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あれっ、何だあれ。
おい、僕は安全でタカをくくっていたが。
大勢、いつ急に、東北大震災のように。
発狂乱がかき立てられる。
こっちは火災、あっちは物の降下。
「危ない」、出るな、出るなっ!
発狂乱ごとく声が飛び散る、ああーっ、と言うごとく群衆の恐怖。
うめきと動揺を背に、悲鳴!
奥の者は波のごとく外に飛び出す、入り口の者は奥に逃げ出す。
みなは叫び、唸り、ただ記憶をするは、男女、子供、叔母、無数の見開かった瞳孔。
ひきつる蒼い白の頬、力一杯あけた口の悲鳴!
次の瞬間、群衆とともにある危険を痛感、余り脱兎のことく広場に走り出て。
転がるように対角の軒下に走る。
背後に、ド・ドーツと地響き。
馬鹿!
そっちじゃない。
女の子、子供は慌てざわめく。
「命がいらねぇのか?」
怒りの声を耳にかすめる。
こっちは火の渦、あっちは物の降下。
軒下に立て振り向く、高き家々は大きく揺らぎ。
水の流れの音が聞こえる。
全身の冷や汗びっしょりと、拭う暇もなく立ちすくんで。
安全地帯にたどり着く。
天災や大地震はいついかなる時に襲ってくるか分からない。
安全の道を確保することは大切。
外国からうらやまれた日本が安全な国でない。
どこへいったら安全の楽園地なのか?