今夜のおかずはカレイの煮付け。
味加減が絶妙で美味い。が,手塚は難儀している。
小骨が取りづらいのだ。魚料理の時はいつものことだが中々きれいに食べられない。
かなり苦手だ。
「しようがないわね。お皿貸して。あたしがとってあげる」
「うん」
言われたとおり平皿を預ける。柴崎は器用に箸先で手塚の取り残した身の部分を小骨から剥がしてやる。
「ほら。できた。いいわよ,食べても」
「……ん,食わせて」
「え」
「食わせてくれ。ついでに」
手塚は自分で箸を持とうとしない。口を開けて柴崎に顔を寄せる。
柴崎は,んもう,しようがないわねえと口をわずかに尖らせて,でもカレイの身をきちんとほぐしてやって口もとまで運んでやる。
「ほら,あーんして」
手塚はぱくりと食いつき,「美味い」と言いつつ咀嚼する。
「もう。甘えて。だめよ,今度から自分で取って食べないと」
柴崎は,ね? と言いつつ軽く睨む。魚料理の時いつも口にする台詞だ。
手塚は口をもぐもぐさせながら,うん,と生返事をした。
※ ※ ※
結婚してもう一年。手塚は気がついているのか,いないのか。
柴崎がわざと魚料理を頻繁に食卓に出していることに。
そしていつも食べさせて貰っているから,自分の箸使いが一向に上手くならないことに。
柴崎は甘え下手だが,甘えさせ上手な奥さんなのだった。
Fin.
(2008,9,21)
※手塚は御曹司なので? 箸使いとか上手だと思うのですが,
わざと下手っぴいにして食べさせて貰おうとしていると思う!
知能犯!笑
味加減が絶妙で美味い。が,手塚は難儀している。
小骨が取りづらいのだ。魚料理の時はいつものことだが中々きれいに食べられない。
かなり苦手だ。
「しようがないわね。お皿貸して。あたしがとってあげる」
「うん」
言われたとおり平皿を預ける。柴崎は器用に箸先で手塚の取り残した身の部分を小骨から剥がしてやる。
「ほら。できた。いいわよ,食べても」
「……ん,食わせて」
「え」
「食わせてくれ。ついでに」
手塚は自分で箸を持とうとしない。口を開けて柴崎に顔を寄せる。
柴崎は,んもう,しようがないわねえと口をわずかに尖らせて,でもカレイの身をきちんとほぐしてやって口もとまで運んでやる。
「ほら,あーんして」
手塚はぱくりと食いつき,「美味い」と言いつつ咀嚼する。
「もう。甘えて。だめよ,今度から自分で取って食べないと」
柴崎は,ね? と言いつつ軽く睨む。魚料理の時いつも口にする台詞だ。
手塚は口をもぐもぐさせながら,うん,と生返事をした。
※ ※ ※
結婚してもう一年。手塚は気がついているのか,いないのか。
柴崎がわざと魚料理を頻繁に食卓に出していることに。
そしていつも食べさせて貰っているから,自分の箸使いが一向に上手くならないことに。
柴崎は甘え下手だが,甘えさせ上手な奥さんなのだった。
Fin.
(2008,9,21)
※手塚は御曹司なので? 箸使いとか上手だと思うのですが,
わざと下手っぴいにして食べさせて貰おうとしていると思う!
知能犯!笑