maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

33-我友 Tom-U.S.A.1964-No.33(7/25)

2022-05-11 16:15:23 | 虚々実々-U.S.A.-1964

知り合えて良かった

私の本当?の派遣先である、San Mateo のクラブの Robert G. Amrine さんから電話が掛かって来ました。
「楽しんでますか?」
「はい、とっても!」
「実は、San Mateo で君を世話したいという家庭があるんだけど、どうかな?」
Roger家では本当の家族みたいにしてもらっているので、居心地はいいし、何の不満もありません。
それでも、どういう事情か判りませんが、断ってしまうのもどうかと思います。
「家族の方達と相談してみます」と一旦電話を切りました。
エフィに相談すると、8月21日からコラリアが大学の図書館のアルバイトと新学期の準備で、パル・アルトの寄宿舎に帰るそうです。
寂しくなるから良ければ居て欲しいんだそうです。
だけど「色々なところも経験したいだろうし short job で旅費も稼がなくてはならないだろうから、せめて、シスコを離れる数日前を一緒に暮らしてくれれば良い」と言ってくれました。
私も出来ればずっと居たいのですが、そうそうお世話になるのも申し訳有りません。

「実はこういう事情で・・・」と Robert G. Amrine さんに連絡すると、
「いいよ、一度君に会いたいって言ってるから、今日の午後、君の都合がよければ、そちらに行かせるよ」
一体どういうことで私なんぞを世話してくれる気になったんでしょうね?

パタパタパタと聞き慣れないエンジンの音がして、アメリカ人としては小柄な同い年くらいの青年が現われました。
GIカットにサッパリと刈り上げて、中々の男前。
Tom Hulstead(トム・ハルステッド) という名前だそうです。
はっきりした発音で、かなり頭の回転が速いんでしょうね、最初から結構話が通じます。
エフィが「まぁどうぞ、とお茶を出してくれました」
話を聞くと、トムのお母さんがサン・マテオの市役所に勤めていて、Sisiter City Association の設立準備の仕事をしているんだそうです。
市長から「姉妹都市の提携の話を進めている豊中から学生が来ている」と聞いて、「それなら家に泊まってもらって、色々豊中の話を聞きたい」と思ったけれど、何処に居るのか、どう連絡すればよいのか判らなくて、やっとアンダ-ソン牧師の線からAmrine さんまでたどり着いたんだそうです。
当の豊中市は勿論、仲立ちをしているS銀行の加州支店からも、種々の資料は来ているそうですが、生で話を聞きたいんですって。
私としても、元々が サン・マテオ に派遣された筈なのに、ズ~ッとサウス・サンフランシスコに腰を据えて、サン・マテオにいったのは数えるほど。
このままでは帰ってから「どんな所だった?」と訊かれても話のしようがありません。
これでいいのかなぁ?という気はあったんです。
色々教えてもらえるのなら願ったり叶ったり。
私の話ではとても参考にもならないと思いますが、お役に立てれば嬉しいですね。

しかし、市長もアバウトな性格のお方ですね。
何処にお世話になってるかチャンとお話したと思うけどなぁ、通じてなかったのかな?
仮免許の時にシェリフの事務所でロジャーさんちの住所も電話番号も書きましたよ。

それはともかく、このトムが飛び切りのイイ奴!
先ずエフィが気に入った。
「この辺には同じくらいの年齢の青年が居ないから、気が合ったら何時でも是非遊びに来てやってくれ」
まるで私、小学生扱いですね。
けど、嬉しいなぁ、その気持。
考えたら、アメリカに来て以来、同世代の男とはロクに話をしてないんですよ。
コラリアも親切で好きですけど、やっぱりね。

2時間余り、お互いの事を喋りまくりました。
といえば格好はいいんですが、まぁ、私はその積り。
トムは San Mateo college の生物学科の学生で母親と二人暮し。
お父さんは高校生の時に病気で亡くなった。
お姉さんは結婚してサンタクララに住んでいる。
お祖母さん(父方)は近くで一人暮らしをしている。
部屋は2つ余ってるからいつでも受け入れOKだそうです。

