今日がこの旅の最終観光日だ。
ミッシェル夫妻と言えば、共通の友人のマルチーヌだが、最終日まで会わなかった、いや会えなかった。これには、訳がある。
彼女は、この旅の直前に、彼女が週の半分を過ごすパリ郊外の実家で、今は妹さんが暮らす家の庭のリンゴの木から落ち、骨折してしまったからだ。
嘘のような本当の話であった。
最終日の夕食を彼女と一緒に取ることになったようだ。
今日のお昼は、ベトナム料理店だそうだ。ミッシェルさん曰く「とても美味しいんだけど、お店は快適ではないんだよ」とのこと。
さて、どんなお店なのか。
フランスで、ベトナム料理を食べるのは初めてだった。
フォーと言う麵が有名なのは知っていた。しかしミッシェル夫妻が頼んだのは、「ボブン」と呼ばれるものだった。
よく見ると、アジア系の人はみなフォーを食べている。しかし、フランス人にはこのボブンが人気らしいことが分かった。
この店は小さいし、予約もできない。だから外に並んで待つ。近くに同じようなベトナムの料理店がいくつかあるが、この店だけが人気店で店の前に人が並んで待っている。
そして入っても、ぎゅうぎゅう詰めの相席だ。今のコロナ下で、どうしているのだろうか。
相席の年配のカップルに話しかけると、彼らはイスラエル人で、二人はロシア語で会話しているとのことだった。旅行中のようだった。日本にも来たことがあると言っていた。
店にはきびきびと働き者の年配の女性がいた。
この時は聞けなかったが、後年再訪したときちゃんと頑張って働いていて、尋ねたらカンボジア人だということだった。ベトナム人かと思っていたが、私には見分けがつかない。
本当に安くて美味しいので、おすすめの店だ。
その後日本で、何度かベトナム料理を食べる機会があったが、「ボブン」は「ブンチャー」と呼ばれるものに似ている。これをフランス人向けにアレンジしたものであるようだ。フランス人向けにアレンジされると、たちまちどこか上品な料理に代わるから不思議だ。クスクスを使ったタブレというサラダもしかり。
食後のデザートのために、彼らはすぐ近くのパン屋さんに入った。
チョコレート好きのミッシェルさんは、チョコレートケーキ、ジャンヌクロードはパステルデナタ、いわゆるエッグタルトだったので、私もそれにした。
このパン屋さんは、翌年ブルーノ夫妻の家に滞在したとき、すぐ近くだったので、何度かパンを買ったりお菓子を買うくらい好きになった。
そして、いよいよアールズメチエから、ゆっくり歩きながらエリザベス女王が訪れた老舗のケーキ屋さんをはじめ、美味しいお店が立ち並ぶモントルグルユ通りを通り、ポンピドーセンターの近くのマルチーヌの家に向かう。
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