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And This Is Not Elf Land

ステージからスクリーンへ(7)



謎の「男」(別名「猿回し」)とは?


おそらく映画の編集で採用されなかったシーン。


映画では、ニックの出所をメンバーが迎えに行きますが、トミー、フランキーのほかにもう一人の男性がいます。ニックは「こいつ誰?」みたいな表情をしますが、その男が「誰」なのか、映画では説明されないで終わります。

また、ジョーイがボブ・ゴーディオを訪ねたとき、ジョーイは「スリー・ラヴァーズに入らないか?ちょうど猿回しをやめさせたところで、メンバーを探しているんだ」という内容のことを告げます。

ここも、実際のところ、「猿回し」って何のこと、誰のことなのか…謎のままであります。


この映画作品全体としては、エピソードとエピソードの間に起きたであろうと思われることは観る人の想像に任されているところもあり、少なくともトミーがメンバー探しに躍起になっている場面は見せられることから、観ている側は「ま、いろいろあったんだろうな」ぐらいで、さほどストレスを感じないでいることはできます。

この映画は、ほぼ舞台ミュージカルのとおりに話が進行していますので、そこから考えると…おそらく、この謎の男はフォー・ラヴァーズ時代に実際にメンバーだったハンク・マジュースキをモデルにしたキャラクターだろうと思います。(この役者はHank役としてクレジットされている)

舞台では、ニックが出所してすぐにハンクを4番目のメンバーとして迎え入れ、トミーが「この男はコメディのセンスがある。これからは全編音楽とコメディで行く!」と宣言するのです。この頃のFour Loversのライブはburlesque(日本で言う「演芸ショー」のような感じかな?)のようなものもあったようです。ニックが「何考えてるんだ!?この1か月でローマンズ、ヴィレッジ・ヴォイセズ…アンドリュー・シスターズの真似までやったんだぜ」と不満を言うのですが、トミーは「グループを動かすってのはこういうことだ!」とあくまでも強気なのでした。

そして、ネバダ州のクラブで、猿のマスクをかぶったハンクを加えてI Go Apeを演奏するのですが(トップの写真。これはロンドンプロダクションのものです。中央でおどけたポースをとっているのがフランキー。ハンクは向かって左端。猿のマスクはあまり見えませんが)客が引いてしまって帰っていきます。

ここは舞台ミュージカルの中でももっともコミカルなシーンの一つでもあります。客が帰ってしまって、フランキーやニックは「やってられない~」といった表情で演奏をやめるのに、トミーだけは演奏を続ける…ここのトミーの「ボケ倒し」が、昔懐かしいクレイジー・キャッツとか、あの辺りを思い出していつも笑ってしまいます。


ニック:みんな帰っちまったぜ!

ハンク:ああ、帰ったとも!ここの田舎者には俺の芸のニャアンスが分からなかったのさ!

トミー:そうか、このニュアンスならどうだ。猿の衣装と一緒にとっとと消えやがれ!

(ここのトミーの変わり身の早さも好きだ)


この次に、ボーリング場でジョーイと話すシーンになります。映画では、当時のボーリング場の「舞台裏」を目にすることができて、なかなか楽しかったですね。


ハンク・マジュースキの「猿のシーン」は、映画でも、舞台版と同じところに入れるつもりで、おそらく撮影もされていたのではないかと思うのですが、結局、そのシーンはカットされたのでしょう。

DVDの「おまけ映像」として入れてくれればいいのですが…
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