マレさんの休日2

北国のアウトドアー&インドアー

「不動産小説」てジャンルありましたっけ?

2024年12月11日 | 読書

試験に備えて、不動産取引のシュミレーション中(予習)ですが、

手に取る小説も不動産がらみとなっています。

『狭小邸宅』(新庄 耕)

「狭小住宅」とは15坪ほどの敷地に建てられる3階建て、そう「ペンシルハウス」なんて言われますね。

主人公は若い不動産会社の営業マンですが、

さっぱり物件が売れないどころか、「案内」もなかかな入らない。

「武田あ お前!案内入ってないのに、よく昨日帰れたなあ!」出勤早々、課長の罵声が飛ぶ。

不動産屋の暗黒面やターゲットに至るこすからい案内テクニックなど、

参考にしてはならないが興味ある内容の数々。

それでも青年の青春小説としても読めます。

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蛇足ですが、バブル期に首都圏のペンシルハウスを処分して、

地方に豪邸を建てられた方を知っています。

次も同じ作者の作品です。

『地面師たち』(新庄 耕)

この小説は、被害額約55億円に上る「積水ハウス地面師詐欺事件」がモデルと言われています。

(乱暴に)要するに、土地の所有者になりすまし書類を偽造して、市場価格100億円という土地を獲物にする話。

極悪非道の禁じ手なんですが、地面師チームの側に立ってみるとハラハラどきどき、悪が芽生えそうな一冊。

ちなみに、この事件を契機に関連の法律が幾つか改正され、宅建試験の受験者を慌てさせたそうです。

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蛇足ですが、私の父親は不用意に「登記済権利証」を人に預け、札幌の土地をサギられて失ったことがありました。

お口直しに、次は

『眺めのいい部屋売ります』(ジル・シメント)

古いアパートの5階に住む老夫婦と1匹(ダックスフント)

エレベータ無しの5階までの階段が、そろそろきつくなり住み替えを考える。

眺めのいい部屋の売り出しと、住み替え物件探しの最中にドタバタ発生!

老夫婦と愛犬の危機と絆と・・

ほっこりしながら読めるコメディですね。

「不動産小説」もブラックばかりではない。

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蛇足ですか?・・・長くなるので後程また

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私には見えない『敵』が

2024年11月07日 | 読書

新聞を開いたら、大きめの見出しがあった。

映画『敵』の長塚京三、79歳での最優秀男優賞受賞

東京国際映画祭史上最高齢の快挙!

かなり以前に読んだ記憶が・・原作『敵』(筒井康隆)

三度目はR75ということで - マレさんの休日2

正直言って若い時には読んでもピンとこなかった。

ところが、2回3回と読む度に、つまり歳をとる毎に、

「老人文学の最高峰」と言われる所以が分かってきた。

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妻に先立たれながらも、自分なりの覚悟を持って生きる老人。

本人には見えない「敵」

読者には、しっかりと見えてくる「敵」

ひたひたと押し寄せる「敵」

映画主演の長塚京三さんは79歳で、私も同じ歳です!

どうやら、私にも「敵」が迫っているらしい?

怖いですね。

これは70歳以上読書禁止指定でもいいかも知れない。

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ついでに『大いなる助走』(筒井康隆)についてもチョットだけ

文学賞選考にまつわる裏話満載の小説

あくまでも小説(フィクション)としてあるが、

文壇にいて普通はこんなことは書けない。

それだけに読む者にとっては面白い。

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『時をかける少女』から『敵』まで

SF少女小説から老人文学まで、

変幻自在の筒井康隆、好きな作家の一人です。

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オンブレ (スペイン語で「男」)

2023年08月16日 | 読書

アーサー・C・クラーク『楽園の泉』

SF界の3大巨匠の中でも科学的な知見は抜きんでている。

電離層反射を利用して長距離通信をしていた頃に、

軌道上の静止衛星を利用する通信を提唱。先見の明すごい!

