goo blog サービス終了のお知らせ 

Drマサ非公認ブログ

はじめて入院した⑦

 ACCUというのはAdvanced Coronary Care Unitの略だが、あまり聞くことのない施設である。Coronaryは「心臓の」という意味。

 CCUは循環器内科の集中治療室で結構重篤な人が入院する。ただACCUというのを聞いたことがなかったがCCUの一環のようだ。まあとにかく重篤なので一般病棟ではなくて、集中治療室扱いとの医者の判断のようだ。実際、2人の医者が「CCUにする?ACCUにする?」と相談する声が洩れ聞こえてもいた。

 そこで担当した医者が次のようなことを話してきた。

 「僕が主治医となります。ただ明日から2週間アメリカに学会で出張します。その間は別の者が担当につくことになります。申し訳ない。」

 医者も忙しいなあと思いながら、誰が担当であっても大差ないだろうし、そんな謝らなくてもいいのにと感じていた。実際「先生、謝るようなことじゃあないですよ」などと返したように思う。

 続けて聞いてみた。「先生、入院期間はどのぐらいですかね?」と。

 「3週間かな、いや4週間かなあ。はっきりは経過見ないと言えないところはあるけれど」

 これは困ったと思った。そんなに休んでは仕事の方に問題が生じる。そこで「先生、外出許可もらって、少しだけ仕事に行くということはできますか?」と。その際、僕の仕事の性格について説明しながら。

 ところが、医者は「これから2週間は絶対安静なので難しいよね」と答えてきた。ニコニコ顔で。

 あえて「ニコニコ顔」と書いたのは、僕の主治医はなんというかニコニコ顔の人だったからだ。そこで妻と妻の友人から「いいから休みなさい」と強くお叱りを受けてしまった。

 ここで妻らとは一旦別れて、僕だけがACCU病棟に移動である。どうもACCUという施設がある病院自体を聞かないようだ。入院後看護師に聞いても、「どこにあるのかしらねえ」との反応であったし。

 僕は個室入院である。大部屋もあるそうだが、個室管理が必要とのこと。トイレも付いている。ただ個室とはいえ、ドアをある程度開けたままでいて、ドアの外はナースステーションになっている。ちょっとうるさい。結局あまり寝むれなかった。実はその日はたまたま忙しくかったようで、以降入院の間、意外と静かでうるさいと感じる日はなかった。

 ストレッチャーで移動し、ベッドに移り、看護師から部屋の説明があった。テレビが1日100円で見られるとのことで、つけてもらう。そんなことをしているうちに妻らがやってきて、医療機器や点滴につながれてる私を見て、辛そうな顔をする。

 本人はあの心不全の苦しみから薬で逃れているので、結構元気な気でいたんだけど、妻の心配そうな顔を見て、「申し訳ない」と心の中で何度も呟いていた。少し話をしていると、結構いい時間だと気づいた。妻らに帰るように促した。

 妻は「朝来るから、毎日来るから」と言って、家路についてくれた。妻は本当に毎日結構長い時間見舞いにきてくれた。感謝というしかない。私のような偏屈な男だというのに。何もできず甘えるだけだし。

(つづく)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「医療」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事