実はと秘密計画を話すと「そりゃぁイイ!働く所は探してやるよ、何んなら一緒に働こうか?」
と心強い事を言ってくれます。
市長が私のことを相当持ち上げて話したのかな?
けれども、さすがにお母さんは、市長の日頃の言動をよく知っているだけに、「話を鵜呑みには出来ない、面接試験をして来なさい。貴方が会って合格と思えば是非泊めてあげよう」とトムがやって来たんですって。
「なるほど!それで判定は?」
「勿論合格!」本当かなぁ??
一緒に夕飯を食べてゆけとエフィが進めましたが、「今日はおばあさんと約束があるので、あしたまた来ます」と灰青色のVWで帰って行きました。
VWはボルクス・ワーゲンと言うんですね。
確かに、ドイツ語ならフォルクス・ヴァーゲンで、日本でフォルクス・ワーゲンといっているのは国際重箱読み?

夕食が終って少しした頃、バタバタバタと聞きなれた音、なんと帰り道でアルバイト先を早くも見つけてきたんだそうです。
それでおばあさんと夕食をしてから、またやって来てくれたんですって。
さっき、山登りが好きという話をしていたら、シェラネバダの近くにある San Mateo County Counsil B.S.A. のキャンプ場のスタッフの仕事。
Robert James(ボブ) という高校時代の友達が働いていて、Milton E. Hinman さんというCounsilの役員も顔見知り、今から会いに行こうと気の早い事。
イイ奴に巡り合いましたね!

バタバタと一緒にサン・マテオまでヒンマンさんに会いに行きました。
仕事は Summer Camp に子供たちを連れてきたリーダーのサポート、早い話がお手伝い。
ヒンマンさんはヒョロリとした上品な紳士です。
「Out door の経験は?得意なのは?」
「刃物の扱い、火を燃やす事、何時でも何処でも眠れる事、9000ft.の山に全季節を通じて登った事が有る」
「ライフルと馬はどう?」
「両方とも経験が有ります」
空気銃を何度か撃ったことが有るのと、馬は子供の頃に乗った事があるだけなんですけどね。
「Good!」と無事採用決定。

馬に乗った経験というのは是。

「身の回りの基本的な装備さえあればいい、向うで必要な物は渡す」
既に粗方の話が出来ているみたいで、8月1日から8日まで来てくれと即決。
丁度その間スタッフが手不足になるそうです。
ヒンマンさんも応援に行くので、一緒に連れて行ってくれるというから楽勝です。
おまけに、1日7ドル食事つき!助かるなぁ。
日本なら多分メシ付き交通費のみ支給です。

「その頃は用事が会って一緒には行けないけど、ボブはいい奴だから、奴が居れば問題ないよ、電話しておくからね」
またうってつけの働き口があった物ですね。
さあ、そうなると楽しみです、ひょっとしてと思って、一応の道具立ては持ってきたんです。
水筒を忘れたのは抜かってましたけどね、アメリカでキャンプ出来るなんて、しかも給料をもらえるとは。

「どこかで水筒を買わなくっちゃ」
「余分のがあるから、古くても良かったら上げるよ」
「水さえ漏らなければ上等!」 「なら今からちょっと家に寄ってお母さんに会わないか。水筒を渡すよ」

「今晩は!」とお邪魔したら、凄く若々しいお母さんが迎えてくれました。
こじんまりしていますが、良く片付いた清潔感のあるお宅です。
トムの部屋に連れられて行って、大きな円盤型の水筒を渡されました。
これって、西部劇で馬の鞍にくくりつけてるのと同じですね。
湯タンポみたいな亜鉛メッキの板で出来ていて、栓はコルク。
毛布みたいな布が貼って有ります。
壁に立派なライフルがかけてあるので見ていたら、
下ろして渡してくれました。
本物を触るのは生まれて初めて。
「今度一緒に射撃に行こう!」
「エ~ッと、ライフルといっても空気銃しか撃ったことが無い」
「同じさ」
このライフルを見ると、どう考えても、同じとは思えません。
「もう遅いので」とお暇(イトマ)。
家に帰ると夜中近くになってました。
コラリアがソファに寝転がって、何か本を読みながら待っていてくれました。

トムは今日、サン・マテオとサウス・サンフランシスコを3往復してくれたんですね。

2003/05/06:初出
2022/05/11:再録

34-VWで遠乗り-1-U.S.A.1964-No.34(7/26)
U.S.A.64-menu


最新の画像もっと見る