maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

狗唐子の根付

2021-05-24 17:23:09 | 支離滅裂-物曼荼羅


20年位前に香港の石塘咀(セットンチュイ)道端の露店で買いました。
干物見たいな爺さんが、偽物の見本みたいな骨董を並べている露店の台の端っこに、ビスケットの空き缶らしき中に訳の判らん小物が雑然と放り込んであったんです。
一寸欠けのある翡翠のまがい物や、緑青が噴いた古銭、何かの金具等に混じってまして、気色の悪い汚れがこびりついて、不気味な栗色をしておりました。

これだけが何かいわくありげで、半可通を引っ掛ける高等戦術か?とも思いましたが、「ケェチェンア~?」と値段を訊くと、日本円で500円弱相当。
デザインが犬を抱いている人の様に見えたので、騙されるのも一興、洒落や!、と珍しく値切りもせずに買いました。
差し出した10HK弗札を念入りに検査した爺さんが、包みもせず裸でポイと渡してくれました。

汚れがネチネチするので、その辺を見まわしたら古新聞が有ったので、爺さんに目顔で断り、適当な大きさ千切ったのに包んでポケットに入れました。
どの途、良くて竹根、外れやったら練り物、何れにしても先ずは汚れを落さないとどうしょうも有りません。

ホテルの洗面所で石鹸をつけて洗ったのですが、汚れと石鹸が渾然一体となってトリモチ化してしもてねぇ。
特に臭いというワケでも無く、石鹸の匂いしかせんのやけど、泡は立たずネチャネチャ度が増すばかり、何の汚れか全く石鹸が効きません。
仕方が無いので、「シャンプー原液塗りつけ、ティッシュ包み、ポリ袋入れ。」の必殺技を一晩かけました。

翌朝、溶けて無くなってるかも知れんなぁ、と思いながら包みをほどき、お湯で洗いました。
幸い溶けもせず、正体は最初に見て想像してたのが当たり、犬を抱いた唐子でした。

歯ブラシで洗うと、オンヤ、プラスティックとちゃうぞ!象牙と違うか?、しかし象牙やったら汚れをそのままにして安売りしたりはせんやろ。
裏の裏を掻いて騙す気やったら、駄目元で、もっと値段吹っかけるやろ、まさかなぁ、と半信半疑ながら、手荒い事は少し控えて、汚れを落しました。

もしも象牙やったら、油っ気を取り過ぎて割れたらいかん、割れるかどうかは象牙に詳しくないので判りませんが、象牙言うても所詮歯。
何か塗らんといかんかなァ、と思ったものの何も無し、ホテル備え付けのヘヤーリキッドを塗りつけてタオルで磨けば、ちょっとは見れるようになりました。

帰国してから知り合いの判コ屋さんに見てもらうと「う~ん、象牙には間違い無いやろうけどなァ・・・」とその程度の物らしい。
それでも、これを見ると、今は亡き愛犬「どん」を思い出すのでございますよ。
そやから、値打ちは兎も角、私には大事な宝物。

2002/02/03 初出

[追記]2011/05/29
2008年1月2日に母を送り、相続も全て終わって残った荷物の整理をしていると、女持ちの懐中時計が出てきました。
箪笥の中にあったので分解掃除に出さないと駄目かな?と思いながらネジを巻いてみるとちゃんと動いたんです。
此れといって母の形見のようなものを持っていなかったんで、貰う事にしました。

紐をつけて狗唐子の根付につけると、丁度好い感じです。
どちらも長寿で大往生をした母親と愛犬「どん」、ますます大事な宝物となりました。
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2021/05/24 再録



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