豊橋市2025年度当初予算案発表/3会計も初の3000億円超え/長坂市政初編成―ごみ戸別収集検討など公約盛る
2025/02/15
豊橋市は14日、2025年度の当初予算案を発表した。昨年11月に就任した長坂尚登市長が初めて編成する予算で、選挙時に訴えていた公約なども政策として盛り込んだ。26日に開会する市議会3月定例会に上程される。
一般会計は、前年度当初比7・4%増で過去最大規模の1559億円。豊橋田原ごみ処理施設の整備といった大型事業などが金額を押し上げた。
特別会計と企業会計を合わせた3会計では、3・5%増の3054億1000万円を計上。当初予算として初めて3000億円を超え、過去最大となった。
一般会計の歳入は、大きな割合を占める市税が677億円。給与所得の伸びなどに伴う個人市民税増や、新増築による固定資産税増を主な要因として4・0%の増収を見込む。
主な政策では、保護者の経済的負担軽減のため市立小中学校などの給食費の半額補助を継続する。1食あたりの軽減額は小学生が150円、中学生は175円。
全国で地下インフラの老朽化が問題になる中、衛星画像とAI(人工知能)を活用して水道管の漏水リスクを調べる。
長坂氏の選挙公約のうち、ごみの戸別収集や児童相談所の設置、合葬墓については検討に入る。
この日の会見で長坂市長は「未来の市に与える影響を考えると大きな話」として、国道23号名豊道路の全線開通を踏まえた新たな産業拠点の形成に向けた調査や、豊橋新城スマートインターチェンジ(仮称)の整備を挙げた。
前市長が推し進めてきた多目的屋内施設(新アリーナ)計画については、選挙公約通り「契約解除に向けた手続きを進めている」と、従来の方針に変わりがないことを説明した。
長坂市長は「市民1人1人の幸せ、あるいは苦労や困りごとが解消できるようなことを気にしながら予算編成した」と思いを語った。
事実上の三つ巴(どもえ)の戦いだった昨年11月の市長選で、長坂氏は市議会の自民党や公明党、民主系「まちフォーラム」の後押しを受けた2人の候補を破って初当選した。これら市議会の多数派は新アリーナ計画を推進する立場で、長坂市長と激しく対立している。「長坂カラー」で編成された予算案を審議する3月定例議会に、3会派がどういった姿勢で臨むかも注目される。
豊橋市2025年度当初予算案
会 計 予算額 伸び率
一般会計 1559億円 7・4%増
特別会計 768億9400万円 △2・8%減
企業会計 726億1600万円 2・4%増
合 計 3054億1000万円 3・5%増
多目的屋内施設整備推進室の名称「スポーツ施設再編室」に変更/豊橋市が2025年度の組織機構改革発表
豊橋市は14日、2025年度の組織機構改革を発表した。多目的屋内施設(新アリーナ)建設計画を担ってきた多目的屋内施設整備推進室の名称を「スポーツ施設再編室」に変更する。
昨年11月の初当選以来、長坂尚登市長が公約に沿って進めてきた契約解除に向けた手続きは再編室が引き継ぐ。市によると、新アリーナを建設予定だった豊橋公園内の球場や武道館、テニスコートなどについて、市内全体のスポーツ施設を含め整備、再編に向けた検討を進めるという。
このほか、地域連携による放課後活動の充実を図るとして教育部に「地域教育推進室」を新設。広報戦略室は広報広聴課に統合する。
端的で市民に分かりやすい名称にするとして、「文化のまち」づくり課を「文化課」、「スポーツのまち」づくり課を「スポーツ課」、こども若者総合相談支援センターを「こども若者支援センター」、ゼロカーボンシティ推進課を「環境政策課」、上下水道局の総務課を「経営課」に、それぞれ改称する。
市議会による議会改革の一環で、議会事務局を「議会局」に名称変更し、庶務課を議事課に統合する。
【新年度予算主な事業】豊橋市
豊橋市の2025年度当初予算案に計上された主な事業は次の通り(◎は新規事業)。
◎庁内障害者ワークステーション「わくわく」のスタッフを市役所各部局に試行的に配属(1155万円)▽◎マイナンバーカードなどを読み取り申請書に氏名、住所などを自動印字する「スマート窓口」の導入(660万円)▽アジア・アジアパラ競技大会に向けた総合体育館改修工事(2億9150万円)▽市民協働推進補助金の拡充(490万円)▽◎豪雨や台風などの災害対策で詳細な気象情報を収集可能なアプリの導入(39万円)▽◎災害時の愛知県、市町村などとの情報共有体制を強化する次世代高度情報通信ネットワークの整備(1940万円)▽◎医療的ケア児の自宅を訪問看護ステーションの看護師が訪問し家族の代わりに医療的ケアを実施(157万円)▽◎難聴高齢者補聴器購入費補助金(300万円)▽◎認知症体験用VR機材を導入し出前講座などで活用(228万円)▽◎乳幼児連れの人や妊娠中の女性が利用しやすい駐車スペースの整備費の一部助成(50万円)▽ヤングケアラーの支援(1001万円)▽◎児童相談所の設置に向けた検討(40万円)▽特別支援保育事業費補助金の拡充(3億7200万円)▽こども未来館改修事業(2億740万円)▽◎高山学園での預かり時間の延長(235万円)▽◎若者の自殺予防でSOSの出し方教育の拡充(56万円)▽◎合葬墓のニーズ調査(6万円)▽市内事業者の太陽光発電設備など導入補助金の拡充(1250万円)▽◎ごみの戸別収集の検討を開始し、地域のごみステーションの困りごと解消のためステーションアドバイザー(職員)を配置(100万円)▽◎農業者と連携しアグリテック企業が開発した製品・サービスの導入費用の一部助成(500万円)▽◎新たな産業拠点の形成に向けた調査を実施(3030万円)▽◎ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸への出展(100万円)▽豊橋新城スマートインターチェンジ(仮称)整備を契機にしたまちづくり推進へ広域交流拠点の用地確保に向けた取り組みや企業誘致活動(513万円)▽◎空き家の実態調査(1524万円)▽◎新規内航コンテナ助成金(250万円)▽民間プールなどを活用した小学校水泳授業の実施校を拡大(1億6742万円)▽学校や教室に行きづらい児童生徒が活動できる居場所「エール―ム」を拡充(1103万円)▽小学校屋内運動場の空調設備整備(3カ年継続事業の2年度、総事業費41億8100万円)▽中学校屋内運動場の空調設備整備(同、総事業費33億7600万円)▽◎生涯学習センターの学習スペースの充実(豊橋わかば議会提案事業、58万円)▽◎豊岡生涯学習センターと豊橋市民クラブハウス(岩田運動公園内)の複合化による新たな地域交流施設の整備に向けた基本計画策定(3394万円)▽◎休日の中学校部活動の地域展開の一助へ「ど」のびるんdeスクールを実施(340万円)▽吉田城址の石垣の内部構造の確認緊急調査(1317万円)▽市立小中学校、くすのき特別支援学校小中学部の給食費を半額軽減(7億4000万円)▽新ゾウ舎と放飼場を拡張(2カ年継続事業の初年度、総事業費10億9930万円)▽人工衛星画像とAI(人工知能)を活用し効率的な水道官の漏水調査を実施(3176万円)