『2001年宇宙の旅』を手始めに随分と読んできた。

後年スリランカに移り住んで書いたのが、軌道エレベータを素材にした『楽園の泉』

効率の悪いロケットに代わる月(宇宙)への移動手段の話です。

スリランカの歴史をベースに、科学的ではありながら抒情的な味わいのあるお話です。

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クラーク作品をもう一つ

滅亡した地球を離れた人類の遺伝子情報播種船が、

遥か昔に地球人が移民した惑星に到着・・・

こうした「大きな話」が好きだから、クラークとかアシモフとかを読みたくなるのですね。

特にクラークは説得力のある遠未来を語ってくれるように思います。

アリゾナの荒野を行く七人と言っても、黒沢明監督とは関係ありません。

窮地に陥った一行を身を挺して救ったのはオンブレ(男)

多くを語らず、無理に自分を理解してもらおうともせず、

誤解もそのまま今を見て先を見通す。

アパッチ同様とさげすまれ、駅馬車で同席もしたくないと言われながらも・・

最後に彼の本当の考え(本性)が分かります。

作者は差別や被征服民族についての同情や、正義について声高に語ってはいません。

が、おのずと伝わってくるし考えさせられる。

プラカードや旗を持って叫びまわって何かを主張するのは、

半分以上ストレス解消に見えますね。

エルモア ・レナードさすがです。

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ところでこの訳者の書いた小説は一冊(『パン屋襲撃』)読んだきりです。

ノーベル賞の時期に騒ぐ人たちのせいかも知れませんが、

私にはちょっと偏見に近い先入観があるようです。

でも『オンブレ』の翻訳はうまいね!

こちら(翻訳)の才能で、本職はこれでしょう。

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涙腺崩壊『石を積む人』

2023年05月25日 | 読書

『石を積む人』(エドワード・ムーニー)

亡くなった妻との約束を果たすために、

来る日も来る日も石塀の石を積む老人の話です。

いろんな場所から石を積む老人(夫)に当てた、亡妻の手紙が次々と見つかる。

長年連れ添った妻には、夫の行動や思考が読まれていますね。

これがいちいち感動的

絡んでくる若者の行動や変化も感動的

が、最後に積もうと思っていた石がどうしても見つからない!

そして何年もたってから「最後の石」が・・・の手で積まれる。

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読了寸前、自分はこんなにも涙もろかったのかなあ?と思う。

ネタバレは無粋なので、感想はここまで

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ところで半世紀以上も夫婦をやっていると、先を読まれるのは勿論ですが、

多くを語らなくても、いや言葉に出さなくても思いは伝わる。

例えば、うちの相方が「顎をクイッ!」としゃくるだけで、

「テレビが見えないので、早くどいてください!」

と言っていることが分かる。

ベテラン夫婦のなせる業

・・・ゥン、クイッ! 

はいはい

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あと2冊紹介したかったのですが後日に。

ああ忙しい

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グラウンドと宇宙の戦いは

2023年05月21日 | 読書

中西太さんが亡くなった、ご冥福をお祈りします。

少年時代の憧れは、西鉄ライオンズの怪童中西の豪快なバットスイングと、

阪神 村山投手のザトペック投法

恥ずかしながら一時期二刀流だった自分は、全力疾走が過ぎて自滅

力を抜くことを身に着けていたら、もっと活躍できたかも知れない。

北海道移転に伴い、いつしか西部ライオンズフアンから日ハムフアンに

フアンと言うよりは、地元チームが負けると気分が良くないのです。

高校野球の応援と同じかな?

で、1冊目は『エンジェル ボール』(飛騨俊吾)

昔の野球少年には楽しめます。

広島カープファンには感涙ものの必読書

思うに12球団各チーム毎の「優勝物語」を3年に一度ほど改訂しながら出版してくれると、

ストレスの解消にもなるのではないでしょうか。

そう言えば、阪神タイガースに救世主が現れ優勝する映画が有りましたね。

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でも、小さなグラウンドでの争いにばかり気を取られていてはいけません。

人類は今、核戦争への突入を自制することが出来るのでしょうか?

さらに新しい戦いは、宇宙兵器や電脳空間での破滅的な攻撃が可能になっています。

2冊目は『オービタル・クラウド』(藤井太洋)

宇宙空間でサイバーテロ計画が密かに進行していた!

人工衛星(通信、GPS等)が無力化されると、

耳と目がふさがれてしまと言うことですね。

これを阻止すべく若き天才日本人が活躍するお話です。

が、ハイテク技術の専門用語が多出します。

まるで情報処理試験の復習の感がありました。

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宇宙まで高度を上げなくても上空での「電磁パルス攻撃」で、

コンピュータに依存する機器やシステム、インフラが、

一斉にダウンしたら・・

SFの世界(近未来)は数年先、

いや数時間後の世界かもしれませんよ。

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