「Miracles While-U-Wait」というDVDが販売されました。このDVDの中に、このジガーカップを使ったカップ&ボール(と言っていいのか少し微妙ですが)の手順である「Jiggernaut」の実演・解説がありました。私がジガーカップを使った手順を見たのはこれがはじめてでした。氏は80年代からこの手順を行っていたという記述(か誰かの話)を聞いたことがあります(違ってたらご指摘お願いします)。もっとも古くジガーカップを使った手順を始めたマジシャンかもしれません。

 このDVDは現在もダウンロード版が販売されています。求めるものが何かによって感想が変わると思いますが、実用的な手順が入っている良いDVDだと思います。

Mark Jenest

You know Mark Jenest from his national television appearances and best selling magic products. Now, Mark performs and teaches his innovative routines in his firs...

Penguin Magic

 

 このDVDのJiggernautの演技です


この手順は、必要なものを含め、商品として販売されていました。私が持っているのは当時Hank Leeで購入したものです。久々に検索してみますと、現在もMagicSmithで販売されていました。ちなみにDVDの中で、この手順(商品?)の名前を「Jiggernaut」と命名したのはMagicSmithのChris Smith氏だとMark Jenest氏は話しています。私の購入した商品では紙に書かれた解説書のみでしたが、現在、MagicSmithで販売されている商品はオンラインビデオ付きのようです。

Jiggernaut by Mark Jenest

Step up to the bar, sit down and be prepared to be knocked off your seat! Mark Jenest has created an intoxicating, inebriating, innovative cup & ball rou...

MagicSmith

 

商品説明にありますが、セットとしては(本物の)ジガ―カップと偽物のオリーブ、ファイナルロード用のコルクが2つ入っています。ジガ―カップはギミックではないので、DVDで手順を知っている人にとっては道具を揃えるのは、偽オリーブ以外は難しく無いと思います(偽オリーブも普通のボールでも良いと思います)。お酒の場で演じると、より雰囲気のあるマジックになるのではないでしょうか。

 Brain Watoson氏のカップ&ボールを紹介しているページにもありましたので示します。

Cups and balls | Cups and balls magic - Jiggernaut

<JIGGERNAUT by DAN FLESHMAN>

 次に紹介するのは、DAN FLESHMAN氏が自分のwebサイトのお店で販売しているセットです。商品名がJIGGERNAUTであり、Mark Jenest氏の名前も説明に出てきているので、権利を得て販売していると思われます。道具のセット内容は同じ(カップ、コルク、オリーブそれぞれ微妙に違うと思います)ですが、こちらはDAN FLESHMAN氏の解説が付きます。下記で紹介するMark Jenest氏のとは少し違う手順が付くのではないかと思われます。商品ページを示します。なお、この商品は残念ですが、日本からは購入することができません…

JIGGERNAUT-Includes DVD with Dan’s Routine/Jigger, Olives & Corks – Dan Fleshman

恐らくここで解説されているだろうと思わる氏の手順の映像は見つけることができました。テレビ番組の一部でしょうか…


こちらは、マジックキャッスルでの実演映像です。14分50秒くらいから、ジガーカップの手順をしています。先程のテレビ番組と同じ手順ですので氏の手順として商品に付属している可能性は高いと思います。


流石DAN FLESHMAN氏ですね。複雑なことをせず、すっきりした手順だと思います。最後にコルク2つの出現に加えライム(?)を出現させています。完全に入らない大きさなのでインパクトは大きいでしょう(笑)

<That’s Nuts! by Danny Archer>

 Danny Archer氏のジガーカップを使ったカップ&ボールバージョンです。まず動画を示します。


この手順は氏のレクチャーライブ((Penguin LIVE)にも収録されています。

Danny Archer LIVE (Instant Download)

SPECIAL OFFER: Order Danny Archer LIVE TODAY and instantly download Danny

Penguin Magic

 

特徴的なのは、オリーブではなくチェリーを使っており、最後にコルクではなくピーナッツが出てくるというところでしょうか…。氏はマジックカフェで家族向けにするためにこのようにしたと書いています。また、恐らく今は既にやってないと思いますが、このマジックカフェの投稿当時(2009年)は個別で手順付きセットを販売してたようですね。

<THE JIGGER by Michael Kaminskas>

 これまでも何度か紹介してきたMichael Kaminskas氏が今年(2024年)に「THE JIGGER」という商品を限定品としてリリースしました。100個の限定品で既に完売しています。

THE JIGGER | mkprofessionalcups

For years people have been asking me to make a chopped version of a jigger. I

mkprofessionalcups

 

氏はこれまで、氏のサイトで、Jeff Case氏のジガーカップの手順と必要な道具をセットにした「Lemon Drop」という商品を販売していました。私はこの商品を購入しておりませんので、手順はわかりませんが、ギミックでないジガーカップを使った手順でPVをみるとDAN FLESHMAN氏と同じように最後にレモンが出てくる手順のようです。是非フル手順を見てみたいですね。再版されたら狙います(笑)

PVです。


一方で、今年発売された「THE JIGGER」はこれまでにない、Chop Cupタイプのジガーカップなのです!なるほど!これはさらに演技をより不思議にできそうな気がします。この商品には基本的な使い方やアイディアが説明された動画が付きますが、完全な手順等のは付きません、あくまでカップ(とオリーブ)の提供ということになります。とはいえ、基本的な扱いや、最後に液体を出すためのアイディアなどありがたい動画です。

 Michael Kaminskas氏はカップにせよウォンドにせよかなり品質に拘った方なので今回の商品もよくできています。日本製のジガ―を使ってくれているのもちょっとうれしいですよね。

 というわけで、今回はジガーカップを使ったカップ&ボールの商品を紹介しました。ジガーカップを使った手順は、スタイルとしてはいわゆるワンカップルティーンになりますが、ジガーカップの構造上、2つのカップが使えます。ですので、通常のカップで行うワンカップルティーンに比べ現象にバラエティを持たせることができるメリットがあります。さらに「THE JIGGER」のようにChop Cup機能を持たせることで現象の幅を増やすことができます。反対側へのロードが自然な形でできるのもよいと思います。また、カップの形状、サイズがコンパクトなのでポケットに入れて持ち運ぶことが楽で、営業などでテーブルを回るマジシャンにはありがたいのではないでしょうか。さらに、道具がジガーカップ、オリーブ、コルクと統一されており、お酒を飲む場などでは特にお洒落な気がします。以前紹介した、「スーパーシェイカー」や「Cocktail Surprise」と合わせて手順を作れるとさらに素敵な気がします(くどいですかね(笑))。バーマジシャンなどにはとても相性がいいと思いますが実際のところやってらっしゃるバーマジシャンの方とかいらっしゃいますか?(^O^)