紗英(さえ)は大学の求人情報(きゅうじんじょうほう)の掲示板(けいじばん)を見ていて、<時空倶楽部(じくうくらぶ)>という会社名の求人に目がとまった。詳細(しょうさい)を見てみると、歴史(れきし)の資料(しりょう)を整理(せいり)する仕事(しごと)と書いてあった。
歴史好きの紗英は<時空倶楽部>から送られてきた地図(ちず)を見ながら、とあるビルの前までやって来た。そのビルは薄汚(うすよご)れていて、時代(じだい)を感じさせる建物(たてもの)だった。
「8Xって、八階ってことなのかな」紗英はエレベーターを待ちながらつぶやいた。
エレベーターに乗ると、八階のボタンの横に<8X>のボタンがあった。紗英は、「何でこんなボタンが…」と思いつつも、そのボタンを押(お)してみた。
エレベーターが開くと、目の前に<時空倶楽部>のプレートがついた扉(とびら)があった。扉を叩(たた)いて中に入ってみると、受付(うけつけ)の女性が待っていて、
「山本(やまもと)紗英さんですね。お待ちしておりました。早速(さっそく)ですが、お仕事をお願いします」
「あの、私は面接(めんせつ)に来ただけで、まだ…」
「あなたは採用(さいよう)されました。あなたの仕事は、時空(じくう)を飛(と)び越(こ)えて歴史を壊(こわ)そうとする悪人(あくにん)から、この世界を守ることです。必要(ひつよう)なアイテムはこのポーチの中に入っています」
「ちょっと待って下さい。それは、どういうことですか?」
「たった今、歴史上の重要(じゅうよう)な人物(じんぶつ)が暗殺(あんさつ)されました。あなたは時間をさかのぼって、暗殺を阻止(そし)して下さい。詳細はこのカプセルに入っています。さあ、呑(の)み込んで」
<つぶやき>こんな命がけの仕事は考え物ですね。でも、やり甲斐(がい)はあるかもしれません。
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