マレさんの休日2

北国のアウトドアー&インドアー

オンブレ (スペイン語で「男」)

2023年08月16日 | 読書

アーサー・C・クラーク『楽園の泉』

SF界の3大巨匠の中でも科学的な知見は抜きんでている。

電離層反射を利用して長距離通信をしていた頃に、

軌道上の静止衛星を利用する通信を提唱。先見の明すごい!

『2001年宇宙の旅』を手始めに随分と読んできた。

後年スリランカに移り住んで書いたのが、軌道エレベータを素材にした『楽園の泉』

効率の悪いロケットに代わる月(宇宙)への移動手段の話です。

スリランカの歴史をベースに、科学的ではありながら抒情的な味わいのあるお話です。

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クラーク作品をもう一つ

滅亡した地球を離れた人類の遺伝子情報播種船が、

遥か昔に地球人が移民した惑星に到着・・・

こうした「大きな話」が好きだから、クラークとかアシモフとかを読みたくなるのですね。

特にクラークは説得力のある遠未来を語ってくれるように思います。

アリゾナの荒野を行く七人と言っても、黒沢明監督とは関係ありません。

窮地に陥った一行を身を挺して救ったのはオンブレ(男)

多くを語らず、無理に自分を理解してもらおうともせず、

誤解もそのまま今を見て先を見通す。

アパッチ同様とさげすまれ、駅馬車で同席もしたくないと言われながらも・・

最後に彼の本当の考え(本性)が分かります。

作者は差別や被征服民族についての同情や、正義について声高に語ってはいません。

が、おのずと伝わってくるし考えさせられる。

プラカードや旗を持って叫びまわって何かを主張するのは、

半分以上ストレス解消に見えますね。

エルモア ・レナードさすがです。

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ところでこの訳者の書いた小説は一冊(『パン屋襲撃』)読んだきりです。

ノーベル賞の時期に騒ぐ人たちのせいかも知れませんが、

私にはちょっと偏見に近い先入観があるようです。

でも『オンブレ』の翻訳はうまいね!

こちら(翻訳)の才能で、本職はこれでしょう。

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涙腺崩壊『石を積む人』

2023年05月25日 | 読書

『石を積む人』(エドワード・ムーニー)

亡くなった妻との約束を果たすために、

来る日も来る日も石塀の石を積む老人の話です。

いろんな場所から石を積む老人(夫)に当てた、亡妻の手紙が次々と見つかる。

長年連れ添った妻には、夫の行動や思考が読まれていますね。

これがいちいち感動的

絡んでくる若者の行動や変化も感動的

が、最後に積もうと思っていた石がどうしても見つからない!

そして何年もたってから「最後の石」が・・・の手で積まれる。

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読了寸前、自分はこんなにも涙もろかったのかなあ?と思う。

ネタバレは無粋なので、感想はここまで

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ところで半世紀以上も夫婦をやっていると、先を読まれるのは勿論ですが、

多くを語らなくても、いや言葉に出さなくても思いは伝わる。

例えば、うちの相方が「顎をクイッ!」としゃくるだけで、

「テレビが見えないので、早くどいてください!」

と言っていることが分かる。

ベテラン夫婦のなせる業

・・・ゥン、クイッ! 

はいはい

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あと2冊紹介したかったのですが後日に。

ああ忙しい

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グラウンドと宇宙の戦いは

2023年05月21日 | 読書

中西太さんが亡くなった、ご冥福をお祈りします。

少年時代の憧れは、西鉄ライオンズの怪童中西の豪快なバットスイングと、

阪神 村山投手のザトペック投法

恥ずかしながら一時期二刀流だった自分は、全力疾走が過ぎて自滅

力を抜くことを身に着けていたら、もっと活躍できたかも知れない。

北海道移転に伴い、いつしか西部ライオンズフアンから日ハムフアンに

フアンと言うよりは、地元チームが負けると気分が良くないのです。

高校野球の応援と同じかな?

