湧別原野オホーツク100kmクロスカントリースキー大会の湧別原野コース(85km)は、標高650mの天狗平スキー場をスタートし、小さなアップダウンの後に天狗沢までの3kmで200m、そこから上白滝までの2kmで50mを駆け下る。
スタート時刻の天狗平は概ね気温-15℃、雪温-8℃といった感じなので、通常はストラクチャーがL5でワックスはSWIXならLF6、ガリウムならAX10といったところだろう。
しかし、スタートから天狗沢までの区間は通常の滑走と比べてかなりスピードが速いため、アルペンに準じたストラクチャーとワキシングを考える必要がある。つまりクロスカントリーで想定されるチューニングよりも少し暖かめの条件を狙った設定にすべきなのだ。そうなるとストラクチャーはL6、ワックスはSWIXならLF7+LF6、ガリウムならAX20+AX10といったところが妥当だろう。このチューニングであれば白滝に降りてから以降の雪質にも十分に合うはずである。
丸瀬布から先は各スキーヤーのレベルによって変わってくる。午前中にゴールできるのであれば何も考えずこのまま走ればよく、遠軽から上湧別あたりで正午を迎えるスキーヤーならば遠軽で残り25kmに合わせたワックスサービスを受ける。8時間以上かかるスキーヤーはまず丸瀬布でワックスサービスを受け、さらに遠軽でもう一度サービスを受けた方がよい。何よりも遠軽から先は午後から向かい風になり、しかも日が傾くにつれて気温も急激に低下するので遠軽でのワックスサービスは重要だ。ワックスサービスを受けている間にうどんを食べて体を温め、体力の回復も図ることができる。
風向きによってはフェーン現象で予想外の気温上昇が起こり、時には気温がプラスになることもある。このような事態が想定される場合にはリラーで滑走面に縦溝を入れる。目合いは標準的な0.75mmで良いだろう。また、大会前日まで暖かい気候が続き、当日朝に放射冷却で一気に冷え込む場合もある。こうなるとコースは全面にわたって凍結し、スケートリンク状態となる。こういった条件では板のチューニング云々全く関係なしに良く滑ってくれるのだが、板が横に流れやすくコントロールが難しい。この場合もリラーで縦溝を切ってコントロール性を確保したいところだ。氷の状態が長く続くようだと0.75mm、溶けて水が浮いてきそうだと1.0mmといったところか?
リラーは基本的には湿雪に対して使うツールであるが、意外なことに乾雪でも有効な場合がある。
初速は速くてもその後板が行き詰るような場合(雪質に対してストラクチャーの目が細かすぎて板が雪面に張り付くような場合)、軽くリラーで滑走面をなでてやると板の抜けが良くなることがある。
購入から既に20年以上を経た今でも、私にとってリラーは無くてはならない相棒であることに変わりない。
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