評価4
再読(前回2022年10月4日)。
以下の10編からなる連作短編集。
①衣装係さん
②百科事典少女
③兎夫人
④輪っか屋
⑤紙店シスター
⑥ノブさん
⑦勲章店の未亡人
⑧遺髪レース
⑨人さらいの時計
⑩フォークダンス発表会
「そこは世界で一番小さなアーケードだった。そもそもアーケードと名付けていいのかどうか、迷うほどであった。」
こんな書き出しで始まるアーケード商店街に暮らした少女と愛犬べべと父親との物語。
ひっそりたたずむアーケードは、愛するものを失った人々が思い出に巡り合える場所だった。
どれを読んでも小川さんの幼い頃とダブって見えてしまうのはエッセーの読み過ぎだろうか(笑)?
編み物、図書室、百科事典、愛犬・・・小川ワールドに欠かせない物で溢れている。
ふっと幼い頃を思い出させてくれる情景に快く身を委ねページをめくっていたが、気が付くとそこには「死」という人生のゴールが漂っていて、最終頁では目頭が潤んでしまっていた。
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