で、1冊目は『エンジェル ボール』(飛騨俊吾)

昔の野球少年には楽しめます。

広島カープファンには感涙ものの必読書

思うに12球団各チーム毎の「優勝物語」を3年に一度ほど改訂しながら出版してくれると、

ストレスの解消にもなるのではないでしょうか。

そう言えば、阪神タイガースに救世主が現れ優勝する映画が有りましたね。

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でも、小さなグラウンドでの争いにばかり気を取られていてはいけません。

人類は今、核戦争への突入を自制することが出来るのでしょうか?

さらに新しい戦いは、宇宙兵器や電脳空間での破滅的な攻撃が可能になっています。

2冊目は『オービタル・クラウド』(藤井太洋)

宇宙空間でサイバーテロ計画が密かに進行していた!

人工衛星(通信、GPS等)が無力化されると、

耳と目がふさがれてしまと言うことですね。

これを阻止すべく若き天才日本人が活躍するお話です。

が、ハイテク技術の専門用語が多出します。

まるで情報処理試験の復習の感がありました。

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宇宙まで高度を上げなくても上空での「電磁パルス攻撃」で、

コンピュータに依存する機器やシステム、インフラが、

一斉にダウンしたら・・

SFの世界(近未来)は数年先、

いや数時間後の世界かもしれませんよ。

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ハイカイつながり?

2023年01月12日 | 読書

寒い時期の山麓ハイカイも、毎日は続けられない。

近頃は歩きすぎると腰に来ます。

ということで、たまには読書を

『脱出記』(S.ラウイッツ)

第二次世界大戦中のシベリア強制収容所から脱出

6人の仲間と氷点下のシベリア、灼熱のゴビ砂漠、世界の屋根ヒマラヤ山脈を越え、

6000kを歩いてインドへ逃れる。

俄かに信じがたい人間の執念と英知

追い込まれて発揮する人間の力って、こんなにあるんだろうか?

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『ユナイテッド93』

アメリカの同時多発テロでハイジャックされたが、

唯一標的に達しなかった1機の乗客や関係者の証言と、

刻々と変わる状況経過をまとめた作品です。

乗客たちは、多くの人々をテロの犠牲から護った英雄として描かれています。

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山麓ハイカイつながりでしょうか?

どうも「冒険譚」のような話に目が向いてしまうようです。

二作品に共通するのは、ノンフィクションということと、

事実から時間が経過するとともに、

「超人や英雄」の話としてデフォルメされてきたような気がします。

でも、ワクワクしながら  ちょっぴり勇気をもらえた気がしますね。

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そんなことより、

この寒空に街で見かけた。

せめて帽子とマフラーでも・・・どなたか

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「想」を得たと言えばそうですが

2022年12月21日 | 読書

この二冊、前に読んだのにもう一度買ってしまった。

怖いですね。

もっと怖いのは、初めての時の様にまた新鮮に読めること。

『特別な一日』(浅田次郎 他の短編集)

中に太宰治の作品まで入っていて、収録の基準はナゾ?

ですが、粒選りの作品群

中でも最後の『大阪近鉄バファローズ!』(永沢光雄)には泣かされました。

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『芥川』は芥川賞のパク・・いやパロデイ・・いや「想」を得た?

作者は医師ですが、難解な医療用語や医療現場の仕組みに戸惑う、

患者や家族の視点で書いているところに好感が持てます。

余談ですが、芥川龍之介は日本の古典(宇治拾遺や今昔物語集など)から「想」を得た作品が多いですね。

翻訳家としても優れた日本の文豪の中には、

外国文学から勝手に「想」を得て名を成した方もいますね。

今の様な情報通信の発達した社会では、

すぐにネタバレして炎上するかも知れませんね。

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そんなことより、

家のあちこちで(勝手に)足湯が

ビニール袋を取ってみると、

肩身の狭い日陰者の割にはドヤ顔のシイタケ

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