心理力動的心理療法
・力動論に基づく心理療法。
・精神分析を起源とし、
精神分析の考え方を基礎として発展してきた多様な心理療法群。
*精神分析
・19世紀末、Sigmund Freudが創設。
・無意識的な心理過程の探求を中心とした心理療法。
・百数十年の心理療法の歴史において、大きな影響力を持ち続け、
多様な心理療法が生み出される母胎となってきた。
・対話によって対象者の気づきを拡張していくことを
重要な目標としている現代の多くの心理療法に、
精神分析に由来するアイデアや技法が、
顕在的、潜在的に取り入れられている。
・精神分析は、
自我心理学派、対象関係学派、自己心理学派、対人関係学派など、
多様な学派を生み出しながら発展してきた。
・精神分析の考えに、基本的に基づきながらも、
理論的・技法的なかなりの改訂が加えられた
精神分析的な心理療法も多く発展してきた。
それらを総称して「心理力動的心理療法」とよぶ。
1 基本原則、
〇本質
「十分には体験されていない自己の側面の探求」(シェドラ、2010)
・自己の側面が治療関係の中に姿を現すような仕方で、
治療関係の中で変容されるような仕方で、その探求に取り込むこと。
〇基本原則 (ギャバト、2010)
・精神生活の大部分は無意識である。
・幼少期の経験は、遺伝的要因と相まって成人期を決定する
・患者の治療者に対する転移が主な理解の源となる。
・治療者の逆転移は、患者が他者に引き起こすものについて適切な理解を与える。
・治療過程に対する患者の抵抗が、治療の主な焦点になる。
・症候や行動は種々の機能を果たしており、
それを決定するのは複合的で、多くの場合無意識的な力である。
・心理力動的治療者は、患者が
自分は真っ当でかけがえのない存在だという感覚に到達できるよう援助する。
・心理力動的心理療法では、
幼少期における養育者との関係の在り方が、
のちの心理的・行動的問題の発生における重要な要因となる。
・人は愛着の対象である養育者との関係の中で、
感情調節やメンタライゼーションの能力を発達させていく。
・相互作用のパターンや特定の体験を回避するパターンが形成され始める。
・のちの様々な人間関係を形成しながら、それらから修正的な影響を被りながら、
複雑な発達を遂げる。やがては、
面接室におけるセラピストとクライエントの人間関係においても
認められるようになる。
・その現象を「転移」と呼んで特に重視する。
*メンタライゼーション
・自分や他人の感情に注意を向けたり、
行動がその人の心の状態から起こるということを理解したりする
一連の心の動きのこと。
*転移
・クライエントはセラピストを幼少期における養育者のような存在として知覚するが、
単に一方的に過去の養育者の像をセラピストに投げかける「歪曲された知覚」を
しているわけではない。
・セラピストとクライエントとの二者の相互作用の中で、
徐々に過去の養育者との関係に端を発する対人相互作用のパターンが
実際に発展してくる、その二者関係における現実を、
クライエントなりにありのままに知覚する。
それを、「転移」と言う。
・現在の心理力動的心理療法の考え方では、
転移はセラピストとクライエントが共同で構築しているものとする。
(二者心理学)
・セラピストは、クライエントが訴える問題の背景で働いている心理力動
を理解し、修正しようと努める。
*心理力動
・早期に端を発する対人相互作用のパターンや体験回避のパターン
・修正のための働きかけの中で最も重視されるのは「解釈」
・クライエントの心理力動を変容させるうえで、現在、
解釈とともに重視されているものの一つに、「修正情動体験」
〇典型的な解釈
・「防衛」「不安、恥などの不快な感情(防衛の動機)」「防衛された思考、感情、願望など」
の3項を結び付けるもの (葛藤の三角形)や、
「現在の生活場面における人間関係」「今ここの治療関係」「過去の養育者との関係」
の3項を結びつけるもの (人の三角形) がある。
〇修正情動体験
・セラピストの振る舞いが、
