6年ぶりに観た、ジョン・ロイド・ヤング!!!
JERSEY BOYSのオリジナル・ブロードウェイキャストで、フランキー役でトニー賞、主演男優賞も獲得しているジョン・ロイド・ヤングが、今年1月から、再びブロードウェイの舞台に戻ってきています。
久しぶりに見る伝説のフランキー役は「ずいぶん小柄な人だったのだな」…というのが第一印象。記憶の中では170センチぐらいの人、として残っていたのですが(笑)実際には165センチぐらいかな…実際のフランキー・ヴァリに近い体型でした。
そして、歌声も素晴らしく、高音も非常に力強く、こちらも実際のフランキー・ヴァリに近いと思いました。
いや、それよりも…期待はしていたけれど、その期待をはるかに凌ぐほど素晴らしかったのが、彼の演技ですよ!
6列目のど真ん中の席だったこともあって、演技の細かいところのよくわかる場所だったのですが…とにかく、表情の豊かさといい、ちょっとした動作に込めるニュアンスの豊かさといい…「これはもう、この役はジョン・ロイド・ヤング意外にはあり得ない!」と思わないではいられませんでした。
ブロードウェイに出るのは今月末までだそうですが、その後はどうなるんでしょう!?とにかく、今月中にNYに行かれる方は、ぜひぜひJBを観てくださいね!
この貴重なチャンスを逃さないで!!!
ジョン・ロイド・ヤングの演技は、あんまり大きくはないです。激高する場面も、特に声を張り上げるわけでもないし、むしろ抑え目に台詞を言うんですが、とにかく「神から与えられた」とも思える、あの顔の表情の豊かさがものを言うんですよね…「ああ、天性の役者だな!」と、何度も溜息が出てしまいました。
そして、第2幕になると…私はいろいろなことを思い出していました。
ここ数年、ここのブログで、他のJBファンの人たちと、このストリーのテーマについて、それぞれのキャラクターについて、たくさん語り合いました。他の方の、興味深い解釈にふれて、あらためてこのストリーの奥深さとショーそのものの魅力の大きさを実感させられてきたわけですが…
なんか、ジョン・ロイド・ヤングの演技を見ていると、この中に、すべての「答え」があるようで、感動と興奮で胸が一杯になりました。
たとえば、トミーとの確執にしても、ジョンは、例の恋人をめぐる一件のあとは、トミーに対しては、もう「顔も見たくない」ような感じで(実際、そうでしょうね)絶対に目を合わせようとしないんですね。ジップの地下室のシーンで、これまでの思いを口にするシーンでも、怒りというよりは「おまえのような人間とはやっていられない」的な、絶望感のほうを強く表現しているようでした。そして、ここでも、あんまりトミーの目を見ていませんでした。しかし、トミーの実際の借金額を訊く段になると、非常にシリアスな表情になって、しっかりトミーの目を見据えるのです。
トミーの「闇」から完全に抜け出さなければ、という強い決意と…、一方では、あの独特の古い世界の中で、まぎれもなくトミーの力に助けられていた事実を無視するわけにはいかないわけで…とにかく、トミーの借金は自分が責任を持つことで相殺しようとするフランキーの思いが非常に明確に伝わってきました。
実は今日、JBのファンでニュージャージー在住のオードリーさんという方に、彼らの生まれ育った場所や、音楽活動をしていた店などを、半日かけて案内してもらいました。
ニュージャージーの古い地域なんて、こういう機会でもなければ目にすることができませんし、本当に面白い話がきけて大興奮!フランキー・ヴァリが生まれ育ったプロジェクト(低所得者用住宅)も今も残っていました。【追記:映画に出てくるフランキーのアパートは、実際にこの場所で撮影されました】
これについては、あらためて書きますが、興味深かったのは…JBの中にもありますが…トミーに命令されて「事件」の見張り役をしていたのがわかって、警察に呼ばれ、取り調べの際に暴行を受けたことがあります。(まぁ、あの時代ですから)舞台では、軽く表現されているだけですが…実際には、全身が血だらけになるほどの暴行だったそうです。血だらけになって帰宅したフランキー少年の姿を見て、父親は号泣しました。フランキー少年は、父親が泣く姿を目にしたのは、後にも先にも、その時が初めてで、その姿を見て、「もう絶対に悪いことはしない」と固く心に誓ったそうです。
親からも日常的に虐待を受けていたと言われるトミーとは違って、フランキー少年の場合は、貧しくはあっても家族の愛に恵まれていた環境だったと言えます。
ジョン・ロイド・ヤングの演技の話に戻りますが、ニックとの関係についても、ニックが「抜ける!」と言いだしたとき、「また、おまえの戯言かよ」的な顔をするのですが、ニックが、フランキーとボブの「陰の契約」のことを口にすると、顔色が変わって慌てふためきます。これも、他のフランキー役はやらなかった気がします。(もっとも「やっていたかもしれないけれど、伝わってこなかった」だけかも)
今日、ニュージャージーを案内してもらったとき、ある程度の成功を得てからのボブ・ゴーディオやニック・マッシの住んでいた家を案内されましたが、自分で作曲もし、フォーシーズンズ以外のアーティストにも関わっていったボブ・ゴーディオの家が「ほぼ御殿」だったのに対し、ニック・マッシの住まいは庶民的なものでした。彼らの「ジャージー契約」というのが、こういうところにも顕著に表れていたのだろう…というのがオードリーさんの解釈でした。確かに…これも、舞台からは見えにくい部分です。
そして、「君の瞳に恋してる」のシーン…ここがまた痺れるのだわ(!)
レコード会社を無視して、独自のやり方でプロモーションを始めたという裏事情もあり、フランキーは、緊張した面持ちで歌い始めるし、ボブも不安げにそれを見守るのですが、例のホーンセクションが登場したとき、ジョン・ロイド・ヤングは、一瞬「欲しかった玩具が手に入った子ども」のような、屈託のない、弾けるような笑顔をボブに向けるのですよ。ほんの一瞬なんですが…凄いわ、ここのシーン!!こういう、繊細な演技もジョン・ロイド・ヤングなればこそ可能なんでしょう。もう~「素晴らしい!」この一語に尽きます…
ここのブログでも、フランキーにとっての「ホーンセクション」は「何」だったのか…というテーマで盛り上がったことがありましたが、ジョン・ロイド・ヤングが、ひとつの「答え」を明確に見せてくれた気がしました。~もうねぇ、思い出しただけで震えるわ(笑
あとは、ジョン・ロイド・ヤングの演技が、他の役の俳優の演技にも少なくない影響を与えているように感じました。特に、ボブ役のドリュー・ゲーリング。今の彼は、単に「顔と声が美しいだけ」の兄ちゃんではありませんね(笑)非常に、ニュアンスが豊かな演技をするようになってきています。また、アンディ・カールのトミーも「なんとか我慢できるレベル」になっていました。昨年の1月に見たときは「許し難いレベル」でしたから、まぁ、よくなってきていると思いました。
マットのニックはね~、オードリーさんも「なんで彼がいつまでもいるんでしょうね」と言われてましたが、まぁ…そういうことですよ(苦笑
ということで、とりあえず、今日のところは、ここで一旦終了します~
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