クライエントの問題をはらんだ対人関係のパターンを良い意味で裏切るものになることにより、
クライエントに安心感を伴う新たな体験を生じさせる。
・心理力動的心理療法は、かつては、
冷静で中立的な態度で、ほぼ解釈に限った介入をすることが推奨されていたが、
現在では、
より共感的で温かい態度で柔軟に多様な介入を工夫することが重視されている。
2 過程と技法
・心理力動的心理療法と、認知行動療法、
それぞれの過程と技法を比較した実証的研究により、
心理力動心理療法を、認知行動療法から区別する7つの特徴を指摘。
・感情と情動表出に焦点づける。
・特定の話題を避けたり、治療の進展を妨げたりする努力を探求する。
・繰り返し生じる行動、思考、感情、体験、関係のパターンを同定する。
・過去の経験を強調する。
・対人的な体験に焦点づける。
・治療関係を強調する。
・願望、夢、空想を探索する。
3 エビデンス、適用、限界
・系統的なレビュー(世界中の研究データを探してまとめたもの)によれば、
「経験的に支持されている」とされる他の諸療法と比較して、
同程度の効果量があることが示されている。(シェドラ、2010)
・ランダム化比較試験により、心理力動的心理療法は、
うつ病性障害、不安障害、身体化障害、摂食障害、物質関連障害、
境界性パーソナリティ障害、C群パーソナリティ障害に
適しえることが示されている。
・強迫性障害は、心理力動的心理療法のみではよくなりにくいことが知られている。
アルコールや薬物の乱用者も、乱用がある程度コントロールされないうちは
心理力動的心理療法から受益する可能性は低い。
*ランダム化比較試験
・研究対象となる人を無作為(ランダム)に二つの集団に分けて比べる研究方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『フロイトさんは偉大です・・』
功績は大きいですね・・
(2016年8月 夜 撮影)
パパさんお気に入りの「両手伸ばしマリン」です。
・力動論に基づく心理療法。
・精神分析を起源とし、
精神分析の考え方を基礎として発展してきた多様な心理療法群。
*精神分析
・19世紀末、Sigmund Freudが創設。
・無意識的な心理過程の探求を中心とした心理療法。
・百数十年の心理療法の歴史において、大きな影響力を持ち続け、
多様な心理療法が生み出される母胎となってきた。
・対話によって対象者の気づきを拡張していくことを
重要な目標としている現代の多くの心理療法に、
精神分析に由来するアイデアや技法が、
顕在的、潜在的に取り入れられている。
・精神分析は、
自我心理学派、対象関係学派、自己心理学派、対人関係学派など、
多様な学派を生み出しながら発展してきた。
・精神分析の考えに、基本的に基づきながらも、
理論的・技法的なかなりの改訂が加えられた
精神分析的な心理療法も多く発展してきた。
それらを総称して「心理力動的心理療法」とよぶ。
1 基本原則、
〇本質
「十分には体験されていない自己の側面の探求」(シェドラ、2010)
・自己の側面が治療関係の中に姿を現すような仕方で、
治療関係の中で変容されるような仕方で、その探求に取り込むこと。
〇基本原則 (ギャバト、2010)
・精神生活の大部分は無意識である。
・幼少期の経験は、遺伝的要因と相まって成人期を決定する
・患者の治療者に対する転移が主な理解の源となる。
・治療者の逆転移は、患者が他者に引き起こすものについて適切な理解を与える。
・治療過程に対する患者の抵抗が、治療の主な焦点になる。
・症候や行動は種々の機能を果たしており、
それを決定するのは複合的で、多くの場合無意識的な力である。
・心理力動的治療者は、患者が
自分は真っ当でかけがえのない存在だという感覚に到達できるよう援助する。
・心理力動的心理療法では、
幼少期における養育者との関係の在り方が、
のちの心理的・行動的問題の発生における重要な要因となる。
・人は愛着の対象である養育者との関係の中で、
感情調節やメンタライゼーションの能力を発達させていく。
・相互作用のパターンや特定の体験を回避するパターンが形成され始める。
・のちの様々な人間関係を形成しながら、それらから修正的な影響を被りながら、
複雑な発達を遂げる。やがては、
面接室におけるセラピストとクライエントの人間関係においても
認められるようになる。
・その現象を「転移」と呼んで特に重視する。
*メンタライゼーション
・自分や他人の感情に注意を向けたり、
行動がその人の心の状態から起こるということを理解したりする
一連の心の動きのこと。
*転移
・クライエントはセラピストを幼少期における養育者のような存在として知覚するが、
単に一方的に過去の養育者の像をセラピストに投げかける「歪曲された知覚」を
しているわけではない。
・セラピストとクライエントとの二者の相互作用の中で、
徐々に過去の養育者との関係に端を発する対人相互作用のパターンが
実際に発展してくる、その二者関係における現実を、
クライエントなりにありのままに知覚する。
それを、「転移」と言う。
・現在の心理力動的心理療法の考え方では、
転移はセラピストとクライエントが共同で構築しているものとする。
(二者心理学)
・セラピストは、クライエントが訴える問題の背景で働いている心理力動
を理解し、修正しようと努める。
*心理力動
・早期に端を発する対人相互作用のパターンや体験回避のパターン
・修正のための働きかけの中で最も重視されるのは「解釈」
・クライエントの心理力動を変容させるうえで、現在、
解釈とともに重視されているものの一つに、「修正情動体験」
〇典型的な解釈
・「防衛」「不安、恥などの不快な感情(防衛の動機)」「防衛された思考、感情、願望など」
の3項を結び付けるもの (葛藤の三角形)や、
「現在の生活場面における人間関係」「今ここの治療関係」「過去の養育者との関係」
の3項を結びつけるもの (人の三角形) がある。
〇修正情動体験
・セラピストの振る舞いが、
クライエントの問題をはらんだ対人関係のパターンを良い意味で裏切るものになることにより、
クライエントに安心感を伴う新たな体験を生じさせる。
・心理力動的心理療法は、かつては、
冷静で中立的な態度で、ほぼ解釈に限った介入をすることが推奨されていたが、
現在では、
より共感的で温かい態度で柔軟に多様な介入を工夫することが重視されている。
2 過程と技法
・心理力動的心理療法と、認知行動療法、
それぞれの過程と技法を比較した実証的研究により、
心理力動心理療法を、認知行動療法から区別する7つの特徴を指摘。
・感情と情動表出に焦点づける。
・特定の話題を避けたり、治療の進展を妨げたりする努力を探求する。
・繰り返し生じる行動、思考、感情、体験、関係のパターンを同定する。
・過去の経験を強調する。
・対人的な体験に焦点づける。
・治療関係を強調する。
・願望、夢、空想を探索する。
3 エビデンス、適用、限界
・系統的なレビュー(世界中の研究データを探してまとめたもの)によれば、
「経験的に支持されている」とされる他の諸療法と比較して、
同程度の効果量があることが示されている。(シェドラ、2010)
・ランダム化比較試験により、心理力動的心理療法は、
うつ病性障害、不安障害、身体化障害、摂食障害、物質関連障害、
境界性パーソナリティ障害、C群パーソナリティ障害に
適しえることが示されている。
・強迫性障害は、心理力動的心理療法のみではよくなりにくいことが知られている。
アルコールや薬物の乱用者も、乱用がある程度コントロールされないうちは
心理力動的心理療法から受益する可能性は低い。
*ランダム化比較試験
・研究対象となる人を無作為(ランダム)に二つの集団に分けて比べる研究方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『フロイトさんは偉大です・・』
功績は大きいですね・・
(2016年8月 夜 撮影)
パパさんお気に入りの「両手伸ばしマリン」です。
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